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ダンジョンシステム整備士、津田征也  作者: 氷理
第二部:管理・整備が始まるよ
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その、五十八 出雲へ出張




 学芸員って凄いっ…………て思う。

 薬草の暑いエリアの入力が終わったため、気候の近い者を集めて配置を決めるのだ。そして配置を学芸員たちから知識と経験を『知る能力』で集めて感心した。

 各植物園は考え抜かれて配置されているのだ。

 洋館エリアの暑いエリア、5×5㎞の範囲に学芸員の知識と経験をもとに約2500種の植物を落とし込んでいく。一番両端は熱帯雨林と砂漠だ。

「はーっ」

和カフェオープン以来、配置・育成に取り掛かっているがなかなか進まない。

 11月の茶会も終わり、来週にはもう出雲へ行くというのに。

 残っているのはステップ気候と砂漠だ。ギリギリ出発まで間に合うだろうか? 所々に気候切替の仕切りカーテンを入れて頭を悩ませている。そしてまた、ため息を一つ。

「ううっ…………」

地味に辛い。こんなにダメージを受けたダンジョンはここが初めてだ。まだ寒いエリアと日本の気候のエリアが丸々残っているというのに!

 根気が!

 続かない!!

「はうぅぅ」

この年になって地理の教科書と共闘する羽目になるとは。



 配置と育成処理が終わったのは本当に直前、前日の終業時だった。






そして初お目見えの神無月、出雲までは新幹線を使う。

「おお、よう来た、よう来た」

出雲へ着くと思金神が迎えてくれた。

「今回は初回故、最低限これだけ会っておけば途中で抜けても構わぬ。知らぬ神々の中に長時間おるのも苦痛じゃろうて」

と挨拶が必要な神々の名簿を渡された。十数柱の名前は会ったことのない相手も書かれており、どうしようかと思ったが

「知らぬ相手も葉月殿なら知っておるはずじゃ。大神の御前に出るときは席次が決まっておるのは知っておるな? その時以外で探して挨拶すれば良い。

 神議り自体は春仁辺りにでも任せておけばよい。前回研修に来てもいることだし、あ奴ならそつなくこなすだろう」

「はい、征様。お任せください」

天司に名簿を見せて紹介して貰い、顔と名前を一致させて覚えるのは苦手だがメモを取りながら頑張って覚えようとする。

 どうにか名簿の全員に挨拶を済ませて、ようやく大神に挨拶する時間となる。

 席次は社持ちと社なしに分かれており、社持ちの中でも信仰の量や格式、神本人の格・神社の格などで変わって来るようだ。神社の建設を急いだのはこの席順のためらしい。社なしで知名度が薄かったり、社があっても信仰が薄れて力を失っている神々は目通りできないそうだ。

征也と天司、従神は神社の建設と開基が間に合ったため社持ちの場所を確保してある。

征也はダンジョンの開業で術者から信仰を得て、地味に毎日の絵馬の願いを叶えることで一般人の信仰を稼いでいるため、信仰の量としてもそれなりに大きいらしい。だがその分1人で前方に座らなければならず、知らない神に囲まれて不安で心臓がバクバクいっていた。

「大神様の、おなーりー」

これは前もって笑わないようにと教えられていたが、将軍の大奥入りを面白がって取り入れたらしい。掛け声で全員が平伏し、上座の御簾の向こうに座った気配がすると

「面を上げい」

と司会進行の神が指示して全員頭を上げる。

 地下、御簾なしの部屋、中級以上は御簾の中の部屋で、上位の神は幾重にも巡らされた御簾の中だ。下位の神から上位の神は見えないようになっている。

 そして、神饌が提供されそれを食べながら神議りの儀が開始されるのだ。



こっそり神議りの儀を遠くから見ていると隣に誰か来た。

「ここは私の場だが……」

「あ、申し訳ございません」

「そなた、誰だ?」

真っ黒のストレートな髪が綺麗な静かで儚そうな青年が尋ねる。

「最近神になりました、津田と申します」

「ああ、……なればここにおってもかまわぬ。そなたも生命の神であろう?」

「はい、失礼ですがお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

「私は月読という。……今の所、あちらは元気な者同士の縁結びの話をしておるようだ。我らは必要ないだろう」

深~いため息をついている。

「大丈夫ですか?」

「うむ、私は…………恋バナというものが昔から苦手でな、毎年この話題の間は離れておるのだ。神と言うものはおせっかいが過ぎる者が多すぎる。

 私は蘇りの神でもあるゆえ、死者に恋をするものを誰かが気に入れば、あの場に引き出されるのだ。そなたも縁結びの相手が病の者ならば引き出されるかもしれん」

月読の命は神代から独身のまま浮いた話もない方である。

「……私も、騒がしいのは苦手な方です。今まで行ってきた神々に引き続き頼みたいです」

「そうだな」

神々の話し合いを遠見で見ながら2柱はポツポツと言葉を交わし、解散する頃にはすっかり仲良くなっていた。

「ではな、津田殿。また来年会おうぞ」

「はい、月読殿。また来年お会いしましょう」

出口前で天司たちと合流するために少し早く月読命と分かれて出発したのだ。

「征さん! どこにいらしたのですか!?」

征也の姿を見て天司が声を上げる。銀達も天司と一緒だ。

「ん? 月読殿と少し離れたところで見ていたんだ。話題に付いていけなかったし、いるだけで人酔いしそうだったから」

「そうですか、月読殿と仲良くなりましたか。あの方は気難しいのですが大丈夫でしたか?」

「大丈夫、そんなに気難しいって程でもなかったよ。多分人見知りの激しい方なんじゃないかな? 慣れればきっと大丈夫だよ」

出雲からみんなで一緒に帰る。











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