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「それで明日にでもこの家に来て、ワシに婚約の許しを得たいらしい」
依琉の一族は当主の許しがなければ、結婚すらできない。
厳しいようだが、全ては千里眼という能力を守り・受け継がせる為だった。
「はあ。ずいぶん展開が早いんですね」
「まあな。とりあえず、あやつが改心しているかどうかで決めようと思っておる。その席には依琉、お前も同席しろ」
「はいはい。分かりましたよ」
時期当主として、依琉のやることは多い。
それでも祖父からは、部活動を優先にするよう言われていた。
「そう言えば、夏休みは部活ないのか?」
「ありますよ。部長が合宿を行うって言ってましたから」
「そうか。使いたい別荘やホテル、旅館があれば遠慮なく言うといい。ワシの頃も、家の旅館や別荘を使ったからな」
「ええ。でも雛も別荘やホテル持ちですからね。どうなるかは部長次第ですけど」