説明回①
長いので分割
町に足を踏み入れたらそこは雪国だった・・・と思えるほどに真っ白な空間だった。トンネルは抜けてない。
「霧が濃いな。」
霧が濃すぎて1m先も見通せやしない。平原のときもそうだったが、いきなりすぎはしませんかね? 誰か説明プリーズ!
『説明しようっ!』
なんだなんだ、いきなり頭の中に声がひびいてきたぞ。
『ここは世界の境界、世界と世界の狭間の世界。略してせいかいっ!』
「・・・精霊界?」
『不正解、精霊界じゃなくて神世界』
呼び名が変わってますがな。
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どうやら俺は神隠しにあってしまったらしい。今風に言うと異世界転移? ・・・ラノベか。
先ほどの声は『神様』らしい。神様かとたずねたら『あたしゃ神さんじゃないよ、かみなり様だよ』といっていたが、なんのこっちゃ。ようするに雷神様、つまりは神様ってことだろ。たぶんだが。
神様のいうことには、さっきのスライム撲殺劇はチュートリアルということらしい。
この世界・・・というか、今から向かう世界には、野生の獣ではなく魔物が存在する剣と魔法と様々な人族の、少し不思議なSF世界なんだそうだ。そして魔物は人族を襲う。そこで生きるには、最低限の自衛手段を持たなくてはならない。その為に、チュートリアルで戦い方を学ばせるのだそうだ。ちなみに、チュートリアルの戦闘はオートバトルで、その間の経験は強制的に頭に体に覚えさせるのだそうだ。そうだそうだと伝聞系なのは実感がないから、神様いわく、そのうちわかるそうだ。
『それで、この世界から帰るための方法なんだけれど』
帰れるの?
『うん、帰れる、帰った人も多数いる。残った人も多数居る』
そこんとこ詳しく。
『難しいことではないんだけれど、人によっては達成できなかったり、居心地がよくて居ついちゃう人も居るんだよ。あと言いづらいんだけれど、死んじゃう人も少々』
死ぬのは簡便願いたい。
『だから、なるべく死なないように、この世界だけで通用する加護、君たちの業界ではチートっていうんだっけ、それを与えているんだけどね。それでも死んじゃうときは死んじゃう。だって人間だもの』
○つおか。・・・じゃなくて、チートですと!
「つまり異世界転移でオレつえぇってことですね、分かります!」
『お、君もいけるくちかな? まあ、そういう人もたまにいるけど、大体は初日に行方不明になっちゃうんだけどね』
お約束ですね、わかりました自重します。
『分かってくれて結構です』
『さて、加護なんだけれど、神様、そんなに万能じゃないので、1人1つしか与えられないの。そのかわり、何でも思いついたものをあげるから、言ってみなさい、3分で』
ん? 今何でもって・・・って3分って短いよ!
オレつえぇ勢も死ぬような世界、油断してたらコロっと殺されてしまいそうだ。ということは、死ぬこと前提の能力なら死んでもこの先生きのこれる?
『きのこる先生、そういう考え方もあるのか』
とはいえ、死ななくても生き埋めにあったりおぼれたりしたら、死ねないだけに苦しみもひとしお。生きたまま食べられるなんて事もあるか。
『うん、実際あったよ。その加護は人気No1だし、その加護のおかげで生きて帰れた人も沢山いたけどね。でも、今も現在進行形で無限の苦しみを味わってる人もいるから、その加護を選ぶならそうなることも覚悟してね』
マジでか・・・。
『ちなみに、一番長い人で300年。彼女は不老不死を選んだから、もう1000年はお腹の中で溶かされ続けるんじゃないかな?』
お腹の中って・・・1000年って・・・。
『それは極端な例としても、不死はともかく不老不死はお勧めしないよ。竜や巨人にでも食べられたら、ほぼ永遠に出られないし、不老にキャパをとられて成長できないから』
成長?
『君たちの世界でいうと、レベルアップってことかな?』
理解。ってことはレベルアップで魔法を覚えたり、スキルを得たりするのかな?
『ゲーム脳乙』
じゃあ、スキルディスクとか魔法の書は?
『技術はそんな簡単には身につかないよ。きちんと勉強して練習しないと』
・・・。
『まあ、加護で魔法を得る人も偶にいるけど、大体は使いこなせないで勉強からやり直しだから、よほどの才能がなければお勧めしないよ。ちなみに、君には才能なんてないのう』
なんて酷い駄洒落。まあ、真顔でバッサリよりはダメージが少ないのかな?