【第0話】『 流星群の夜 』
39.花束の約束【第1章】- The Twilight World -〈第0話〉『 流星群の夜 』
ある晴れた夜のことだった。
その日の空には雲が全くかかっておらず、星々の輝きがより一層増しており綺麗な流星群が見えた。
人々は夜だと言うのに外へ出て流れる星達を眺めていた。
誰も彼もがその光景を目の当たりにしていたのだ。王も、平民も、旅人も、盗賊も、街の奴隷でさえその景色を見ていた。
コレは1000年に一度しか見られない光景だ。星のカケラが流星の如く流れ落ちて来るなんて誰だ想像しただろう?
それはまさに圧巻の景色だった。
小さな粒がパラパラと大気圏を通過して降り注いでいる。数千数万ほどもある光の中に飛び抜けて大きな個体があった。
「アレなんだろう?」
1人の少年が指を刺した。
その時、大きな個体が2つに分離した。それらは他の流星より明らかに光り方が違う。
いや、光の波長が違うとでも言うべきか。
その星の破片はそれぞれ別々の場所へと落ちてゆく。
赤く光る1つは山の向こうへ、もう1つの青く光る物は海の向こうへと消えていった。
隕石にしては小さく、宇宙のチリと言うにはあまりにもエネルギッシュな様子である。
それぞれが「ヒュー!!」と音を立てて私達の頭上を通り過ぎた。その様子を人々は指を刺して見ていた。
「あぁ、神が降りてこられたのだ!」
そんな事を言う老人も居た。
しかし、私にはあれが鳥に見えて仕方が無かった。
2羽の鳥が自由を求めて羽ばたいているように見えたんだ。あの地平線の彼方へと飛んでいく姿は何物にも囚われない無垢な心を連想させた。
私は早速筆と羊皮紙を用意してその様子を絵に描き記した。
どうかこの世界が救われて欲しい。囚われた我々の心をどうかあの鳥達のように自由にして欲しい。
そんな願いを込めて書き上げた。
恐らく明日には世界中であの流星群の事を取り扱かわれ、騒がれている事だろう。そして1週間後には忘れられて誰も話題にする人は居ないだろう。
人々の心はそれだけ世界の事象に無関心なのだ。いつからか感性の貧しい世の中になってしまった。それだけ皆んな生きる事に無頓着だと言うことなのだろうか。
だからこそ私は絵に残す。
この景色も、感動も、私の願いと共にこの絵に込めて描くのだ。きっと私にできる事はコレくらいだから。
今日、王歴963年のアスチルベの夜、この世界に2つの星が落ちて来た。
最後まで読んでいただき、
誠にありがとうございました。
今後とも、
この作品を完結まで描き続ける所存であります。
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