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依琉の親族
「いや~、神無月のお祖母さんのあんみつ、美味しかったなぁ♪」
依琉は上機嫌で家に帰った。
神無月の実家とは真逆の洋館が、依琉の住居だった。
明治時代に建てられていたものだが、今でもその美しさは変わっていない。
森の中にある家は、門から屋敷まで距離がある。
庭には噴水や美しいガーデニングがあった。
「ただいま帰りました」
「おお、お帰り。依琉」
リビングに顔を出すと、依琉の祖父がいた。
周囲にはメイドと執事、それに秘書達に囲まれながら、書類に目を通している。
「ずいぶん長い散歩だったな」
「ええ、ちょっと神無月の家に寄っていましたので」
「神羅ちゃんの家にか?」
「神羅ちゃん?」
「ああ、神無月ちゃんの祖母だ」
「ええ、お会いしましたよ。ついでにあんみつもご馳走になってきました」