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「従兄ってたくさんいますよ」
「ああ、確か名前は…」
そこで言われた名前で、依琉は思い出した。
父方の従兄で、兄や姉と同じく自分を疎ましく思っている親族の一人だった。
「確か大学二年生でしたね。それで婚約とは気が早い」
「何でもベタ惚れらしい。軟派なあやつが珍しいことだ」
困り顔で肩を竦める祖父の姿を見て、苦笑した。
その従兄は見た目はいわゆるチャラ男。
そして頭の中身は見た目と同じく、軽かった。
学校も私立で融通がきく、幼稚園から大学院までのエスカレータ式の学校にしか入れなかったぐらいだ。
学校も真面目に行かず、進級の時には何度も親が呼び出されたらしい。
女性によく手を出すことでも有名で、下手すれば今頃刑務所行きとなるのを、ご両親が必死で抑えているらしい。