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戦鬼戦記  作者: 夢物語
13/18

十三枚目 紫色の宝石

「これも昔話に出てくるのか?」



「こんな事が起こるなんて聞いた事がないわ」



「どうやらこちらを敵と認識したようだぞ。

何とかしろ戦鬼」



岩人形は両手を振り上げる。



「こんなの一人で何とか出来るわけないだろ!」



その時、岩人形が地面に両手を叩きつけると、見えない何かが周囲を駆け抜け天羅達は動けなくなってしまう。



「体が…」



「何これ…」



「衝撃波のような物か…まずい…」



三人へ目掛け拳を伸ばす岩人形。



「くそっ…」



しかし、天羅達の前で岩人形の拳が止まる。



「間に合った」



地面から土の手が岩人形の拳を掴んでいた。



「玻月の力か!?」



「体が動かなくても何とか戦えるわ!」



「(戦鬼に近い力を持つ異国の巫女…)」



「よし、そのままやっつけろ!」



「出来ない…」



「おいおい、まさか化物になった連中を気遣ってるんじゃないだろうな?」



「違うの…大地が応えてくれない」



「奴の足元を見ろ…恐らくあれのせいだ」



岩人形の足から触手のような物が地面に伸びている。



「なんだあれは?」



「根…確か紫色の宝石は自然を糧にしていたかのように、周囲の木々や大地は腐っていたと言われているわ」



岩人形が土の手を振り払い再び拳を伸ばそうと腕を引く。



「このままじゃ…」



「玻月、俺の足元の地面は生きてるのか?」



「生きてるわ。

でも、恐らくあの岩人形に触れただけでも無力化されてしまう」



「なら俺を包むようにして土で人形を作れ!」



「そんな事したって!」



「早くやれ!」



「わかった」



天羅を中心に土が人形の形に変わる。



「きゅ、窮屈だな」



「初めてなんだから仕方ないでしょ」



「操作は頼むぞ」



「こんな事したって…」



殴りかかってきた岩人形の拳を受け止める土人形。



「一回は防げても…あれ? 応えてくれる!

でもどうして…天羅、何したの?」



「いいから戦え!」



「わかった!」



「(奴の能力か…しかし、岩と土では強度が全く違う。

どうするつもりだ…)」



土人形の拳が岩人形の体を砕きながら壁へと吹き飛ばす。



「やった!」



「岩を砕いた!?」



「衝撃がダイレクトに返ってくるな。

早く終わらせろ」



「すぐに終わらせるわ!」



土人形の攻撃で岩人形の体が砕かれていき、歓喜と悲哀の涙が剥き出しになる。



「こいつを砕けば」



土人形の拳が直撃した瞬間、土人形は土に戻ってしまう。



「そんな!?」



「輝き出したぞ!? 戦鬼早く破壊しろ!」



「体は動くようになったが…くそっ!」



天羅が触れると輝きは増し、目が開けられない程の光りを放つ。



「きゃっ!」



「なんだ!?」



「手が…離れ…」



しばらくして光りは収まっていく。



「う、ううん…何だったの?

天…羅?」



「意識が飛びそうだった…どうした?

戦鬼が何…これは…」



「嘘…でしょ?

天羅ー!」



二人の目に写ったのは、歓喜と悲哀の涙に触れた天羅が全身紫色の宝石に変わり果てた姿だった。

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