5/18
5
身内から気味悪がれていたある日、祖父が依琉の能力を聞きつけ、跡継ぎとしてこの家に引き取ってくれた。
―だが、依琉は今だからこそ思う。
両親や家族は自分の能力を否定したのは、こうなることを恐れたのかもしれないと。
祖父の跡を継ぐということは、家の全てを継ぐということ。
それすなわち、当主となることだ。
そうなれば敵が多く待ち構える。主に、身内が。
そんな戦場に向かわせない為に、あえて家族は能力を否定していたのかもしれない。
…事実、依琉が祖父の手で連れていかれた時、母親は最後まで泣いて能力を否定していた。
―わたしの子供は普通だから。変な力など持っていない―と。
しかし言葉は聞き入れられず、あれからもう7年の月日が経っていた。
依琉はそれから一度たりとも家族に会っていない。