一話
ゾンビ小説がアニメ化してほしいのです。
結構重めな。
ゾンビって意外とギャグだったりとか裏切りとか、重めなのないですよね。
むちゃ重いの書きたいですよね。
人間的にも、世界的にも。
どうにもやるせない。
過ぎた私の24年、無価値と言っても過言ではない。
今の私にはなにもないのだから。その証拠にほら、深夜のコンビニに唯一人立ち尽くす男。天井から流しだされる、興味のそそられない音楽。陳列された商品。
これが私なのだ。生まれ落ちて24年。24年掛けて立つ場所がここだというのだから。
勿論それが悪いとは言わない。ただ一人立ち尽くす一見無価値な空間の中にも壮大な世界があることがある。
それは人の頭の中にある。定職につかず、野望を描きながら、必死にコンビニでバイト。
こうであったのならどれだけ私という存在が輝いて見えるか。
人からどう見られようが構わない。鏡に写った自分がどのように見えるかだ。
人から蔑まれようが、自分の思い描く正解が素晴らしいのならそれで良い。それがその人の全てというのなら尚良い。
しかし、私の中にはなにもない。文字通り「空っぽ」なのだ。
ただその日を生きるためにただぼうっと、過ごしてきたのだ。
これからどうしようという色もつかぬ疑問を蹴鞠のようにふわふわと転がしては、何もしない。
深夜のコンビニのアルバイトを週3で入ればおまんまが食える状況だ。私はそれでいいのか、わるいのか、考えることもしない日々が続いていた。
いや良いのだ。これで良いのだ。
24年間「私」というものを見つけれなかった人間だ。この先、とてつもない衝撃でもなければ自分が変わることはないだろう。
自分から動こうともしない、この環境を変えるつもりもない。幸せでもない、不幸でもない。
親友と呼べる存在もいない。家族とはとうの昔に中が悪くなって縁切りだ。
小さなアパートを借りて、大学も通ってはいたのだが、1年も持たずにやめた。
それからそれから、定食にもつかず、ただぶらぶらとして、気づけば、気づけば、もう5年なのだ。
良い。何も考えない。
月に一度はこんな事を考えては、家に帰ったら本でも書こうと思い、風呂に入って寝る。そして、朝起きて、何も考えず飯食って、ふらふら散歩でもして、ちらり見つけた神社で祈るふりでもしてみたりして、神社に設置されている椅子に座って煙草を吹かしながらぼうとする。
プーたれ野郎を絵に描いたような人間だ。思い返してみても今の所人間としての価値はないな。
あと1年。何もなかったら死んでしまおうか。いや、やはり2年、3年にしようかな。
午前5時。人も来ないので裏でぼうとしていると、自動ドアの開いた時の合図の音が聞こえた。
カメラで確認するとふらふらと店内に客が入ってきた。酔っぱらいのくそ野郎だろうか。面倒臭いことになった。
住宅街にあるコンビニだ。あまり人は来ないということでこの場所を選んだ。だがしかし、時々こういうのがやってくる。
ただうざったい。絡まれるか、臭い置き土産を残して立ち去るかだけの存在だ。店内の地面にソレを残された日にはもうやるせない。
とりあえず絡まれたくないので、カメラを通して客を見守る。
ふらふら ふらふら
上を向きながら口を開け、何処に向かうのか、何を見ているのか、全くわからなかった。
すると立ち止まり、突然下を向き始めた。
まずい、吐くつもりか。私は急いで事務所から出た。
「ちょっとすいま」
止まった。文字通り私は止まった。私の動き、言葉、呼吸、もしかしたら心の臓も止まっていたかもしれない。
当然だ。そいつを見ては、誰だって動きを止め、そして凝視するだろう。説明するのもめんどくさい。
辛うじて瞳孔のみ確認できそうな白目、口周りにべっとりついている赤黒。煤けた餡子餅のような肌の色。これは少し例えが悪いか。
それがゆうっくりと首を横に動かし、私を見つめるものだから。この明らかな非日常に高揚してしまう自分もいまして。
しかもなんと驚き。小さなバッグを持っていると思ったら。人の腕でした。
わかります、この状況。アウトブレイクとかパンデミックとか言うやつでしょう?
私のこの置かれた状況、高揚するではありませんか。




