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花束の約束 The Another World  作者: ぬうと
【第0章】灰色の世界
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【第0話】『 拝啓、あの日の少女へ 』


 


 薄暗い部屋の奥で小さな椅子に腰掛ける白髪の少年が一人。

 辺りには様々な種類の時計が飾られていて、その全てが音を立てずに動いている。


 彼は真っ白なローブにベールのような被り物をしていて、歳は16ほど。おまけに耳には地球儀のような形のピアスを身につけていた。


 少年はゆっくりと前を向き、真っ赤な瞳を輝かせた。

 

 ギィィ


 音を立てながらゆっくりと椅子から立ち上がり、少年はまるで開演する舞台の司会者の如く、まるでサーカスのピエロのように語り始めた。


 その声はとても儚げで、囁くような優しい声だった。




 やぁ、こんにちわ。

 ボクは時の神様です。つまり、偉い人です!


 いきなりだけど、この世界には沢山の物語が誰かに読まれる為に眠っているよね?

 有名な小説や国民的映画などがそれさ。もちろんボクの大好きなアニメや漫画もその一つ。


 ボクらの住むこの世界には、人が作り出すありとあらゆるifで満ちている。


 じゃあもし、そのifの世界が現実なら?


 この世界にはパラレルワールドと言う言葉がある。

 ご存知の通り、それは全ての世界線を意味する。

 並行世界へいこうせかい平行時空へいこうじくう平行宇宙へいこううちゅうとも呼ばれていて、人々の考えつく全ての可能性を実現した世界の事だ。


 それは「もしもの世界」から「そんな世界」まで、ほぼ無限と言える程の数を持っている。


 たとえば、“この世界と全く同じ世界がもう一つあったとしたら?”って考えると面白いかも知れない。


 その世界には、もう1人のボクらが存在していて、カレらも同じ様に生活している。まるで鏡合かがみあわせのように。

 そしてボクらの世界とカレらの世界は、おたがいに干渉かんしょうすることは無い。


 そうやって、パラレルワールドは並行へいこうたもっている。


 さぁ、こっからが問題さ。


 そんな並行世界へいこうせかい干渉かんしょう出来ないボクらが、唯一ゆいいつ世界をまたぐ事のできる可能性ってなんでしょう?


 科学の進化? 多次元宇宙論たじげんうちゅうろん? もしかして、未来の世界からドラ○もんに頼み込んで、もしもボックス借りてくるとか?


 ある意味正解、ある意味不正解。


 ボクらが映画やアニメみたいな異世界に行くには、人間の知能じゃあむりなのさ。


 そーゆー時こそ、神様にお願いしないとね!


 神様って意外と優しい連中なのさ、たまに怒ると手がつけられない奴も居るけどね。


 だから人間が可愛くおねだりしたら、神様は人間に神の権能を与えてくれる。

 逆に神に逆らったりしたら、ボクらはその子にイジワルしたくなっちゃうのさ。


 つまり、全てはボクら(神々)の気分次第。

 君が明日を生きられるかどうかも、ぜーんぶボクらが決めてる。


 だから、精々(せいぜい)、上手に生きなきゃダメだよ?


 さて、少し話が逸れてしまったね。じゃあ話を戻そうか。


 人間が異世界に行くには、神様に頼る必要があるんだけど、誰でも頼めば行ける訳じゃない。


 もちろん、それ相応の人間でなければ行けるはずもない。


 あ、悪魔になれば誰でもパラレルワールドに行けるけど、オススメはしないよ?

 だってあれも全て神のイタズラだからね。


 じゃあどうすればいいかって?お待ちなよ。


 とても簡単で、単純で、明確な答えがあるんだから。


 さて、時間も無いし、そろそろ始めようか。


 何をって?そんなの決まりきった事じゃない。


 ただの人生ヒマツブシさ———。





 ◇





【天界・月の栄(ソロモン宮)】


 ここは、天界・月のさかえと呼ばれる精霊の都。

 現世で死した者や、これから生を受ける者達が霊体のまま暮らしている世界である。


 その月のさかえには大きな宮殿があり、そこには霊達を統治とうちする1人の王が暮らしている。

 その名もソロモン。知恵をつかさどる者だ。


 彼は月のさかえをとまとめる為、神々より任命された王である。


 しかし、その日の天界には、ある噂がささやかれていた。それは王宮の中でも感じ取ることの出来る内容だった。


「ソロモン王よ、誠なのですか?“時の権能”の獲得者かくとくしゃが新たに誕生したと言うのは。」


 王宮大臣おうきゅうだいじん達は、一斉にソロモン王へ問いかけた。


にわかに信じられませんな。我々が800年もの間、現世げんぜを探し続けてきた逸材いつざいが、まさか人間の中から生まれてくるとは。」


尚且なおかつ、その体には悪魔を宿しているなんて‥‥‥。」


「じゃが、これも運命の導きかも知れん。全ては王の御心みこころのままに。」


 そして彼らは、ソロモン王へへりくだった。その様子を、ソロモンはするどい目つきで見下ろした。


「王よ、お聞かせください。あなたのご判断を!!」





 ◇





 それは、特別な物では無く。唯一の物でも無い。皆んな持ってるし、皆んな大切にしている物。


 時には捨ててしまいたいと思うのかも知れない。時には忘れてしまいたいと思うのかも知れない。


 それでも僕らはずっと忘れないし、ずっと手離さない。


 いつも小さな心の中に閉じ込めて、いつか果たせるその時まで。


 僕らは進み続けるのさ。真っ直ぐに。


 そう、君もまた、花束と約束を交わすだろう——。




最後まで読んでいただき、

誠にありがとうございました。


今後とも、

この作品を完結まで描き続ける所存であります。


もし少しでも良いと感じられましたら、ブックマークやコメントなどお待ちしております。


また、アドバイスやご指示等ございましたら、そちらも全て拝見させて頂きたく思います。

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