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「うらやましいのぉ。神羅ちゃんのあんみつは絶品だからなぁ」
「お祖父さま。神無月のお祖母さんとお知り合いなんですか?」
祖父の向かいのイスに腰をかけると、すかさずメイドがアイスコーヒーを持ってきた。
すでに生クリームが入っているのを、依琉は笑顔で飲んだ。
「ああ。同じ光輪学院出身でな、封話部だった。当時神羅ちゃんは副部長をしていたなぁ」
当時を思い出すように、老眼鏡の奥の目が細められた。
白髪ながらもスーツを着こなし、仕事もバリバリこなす姿を見ると、とても依琉ぐらいの年齢の孫がいるとは思えない。
「ああ…。お祖父さまも、千里眼の持ち主ですもんね」
「お前ほど強力ではないが、の。それでも封印には携わった」
祖父が空になったグラスに視線を向けると、すぐにメイドがオレンジジュースを注ぐ。
「神羅ちゃんは学院のアイドルだった。ワシもアプローチしたものの、見事に玉砕。同じ部員だった男に取られてしもうた」
「まあまあ」