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離婚をする前にひとつだけ。学資目的で保険に入ってはいませんか?

最近多い手続きにちょっと辟易としたもので。

離婚って11月が一番多いそうです。

統計的に。

春くらいに思い立ち、夏に諸々準備を進め、秋に成立させる。

ってことなのでしょうかね。


仕事柄、離婚に関する手続きをしたりします。

あ、弁護士とかそんなんではないです。

むしろ離婚するときには思い出さない方が多い結果、あとあと面倒になるというか。


手続きのメインは死んだ時とか病気したときです。

ない方がいいけど、備えあれば憂いなし。形ないものにお金を払うわけですから、実感が湧きづらいものですけど、ないとマジでいざという時困ります。実際病気してから来られる方の多いこと……。

一昔前は割と嫌われがちなお仕事でした。


そんな生命保険の販売に携わってます。


ほけんの窓●とかそういう系です。色んな会社を扱ってる代理店ですね。

こういうところは無料相談ありきなので、二の足を踏んでる方もお気軽にご来店頂いて大丈夫です。押し売りとか今時ないです。もしあったらそれは保険業法的にアウトですから然るべきところに訴えてください。程度にもよりますが、たぶんその人はクビですので。


閑話休題。


冒頭に戻りますが、最近離婚に関係する手続きが多いです。時期的なものもあるのですが。

そこで問題になるのが、お子さんのためにかけ始めた保険。いわゆる、学資目的の保険です。

これが「学資保険」というものなら、あまり揉めることはないのですが、違う入り方をしている場合があります。

詳しく話すと長くなるので割愛しますが、解約を前提に父親か母親のどちらかが「低解約返戻金型終身保険」に入っているパターン。これ、離婚の際ちょっと揉めることがあります。


「学資保険」として入るより、上記の入り方をした方が返戻率(解約したときに、払い込んだお金に対して返されるお金のパーセンテージ)が良かったりするんです。

まあ、昨今はマイナス金利の影響で軒並み返戻率が落ちてきていたりもしますが……。数年前に加入している場合、明らかに戻りがよかったのですよ。

加えてこの入り方をすれば、お子さんが大学入学くらいの年齢になるまで解約はしない(予定)ですから、父親か母親の万が一の時の保障にもなるわけです。


そんな一見メリットが多い入り方ですが、離婚となると話が変わってきます。


第一に、保険というものは契約者と被保険者を同じにする方が多いです。因みに契約者とは、その保険を契約して、今後諸々の手続きをすることになる方です。被保険者とは、その保険をかけられる方です。


例を挙げると、

契約者:A 被保険者:A 受取人:Aの配偶者

保険金額:500万円

保険商品:低解約返戻金型終身保険

加入15年後の解約返戻率:120%

と、いう入り方をしていたとします。


この場合、Aに保険がかけられてるのでAが死んだ時はAの配偶者が500万を受け取ります。

ですが、死んだわけではなく15年後に解約した場合、Aが返戻金を受け取ることになります。

500万円はあくまで死んだ時の保障額ですので、解約した場合は当たり前ですがそれより少ないです。詳しくは最寄りの窓口までどうぞ。


で、これを学資目的で加入していた場合。

離婚することになり、AとAの配偶者との意見が食い違った時が最悪です。


仮にAの配偶者がお子さんの親権を取ったとします。


Aは離婚した時点で解約してしまって多少でもお金をもらって終わりたい。

Aの配偶者は子供のために保険は置いておいて欲しい。

まだ話し合って妥協点を見つけるとかしてくれればいいのですが、大げんかをしてお互い顔も合わせたくないとかだと、まあ大変。


まず、この保険はAが契約者です。ですので、手続きはAが全部出来ちゃいます。ってことは、AはぶっちゃけAの配偶者に何を言われようが手続きは自分で貫いちゃえるんです。つまり解約不可避。そして解約したときに発生したお金を受け取るのも契約者。Aです。

お子様には一銭も残らないという無残な結果に。


こんな事態にならないためにはどうすればよかったのか。


まず離婚を成立させる前に、契約者を変更してしまいます。

お子さんにするのが一番いいですね。

離婚しようがどうしようが、子供はAの子供であることは一生変わりません。

けれど、Aの配偶者は離婚してしまえばAとは赤の他人です。保険という商品の性質上、赤の他人となったAの配偶者(元)は今後一切Aの保険に関われません。再婚しない限りは。


それでは、子供が契約者になれるのか?

