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ダンジョンシステム整備士、津田征也  作者: 氷理
第二部:管理・整備が始まるよ
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こぼれ話:弟は上京するそうだ

明けましておめでとうございます。



 弟の統也が第一志望の大学に合格したため、まだ春休みにも入っていないが母は統也と上京して来た。……妹たちを伴って。

「あれ、今日って金曜日じゃなかったっけ?」

迎えに来た征也の疑問を

「そうだよ!」

「学校休みー」

どうやら勝手に自主休校したらしい。親同伴だからいいだろうけど。

「で、どうする? お昼?」

時間は11時過ぎ、もうすぐお昼時だ。

「少し飛行機で酔ったからもうちょっとしてからがいい」

「私も」

「僕も」

「あらそう?」

妹弟たちは揃って飛行機酔いしたようだが母はケロッとしている。

「じゃ、先に不動産屋、でいいのかな? 車借りてきたから乗って」

「はーい」

「征也が寮じゃなかったら征也の所に置いてもらうところだけどね」

荷物をトランクに入れながら母が言う。

「うーん、てか、学校どこ? それによって不動産屋変わって来るけど」

「何か所かピックアップしてるけど」

統也の手には数枚プリントアウトした間取りがあった。

「何か……自転車でも買うの? 立地微妙じゃない?」

「そうだけどセキュリティーと金額と立地と考えて探したら」

どの物件も駅から妙に遠いような気がする。3つの中で立地を落としたのか。

「むー、これだったらうちの方がまだマシかも? 学校知らないけど」

車を物件の方面へ向ける。どれも同じ不動産屋だ。

「寮に入っていいの?」

「寮は機密保持で駄目だけど、一人になりたいときにって買ったマンションが1軒ある。駅から徒歩15分だから遠いかと思ったけど、多分これよりマシだと思う。セキュリティーもここより絶対いいし」

「じゃあそこで」

母は安易に決めようとする。統也も微妙な顔だが学費を出してもらう以上贅沢は言えないのだろう、無言だ。

「一旦見に行ってから決めた方が良くない? 場所も確認した方がいいでしょ?」

「そうだよ母さん」

統也が住むのだ、統也が見て考えた方がいいだろう。一瞬徒歩15分と口元が動いたのだから、ちょっと不満なのかもしれない。

「そうね、マンションに行って頂戴」

「うん、1時間くらいかかるから」

マンションの方へと車を回した。久々に運転するということで右近からバッチリ加護を付けられたお守りを持ってきている。

「兄さんのマンションってどこ?」

翠が興味津々で尋ねて来る。

「んー、東京の地図詳しい? 駅前はおしゃれな所でマンション付近は閑静な住宅街って感じかな? マンションも多いし、治安も良いほうだと思うよ?」

何しろ征也はぼんやりしていると危険な所には課をあげて近付かせてもらえない状況だ。その課が探して来たマンションだから、場所も治安の良い所にしてあるはずだ。

 それから大学の位置を聞き出し幸いにも駅から乗り換えなしと言うことで統也も表情が一気に和らいだ。大学を考えていないから場所が遠すぎると思ったのだろう。ラッシュも反対向きの電車に乗るので思うより楽かもしれない。

 渚には酔い止めの液体薬を支給した。数回止まって吐き気をやり過ごしたのでドラッグストアーに聞きに行ったのだ。良く効いたのかそれからは車を止めてくれと言わなくなった。顔色が悪くなってきた翠と統也も自分の良いときに飲んで酔いは収まったようだ。

「あとちょっとだからね。大丈夫?」

「うん、酔い止め効いたから大丈夫」

「私も」

「僕も」

「ならそろそろお昼どこかないかしらね?」

「母さんお腹すいた?」

マンションの近所まで来て既に12時を回って丁度お昼時だ。

「すいたけど、車酔いはどうなの?」

「ごめん、僕もうちょっと」

「私も」

「今食べたら吐く」

全然ダメそうだ。

「じゃあマンション見てから周囲を見ながら歩いてランチに行こうか。この車も返してくるし」

この先は車だと酔わせそうだ。駅前に電気屋があったから午後はそこで家電を探すのだろう。

「はいここがマンションだよ」

車寄せに置いてトランクから荷物を取り出す。カーシェアの車はエントランスで受付に鍵を預けて返し、自分の階に進む。

「ここ2LDK。

 右側俺の部屋だから開けないで、左側の部屋使っていいよ。

 トイレ、洗面所、お風呂、こっちもいけるけど洗面所からキッチンにも入れる。あんまり使ってないけど冷蔵庫、電子レンジ、二口コンロ、ケルト、炊飯器、一応揃えてはある。ないのは洗濯機と……あと何か足りないものあるかな? ああ、食器とかキッチン用具は買ってくれ」

簡単に案内する。眷属たちとの関係性が予想外に早く改善してからは使う頻度が減ったので、揃える予定だったものも途中から家電を揃えていないのだ。異界の城に移るまではそれなりに使っていたが、外で食べる事が多くこっちで調理とかはしなかったので色々足りない。

「意外と広ーい!」

「東京って狭いイメージだったのに」

「ここ駅前じゃないから、都心の駅付近だったらもっと狭かったと思うよ。キャンセルで空いた所だったから」

「え、そうなんだ」

どうせ瞬間移動で霊課まで一瞬なので静かで安い所を見つけて貰った。広いのは予想外の副産物だ。

「とりあえず買うものは洗濯機と洗濯洗剤と調理器具、でいいのかな? 他に何かある?」

「室内用の洗濯物干しがあるといいかもね? 掃除用具はどこ?」

母はキョロキョロしながらあちこち開けている。

「掃除機はリビングのクローゼット、後は洗面台の下に」

ここしばらく忙しくて埃被らせてしまったので最近一度ハウスキーパーさんに全部掃除して貰ったのだ。自分で掃除したのは使っている自分の部屋だけだ。

「他何が必要だったかな……? ああ、統也、自分のパソコンが欲しいとか言っていたわね」

「大学はレポートとか全部パソコン作成だから絶対必要だよね。持ってないの?」

母がチェックして必要物品をメモしている。そういえば、と口にすれば征也も必要だと同意した。

「今はスマホ使えば十分。必要な時は父さんのお古を使ってるけど、あれは家族兼用だから。でもレポートか」

「じゃあ、パソコンも」

メモに追加している。

「そのくらい? 他に欲しいものがあればその都度?」

「そうね」

グーッと誰かの腹の虫が鳴った。

「あ、もうそろそろ車酔い大丈夫? お昼食べに行ける?」










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