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十五、とうめいな恋
「うん、忘れないよ」
そう頷いた君に、僕はほっと息を吐く。
「それじゃ、お先に」
どうか、生きてほしい。
僕の知っている君は、きっと死んだことを悔やんでいるよ。
どうか、どうか、幸せになってほしい。生きてさえいれば、幸せを感じる瞬間が必ずあるはずだ。
風が僕を包む。僕が、世界から消える瞬間。あの日の屋上の片隅で、もう一人の僕と、君が微笑む姿が見えた。
ふっと、君はこちらをみた。でも、そこには、とうめいな影が躍るだけ。もう、僕はいない。
君は、この結末をどう思うだろう……。
夏の青空は、泣きたくなるほどに透きとおって、きれいだった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
今から3年前に描いた作品ですので、読み返すと恥ずかしいような懐かしいような、不思議な気分になります。
どんな感想でも構いませんので、一言教えてくださると嬉しいです。




