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戦鬼戦記  作者: 夢物語
15/18

十五枚目 小さな箱

「次は確かカルバ平原で箱の回収だったな」



「でも平原にどうしてそんな箱があるのかしら」



「どうせそこで死んだ人間の遺品だろう」



「雀、怖い事言わないでよ!」



「もしかして玻月は霊とか信じてるのか?」



「死者の強い思いはその場に残るものよ」



「じゃあ、その箱の近くにも死者の魂がいるかもなぁ~」



「や、止めてよ!

怨念だったら天羅が取りつかれてよね!」



「そこの馬鹿二人、さっさと行くぞ」



二人を置いて先へと進む雀。



「あ、待って!」



「雀は美人なのに勿体ない奴だな」



それから山間を進みカルバ平原に到着した三人。



「ここは自然が生き生きしてる」



「滅多に人がこないからな。

蜜獅子も花の蜜を吸ったりしてよくいるんだが…」



「水蜜洞窟に群れていたのもここからいなくなっていたからかしら?」



「恐らくな。

なぜここを離れたかだ」



「そんな事はどうだっていい。

箱を回収して先を急ぐぞ」



「無愛想な奴だな」



「真面目なだけよ」



三人は箱を探しながら平原を歩いていく。



「こんな広大な場所で模様がある小さい箱なんて探せるのか」



「もう弱音か? 情けない男だ。

モノが小さい奴は心も小さいな」



「女がそういう事言うなよ。

って小さくねぇよ!」



「だったら黙って探せ。

ん? どうした玻月?」



立ち止まったまま玻月に話し掛ける雀。



「あそこ…何かあるわ」



玻月はそう言って少し先を指差す。



「なんだ見つけたのか?」



「待って! 慎重に進んで。

あそこだけ自然が苦しんでる…ううん、何かに怯えてるような」



「とりあえず行ってみるか」



慎重に三人が進むと、地面に模様が刻まれた小さな長方形の箱があった。



「これか…ヤバそうな気配がするな」



「(この模様は何処かで見た気が…)」



「見てても仕方ないな。

素早く掴めば」



「思い出した! 天羅、待て!」



雀の制止よりも先に天羅の手が箱に触れ、黒い煙が吹き出し周囲を包み込む。



「なんだ!?」



「とりあえず離れるぞ!」



玻月を抱えた雀と天羅は煙から抜け出す。



「何…これ…」



「あいつこんな物を回収させるつもりなのか!?」



「やはりあれは封魔の箱。

古より存在する魔物を封じていた箱だ」



煙が消えていくと同時に巨大な斧を手にした頭が二つ、長い尾に全身鱗に覆われた蜥蜴の様な生き物が立っていた。



「倒せるのか…」



「本当に馬鹿だな。

倒せないから封じていたんだ」



「雀、封じる方法は?」



「あの箱を使うのは間違いないが、封魔師でないと不可能だ」



「逃げるとか無理だよ…な?」



「逃げれたとしてもスラの村は潰されるだろうな」



「そんな!?」



「じゃあ、やるしかなさそうだな。

向こうもやる気満々だぞ!」



地面を右足で何度も踏みつけ身を屈める魔物。



「来るぞ!」



斧を振りかぶり高く飛び上がった魔物は三人へと振り下ろす。



「ぐっ!」



「きゃっ!」



「…倒すなど不可能だ」



魔物の一撃は三人を吹き飛ばし、周囲の地形を一瞬で荒れ地へと変化させた。

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