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贖罪の意を込めて  作者: サトウハグロ
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第一話 夢が丘

遮光カーテンから除く眩しい光が差し込む六畳の小さな部屋

その部屋はあちらこちらにゴミが散乱し、壁にはいくつもの穴が開いている

テレビの画面の右上部分が割れてしまっており、ニュース番組が放送されている

ソファの上には青年が横になってじっとテレビを眺めていた

時折青年は自分の爪を噛んでみたり、痒いわけでもないのに頭を掻いた

青年は退屈さを感じていた


青年はもうすぐで16だ

同じ年頃の人は学校に行ったり、就職していたりと、少年とはかけ離れた生活をしていた

それに疎外感を感じていた


青年の名前は浅瀬石海という名前だった

16歳ながらも様々な問題を抱えてしまっていた


こんな環境じゃなきゃ俺はもっと幸せだったかもしれない…


毎日そう心の中で呟いた


そんな日常を過ごしていた海に、突然インターホンの音が鳴った

久しぶりのインターホンの音で、海は少し戸惑った

そして、久しぶりに玄関のドアを開けようと、ドアノブに手を伸ばした


開けてみると、スーツ姿の女性がバインダーを持って立っていた

鋭い眼差し、黒縁の眼鏡、赤い口紅、黒くて美しいポニーテール、少し汗ばんだワイシャツ

突然のことすぎて困惑している海に、女性はこう告げた


「初めまして、浅瀬石海くん

私は長谷川奈々子

よろしくね」


「あ、はい。」


海は低い声で無気力な返事をした


「唐突に驚かせてしまって悪かったね

私は埼玉県にある、夢の丘学園高等部とういう学校の高校教師だ

海君のような、家庭や生活上の問題を抱えている子を保護し、社会に送り出すということを目的とした学園なんだが、海君は我が校の生徒として受け入れる基準を達している」


埼玉?夢の丘?高校?

まだ困惑している海に、長谷川はバインダーの資料を手渡した


「海君の経歴や現在の生活のことはほぼ把握している

そういった子供達のための、全寮制の学校が夢の丘だ

海君の場合、奨学金でうちの学校に入れる」


あまり人にはしられたくなかった自分の経歴を把握している初対面の女が高校に入らないかとスカウトしに来ている

この現状に怒りを覚えた

しかし暴力的なことはせず、手元の資料を見つめていた

資料は学校の概要が書かれているプリントだった

資料に印刷された写真を見る限り、生徒たちはみな笑顔で希望に満ちふれていた

海には程遠い世界の様に思えた


「海君、君は今の生活をどう思う?」


この質問をされたことは生まれて初めてかもしれない

どう答えれば良いのか戸惑ってしまったが、口を開いた


「俺は…あまり良くない生活だと思っています」


「そう思ってるんだね

私も同じ意見だ」


「でも正直、今の生活は居心地が良いし、まだ貯金も残ってるし、

最悪、ネットで収入が入るので…えっと」


海は祖父母が残した残り少ない貯金を切り崩して生活していた

底を尽きそうになったらネットで稼ぎを得るつもりだった

それでなんとか食っていけるだろう


「なるほど、未来について考えていることは良いことだ

しかしそれは漠然としている気がする

うちの高校に入って、変わるべきだ」


海は頭にきていた

突然押しかけられて高校への勧誘?

怪しい団体じゃなかろうかと不安になる

その不安は怒りを増していく


「うるせぇんだよ…!」


海は頭にきた

持っていた資料を投げ、床に捨てた

長谷川はその捨てられた資料を見て


「わかった、すまなかった

今回のことは忘れてくれ」


長谷川はそう言って、頭を深く下げた

その場からゆっくりと去っていった長谷川を海は見ていた


「夢の丘、か…

バカかよ、こんなこと」


そう言いつつも、海はその資料をもう一度手に取った

そして玄関のドアを閉めた


部屋に戻り、ノートパソコンを開いた

「夢の丘高校」と検索してみる

すると学校のホームページが一番上に表示された

ホームページのリンクをクリックしてみると、一番最初に学校目標が表示された


希望を見つけ、実現する

喜びを作り、自ら楽しむ

夢を叶え、幸せを手に入れる


正直意識が高いと思った

しかし、全寮制で学費も補助金で賄えるなら、自分はもう疎外感を感じることなく生活ができるのではないかと思った


「やってみるだけの価値はありそうだ」


そう呟いて、先程の長谷川に対してのことの謝罪も兼ねて、入学相談の電話をすることにした


ホームページに書いてある電話番号をスマホに打ちこみ、発信ボタンを押した

初投稿なので誤字や文がおかしくなっている部分があるかもしれません

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