第二話 2人の邂逅
「うーん……だるくは無いな」
翌日、布団から起き上がった真央の体からは昨日感じただるさは無くなっていた。
「いったい何だったんだろ……」
昨日のことを思い出す。 なんとも不思議な体験だったが、結局答えは出ないまま。
「考えても仕方がないか。 もうなんともないわけだし」
あれから体調が悪化することも無く、普段通りに動けるようになっていたため、真央は考えるのをやめた。
「さーてと、今日は何をしようかな〜」
現在7月の終盤、高校は夏休みに入っていて特にやらなければならないことも無く、一日中ずっと部屋で過ごすなんてことも珍しくはなかった。
「宿題は一気に終わらせちゃったし、誰かと遊ぶ約束もないしな〜」
そんなことを考えていた時、
「!」
(この感覚、昨日の……!)
昨日の光に触れた時に感じた感覚に再び襲われた。 しかし昨日のような苦しさは無く、胸の辺りに違和感を覚える程度だった。
そして少し時間が経った時、何かが変わった。 具体的に何が変わったのかは分からなかったが、今まで感じたこともないような感覚。
(なんだろ……この感覚……!)
あることに気付いた、体が動かない。
(なんで動かな―――)
現状を把握しようと頭を働かせていた時、
「む……? ここは……」
自分の体が自分の意思に反して動き、そして喋った。
(なッ!?)
「声が……頭の中で声がする」
「お前は誰だ?」
(いや、それはこっちのセリフだから!)
「ふーむ……この体、まさか人間のものか?」
(自分から話し始めといて無視!?)
自分の体の支配権を握っている誰かは、話に聞く耳を持たず、自分の今の体を観察し始めた。
「私は確か……死んだはずだ、それがなぜ人間の体に―――」
(ちょっと! 話を聞いて!)
「なんだ騒がしい、私は今現状把握で忙しいというのに……うん? そうか、お前がこの体の持ち主か」
(そう! だから早く出てってよ!)
「そう言われてもな……私自身なぜこうなったのかわからん」
真央からしてみればいい迷惑なので早く出ていって欲しい一心なのだが、相手にしてみてもどうすれば出て行けるか分からないのでどうしようも無かった。
(そんなぁ……)
「まぁこうなってしまったからには仕方が無かろう……そうだ、ここは人間界なのだろう?」
(そうだけど……)
「人の世がどうなっているのか是非見てみたい……」
(ちょっ、まさか!)
真央の想像通り、身体は部屋のドアへと足を運び始めた。
(何外出ようとしてんの! そんなのダメに決まってるでしょ!)
真央は必死に止めるが、返ってきた返事は、
「人間風情が私に指図するな」
真央の意志の完全拒否だった……。
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