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その日、依琉は朝から出かけていた。
従兄の住む街へ。
近代的なビルが建ち並ぶ中、森林公園があった。
そこの奥には古くからの沼があり、従兄と彼女はそこでデートをしていた。
調査団の報告では、二人はよくここで会っているらしい。
公園の奥深くの為、人は滅多にここに来ない。
それどころか昔は沼で溺れ死ぬ者が多かった為、暗黙の立ち入り禁止区域になっているのだ。
しかし二人は楽しそうに、嬉しそうに草むらに座り、話をしている。
一見爽やかそうなカップルに見えるも、依琉の眼には別に<視>える。
「なるほど、ね」
小さく呟く。
森林部分の大きな木の影に隠れ、密かに二人を見ていた依琉は、二人の前に出た。
「こんにちは。そしてはじめまして」
二人は驚いた顔をしたものの、すぐに従兄が反応した。
笑顔で彼女に依琉のことを紹介する。




