一枚目 出会い
国境近くの小さな村で小声で話している村人が二人。
「戦鬼がこっちに来るらしい」
「まさか戦争!?」
「声がでかい!
理由は分からんがヤバい事には違いない」
「くそっ!
こんな村に引っ越すんじゃなかった!
何事も起きませんように」
その頃、森の中を駆け抜けていく少女がいた。
「はぁっ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…きゃっ!」
木の根に躓き転ぶ少女。
「はぁ…はぁ…はぁ…早く国境へ…」
また走り出し森を抜けた少女の前に白装束に白い笠をした者達が現れる。
「白僧衆!?
どうしてあなた方が…」
その時、一人が刀を抜き構えた。
「待ちなさい!
私は何も話してはいないし穢されてもいません!
だから」
少女の言葉を無視し、ゆっくりと近付く白僧衆。
「仕方ない…」
屈むと地面に触れ何かを呟く少女。
「大地よ、我が力を授けん」
すると地面から土人形が現れる。
「時間を稼いで!」
土人形は白僧衆に襲い掛かり、少女はその隙に逃げ出した。
「(どうして私を殺そうと…)」
追いついた白僧衆に驚き、少女は転んでしまう。
「はぁ…はぁ…答えなさい!
どうして私の命を狙うのですか!?」
「知る必要はない」
一人が刀を振り上げた時、一人の男が近付いてくる。
「団子を考えた人って天才だな!
旨くていくつでもたべまべぶ!」
「に、逃げて!」
「ん?」
刀を持った白僧衆は男に斬りかかった。
「ダメッ!」
男はギリギリかわし、手にしていた団子が地面に落ちる。
「かわしたか」
「おい、せっかくの団子をどうしてくれんだよ?
あんこは好物だから取っておいたのに…」
「あの世で食べろ」
白僧衆が刀を突き刺そうとした瞬間、男が素早く投げた串が顔面を捉え頭を跡形もなく吹き飛ばす。
「頭が消し飛んだ!?」
「戦鬼か!?」
残りの白僧衆は一斉に男に襲い掛かった。
「次から次へと鬱陶しい…」
男が腰にあった扇子を広げ大きく振ると白僧衆は風に包まれ、全員跡形もなく消し飛ぶ。
「白僧衆を一撃で…。
これが戦鬼…人を超えた存在」