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母親がこの祖父の娘とは言え、9番目の子供だった。
本来ならば依琉が跡継ぎという立場になれるはずもなかった。
しかし能力を認められ、なってしまったんだからしょうがない。
母の家族は分家となり、自分は本家の世継ぎとなってしまったんだから。
そう思い、家族のことを思うことを依琉は止めていた。
しかし兄や姉はそうは思っていないだろう。
年上の二人が、千里眼という胡散臭い能力で跡継ぎになった依琉を快く思っているはずがなかった。
それは距離など関係なく、依琉は感じ取っていた。
祖父も何となく感じているらしく、それを心苦しく思っているらしい。
「そう言えばの、お前の従兄が婚約したい女性が出来たみたいだぞ」
黙ってしまった依琉に気を使い、祖父は話題を変えた。