第一話 硬いのは反則
筆者の初めての作品ですよろしくお願いします。
「ハア…ハア…」走り続けたせいで足が棒のようになり悲鳴をあげているのが分かる。
制限時間はあと30分、脱出までの時間が迫っている。
「ゲルニカチーム、ゲームオーバーだよ♡」次々に逃亡者が殺されたことを知らせるアナウンスが、このゲームのバーチャルアイドルであるアリサちゃんの声によって伝えられる。
余談であるがこのアリサちゃんは全世界で某動画投稿サイトのフォロアー数一億を超えている驚異の人物である。うん、すごい
「ねぇ、今回脱出ちょっと無理そう」
自分のお気に入りの銃のリロードをしながら手持ちの道具で何かできないかと考えていたら、自分の頬をつんつん触りながら片手を俺の目の前でひらひらと揺らしている存在に気付いた。
俺の隣でそう呟いたのは、同じチームの仲根奈央。成績は優秀で部活は剣道部に所属、
いつも眠たげな表情であるのだが竹刀を持つと敵なしである。顔も美人で高身長である為告白するやつは絶えないのだが、全員を断わり、さらには言葉で相手を再起不能にするというやばいやつだ。
ついたあだ名が冷凍美人、学校の噂でこのあだ名つけた生徒が次の日げっそりとして学校に来ていたらしい。本人はただ話しただけよと言っていた、絶対に敵にまわしたら終わる人物だ。
自己紹介が遅れた、俺の名前は伊藤勇気。勇気がある子に育ってほしいという親の願望むなしく、好意を抱いている子に告白すらできないチキン野郎になってしまった。
高校一年生でありながら青春を謳歌できてない、ごくごく普通のやつだ。
部活はバスケで一応スタメンだ、
「自分の説明が短いだって?」まぁ、機会があったら話すから楽しみにしてろよ。
「今回のマップちょっと厳しすぎない」
「いつもいるメンツがいないから厳しいな」そう、このゲームは最大10人プレイが可能なゲームである、だが報酬はその分少なくなっているため大体のパーティーは5~6人プレイが基本である。自分たちのパーティーは5人であるが今日は3人とも用事があるから参加できないと連絡があった。そのためパーティーの人数が二人ということになっている。
「もう、ここを突っ切ったほうがよくない?」
「まぁ、打開策が無いし」そんなかんじで突っ切る案で相談していたら通路の所から影が迫ってきた。
…カチャ…カチャ、そうだ、なんで俺らがずっとここに隠れているか思い出した。
あいつが、いたからだ…
銃弾を受けても硬い外皮のようなもので弾き返し、手榴弾でも効いている様子がなかった怪物だ。幸い動きが遅かったため相手をまいてここの物陰で潜んでいたのだが逃げ場所が無い。
奴が…ノソリ…ノソリ…と不気味な空気を漂わせながら俺らの方に近づいてきた。
…これは、つんだな。
一歩、また一歩自分たちの死を迎えに来るように近づいてくる。
「ドクッ…ドクッ…」自分の鳴り響く心音があまりにも大きすぎて
捕獲者に聞こえたりしないかと冷や汗が垂れてくる。
そして、自分たちが潜んでいる物陰の所で止まった。
…ミ…ツ…ケ…タ……
そう言っているかのように奴が小さく吠える
そして自分たちの前で人ひとり入りそうな位大きな口を開けて
……死ネ……
そう言われた気がした。
目の前がブラックアウトした。
「シャイニーチーム、ゲームオーバー♡」
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