集合場所を間違えましたか?
「こない!!」
集合時間から一時間半もたっているがら鳥の鳴き声と草の揺れる音がするだけ。
何で誰もこないのか?
誰かがくる気配もないし……。
流石に可笑しいだろ。
「……誰かのイタズラか?……いや、もしかして、最近流行りの行方不明事件に巻き込まれたとかじゃないよな。」
そう考えていくと、目の前にある書庫の中に事件の真相があったりするかもしれない。
書庫の中がどうなっているか気になり始めてきた。
なので、鍵がかかっているか、確かめるために書庫の扉を観察してみる。
扉には大きな虎の模様が掘ってあり、その模様からポタポタと水色に光る液が流れていた。
「……なるほど。封印、呪いのようなもので扉を封じているのか。上手く解かないと自分が呪われる可能性大だな。」
コイツはめんどくさそうだ。
後、一歩間違えれば自分が呪われてしまう。
それにどのような呪われたかするのかわからないしな。
ここは諦めるべきなのか?
……けど、やっぱり気になるな。
事件の真相があるなら呪われてもいい気がしてきた。
意外にくだらない呪いかもしれないし、自分が呪われたとしても、事件が解決できればいい話だよな。
この書庫が事件に関与するかも開けてみれば分かるだろう。
俺、作者さんと性格似てるのかもしれないな。
まぁあの人はこれで酷い目にあったけど、自分は運がいいから大丈夫!!
「じゃあ、ちょいとこじ開けますか!」
俺は腰にぶら下げていた短剣を引き抜いた。
そして、ちょうど扉と扉の間にある隙間に剣を押し込んで隙間を広げようと試みるが。
「っつう!硬いな……。」
扉が思ったより堅く頑丈なようで、刃を跳ね返してしまう。
どうやら呪いをなんとかするしかないようだ。
……なら、こっちを使ってみよう。
ボロ切れに覆われている左手で虎の模様の部分に触れる。
……多少ピリピリするが、問題なさそうだ。まあやるまで何が起こるか分からないけど。
「absorption」
そう言うと、水色の液体が左手に集まって消えていった。
……どうやら成功したみたいだ。
体に異常はないな。
左手は……一応見とくか。
いや、グロいからやめておこう。
じゃあこの呪いを何処かにださないとな。
そう思い周りを見渡してみると、切り株が一本だけあった。
切り株の幹は茶色くてキノコや苔が無造作に生えていた。しかも上の部分はポッカリと穴が空いていて、腐っているみたいだ。
「この切り株にするか、呪い自体が液体だしな。」
今度は切り株の幹の部分を右手で触り、こう言う。
「metastasis」
すると、さっきと同じ液体が、切り株の中に溜まっていき、溢れだす。
「あー少し器が小さかったか。」
液体の量を考えてなかったな。
次から考えなければダメだ。
「それにしてもどんどんとででくる。……ん?」
よく見ると、切り株がプルプルと震えてる?
どうなってんだ?