探しています
「うーん……確かこっちのはずなんだけどなぁ……」
地図を片手に歩く街中
周りには見たことのない品物ばかり
聞いた話だと、この国から少し離れた国が再建したのだとか
その影響もあって、今まで流通していなかった品物がこうして商店街に並ぶようになった、らしい
「(…まぁ、関係ない話なのだけれど)」
この国の名前は『ユリスティロス』
そして、此処はその国の首都『ネリアス』
鉱物の有名な国で、ネリアスはその鉱物を使った煌びやかな装飾品が集まる街
キラキラとした輝きは、些か騒がしすぎて苦手だ
「あ、あそこだ」
やっと辿り着いたのは、こじんまりとしたお店
カランカランと小さな鈴たちが、客の来店を伝える
「おや、あんた見ない顔だね
まぁいい
ようこそ、魔女案内所へ」
出迎えてくれたのは、少しだけ年老いた男性
外見とは裏腹にその瞳は老いを感じさせない程、鋭い光を宿していた
「こんにちは」
魔女案内所、と言うのはその名の通り魔女を案内、もとい紹介してくれる所だ
一部とは言えないが多くの国や地域では、『魔女』を畏怖する対象とする所もある
だが、この国では違う
『魔女』は立派な職業だ
「どんな魔女に依頼かな?」
「いえ、魔女に依頼ではないのですが…人を探しています」
「俺に人探しの依頼か?」
「……そうです
僕は魔女を探していまして」
「ふむ、魔女、か…それはちと探すのに苦労しそうだな
その魔女の名前、特徴、どんな仕事を請け負うかはわかるな?」
目の前の男性…マスターと呼ぼうか
マスターは、資料を持ってきながら俺に聞く
「…それが、“リーザ”っていう名前で女性ということしか知らないんです」
困った笑みを浮かべながらそう言うと、マスターはやはり渋い顔をした
リーザ、なんて名前はこの国にごまんといる
名前と性別だけで、探すだなんて大変なことだ
「んー…魔女でリーザ…か
ちと調べてはみるが、恐らくお前さんが探してる“リーザ”は見つけられんぞ」
「ですよね…」
マスターの言う事は、他の場所でも何度も言われてきた
そりゃそうなのだ
探しているのは、名前だけしか知らない人で、加えて魔女
魔女の中には、居場所を知られるのを嫌う者もいるから…
探し人の難易度はぐんと跳ね上がる
「あぁ、そうだ
“リーザ”というのは本名ではなく愛称かもしれません…」
「…そりゃ探し出せんぞ」
ですよね
「あ!でも恐らくこの辺りにいるとは思うんです
占いやったらここら辺だと出たので」
「…なんだ、あんたも魔女…いや、魔法使いの一端かい
それなら、いくらか絞れるだろうが……」
結論から言うと、何人かには絞れたけれど
俺の探している人ではなかった
期待はしていなかったけれど、思いの外落胆してしまい、無意識にフードを深く被っていた
しらみ潰しに探してくしかないか
地道な努力が大事だし
「早く会いたいんだけどなぁ…」
俺の大切な幼馴染に
さらりとフードの中で白い髪が揺れた