1.少女の正体
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不思議な感覚だった。
目が覚めると、俺は子供だった。
俺は確かに、さっきまで____さっき、まで。
何をしていたんだろうか。
すっかり思い出せないが、とにかく眠い。
後で思い出せばいいだろうと思い、俺は再び眠りについた。
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気づけばそこはベッドだった。
しかも、かなり大きい。
なぜ俺はこんな場所にいるのか?そんな疑問が頭をよぎる。
そもそも。これはさっき気づいたのだが、自分が誰で、何をしていたかすら覚えていないのだ。
何一つとして、覚えていない。
「レイ、起きたのね」
唐突に声を掛けられ、慌てて後ろを振り向く。
そこにいたのは、可憐ながらもどこか落ち着きのある少女だった。
可憐というよりは、美麗と言ったほうが正しいかもしれない。10代後半ぐらいだろうか。
「早いわね」
「あ、えっと」
早いと言うのは、恐らく起きたのが早いという意味だろう。
それよりも、目の前にいる少女は誰なのか。そして、俺は誰でここはどこなのか。
まずはそれを聞く必要があった。
「あの。あなたは、誰ですか?」
俺は、慎重に尋ねた。
すると少女は少々驚いた顔をして、困ったように笑った。
「あら、忘れちゃったの?あなたの、お母さんよ」
衝撃だった。
この歳で母親だということも、俺の母親がここまで美麗であるということも、全部そうだ。
「そ、そうだったね」
俺は慌てて取り繕う。
それ以上追及して来ないところを見ると、寝ぼけていたとでも思われているのかもしれない。
何はともあれ、好都合だった。
それと同時に、情報を集める必要があるということを、強く感じた。
はじめまして。
小説の投稿は初めてですが、何卒よろしくお願いします。