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しょぼん…と落ち込む祖父を通して、依琉は<視>てしまった。
今の神無月と良く似た面持ちの神羅に振られる祖父の姿を。
思い出の中の神羅は、今の神無月の髪を腰まで伸ばしているぐらいの違いで、ほとんど同じ姿形をしていた。
祖父からの視線なので、祖父の姿は<視>えないもの、昔の写真を見るとやはり依琉に良く似ていた。
「今の神無月と、良く似ているんですね」
「むっ! お前、<視>たな!」
「あっ、すみません。つい」
ヘラヘラと笑う孫を見て、祖父は深く息を吐いた。
「まっ、お前さんは力が強過ぎるから、『つい』もあるんだろうが、くれぐれも言動には気を付けることだ」
「分かっていますよ。コレ以上、敵を作るのは本望ではありませんし」
「依琉…」
依琉は思い出す。
ここにはいない、自分の家族のことを。