答えはなれます。その子がたとえ0歳でも。……なれない保険会社もあるかもしれませんが大抵はなれます。

親権者がいればいいのです。親権者はAの配偶者……もうBにしますね。Bが親権者です。

子供はAの子でありBの子でもあるのですから、何の問題もありません。AとBが離婚して赤の他人でもBは子供の名前で契約を引き継ぐことが出来ます。


子供が契約者になることのメリットは、上記のように意見が食い違ってAが解約しようとしても、子供が契約者になっているため勝手に手続きが出来なくなることです。


さて、その後の保険料の払い込みですが、当然Aが払ってくれれば問題ないのですが、Aは解約をしたいので払ってくれないでしょう。

そうするとBが払い続ければよいということになりますが、Bの口座から引き落とすことは出来ません。

だって離婚しているならAとBは他人ですので。Aの保険をBが払うということは出来ないのです。

ですので、お子様名義の口座を用意します。お子様の口座であれば、それはお子様のお金という認識になります。たとえその口座にお金を入れているのがBであったとしても。生命保険の契約的には問題ありません。だってお子様の口座ですから。


つまり変更後は、

契約者:お子様 被保険者:A 受取人:お子様

という形に出来れば、今後何らかの手続き(それこそ解約など)は子供が実権を握れるわけです。

要するにお子様の親権者のBが。

これでAに勝手に解約されるという事態は免れることが出来ます。


万が一何らかの抜け道を使い解約に至ったとしても、解約金が振り込まれる口座は契約者の口座ですので、Aにはお金は振り込まれることはないでしょう。

Aがお子様名義の口座を隠し持っているとかそういうパターンは知りません。そこまでして小金を盗ろうとする人なら別れてよかったですねとしか言えません。


さて、私が何を言いたかったのかということなんですけども。

要は、離婚前に生命保険も気にした方がいいよ? って、その一言です。


ホントに最近多いんですよ。

離婚後に、子供のための貯蓄用にかけてた保険を解約したいとか続けたいとか。そういう揉め事が。

離婚前ならまだ配偶者の契約にどうにか介入できたものの、離婚して赤の他人になっていたら手続きが複雑になることもあるんです。


私たち保険代理店は、上記のような方法があるという、そういう一例を案内出来るだけに過ぎません。

元旦那に、こういってやめさせてください! だとか

元妻に解約しろっていってくれ! だとか。

そういう相談は一切乗れませんので、弁護士事務所に行ってください。


まあ、離婚なく夫婦円満に過ごせるのが一番なのですが。

世の中何がどうなるかわかりませんから、ね。


こういった事例もありますので、もし離縁を考えられているという方がいらっしゃいましたら、生命保険もお金だってことを思い出してみてください。

その上で、配偶者の方と話し合うというのは大事だと思いますよ。

まあ、上記の件も抜け道がないわけではないですけど、少なくとも、離婚後に揉めるよりも打開策は多いかと。

AとBどちらの立場であるかは、存じ上げぬことですが。



それでは。

ここまでお付き合いくださった方がいらっしゃいましたら、お疲れさまです。

お付き合いくださりありがとうございました。


ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 背景にある修羅場とか想像出来て面白いです。 ミステリーな香りがいい!
[一言] 上手く子の名義口座に移せたとしても、口座名義人と実際の管理人が違うと、後々税務署のチェックで面倒になる事もあるんですよねえ…
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