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ダンジョンシステム整備士、津田征也  作者: 氷理
第二部:管理・整備が始まるよ
60/70

その、五十七 加護って凄いんだ




 10月の第4月曜日、ついに和カフェ『茶の樹』はオープンした。

 特別宣伝はしていないし、利用するのはダンジョンの術者さんたち位だろう。ダンジョンは先日赤井ちゃんからペンダントのデザインと補佐から各種確率を指示されて、デパート駅エリアまで開通している。

 黒板のポップと1本ののぼり、それだけがカフェの目印だ。

 現在時刻7:30、

「あれ? 何か多くない?」

初日だからと見に来た征也は1階の半分以上が埋まっている客席に首を傾げた。外から社務所に回ると

「あら津田様、驚かれましたか? 実は和食の神社カフェとして神社のホームページに載せましたら、予想以上にアクセスが多くてご来店いただけたようです。

 店内の写真と定食の写真を乗せただけなのですけど、この辺りには朝から軽いモーニング以外食べる所がありませんからね」

西尾が巫女装束でなく着物姿で忙しそうに行ったり来たりしているという事はもしかして

「ええ、お茶会のご予約もご好評のようで、準備しております」

やっぱり。補佐をする予定だと言う平田さんも着物姿だ。

「何か手伝った方がいい?」

「いえスタッフ内でできなければ後々困りますので私共にお任せください」

「そう?」

「もしお時間あるようでしたら左近様の足湯の件をお願いします」

左近は膝痛・腰痛に効く足湯を湧かせて周囲をうろたえさせた。今は石風呂のようになっているが、上に屋根を付けるか周囲に壁を作って家のようにするかは考え所だ。本来なら左近が何とかする所だが研修中で忙しいため制覇の方へ回って来ている。

「はい」

とぼとぼと足湯の方へ歩いて行った。

 社務所の方を気にしながらもスケッチブックを出して思案する。


 足湯と周囲の距離を測りながらようやく足湯の家とでも言えそうなレイアウトを書き上げた征也は、一度宮司の意見を聞こうと社務所に戻って来た。

「どうです?」

「多かったですねぇ、今日はハイエナたちの残り分もなさそうです」

ハイエナとは最初は順番を守り1人分ずつおにぎりを貰っているが、一通り回ったと見ると大量に買って食べる大食い術者たちのことだ。

「予想外でした」

「あんなに来るとは思いませんでした」

そして副店長は

「これから昼の分の仕込みをします。作っていただけでは足りないようですから。2階までお客様が行っていないだけまだマシです」

と厨房に勇ましく戻って行った。

「昼は誰が来るの? 近くの大学生?」

「そうですね。それと参拝客ですか。朝よりは少ないと思いますが」

いらしたのはご高齢の方々でした。

「朝参拝ついでに食べられたのを老人会で話されたそうで……」

宮司が有り難いが初日なのにと胸を押さえながら倉庫から米を持ち出している。確かに大盛でなければ胃に優しい健康的な和食と言えるだろう。

「さあ、次ですよっ!」

西尾も予約が詰まっているようでお昼を手早く済ませると箒と雑巾を持って茶室の方へ行っていた。

 ご高齢の方々が帰る頃に大学生たちが入って来た。その後も14時のオーダーストップまで入れ替わり立ち代り客が来るので皆大わらわだった。

「お、落ち着いた?」

結局征也も皿洗いに駆り出されてひたすら皿を洗った。

「残りはカフェタイムですね」

「もう大丈夫でしょう」

厨房もホールも疲労困憊である。バリスタな店長だけが今はカウンターで頑張っている。

「思うに配るより持って行って貰った方がいいのかも」

「半セルフみたいな感じですか?」

混乱の極みから脱した彼らは社務所の畳の上で足を揉み解している。

「明日もこのくらい人が来たら考えよう」

西尾さんは早々に唯さんに連絡して来られる日を確認している。

「「「加護って怖いね」」」

こんなにお客様が初日から来店するとは思わなかった店員と神社の職員は揃って呟いた。










 数日後―

 定食は半セルフとなり大盛お替りの人の御茶碗の色が変わった。食券機裏の台には業務用炊飯器がドーンドーンと鎮座している。2台あって何とか朝の欠食児童どもに対応できると言っていた。

 2階の予約シフトには志津さんまで入っているそうだ。




後日、正職員1人とバイト2人が加わった。

 更に後日、術者たちはカフェに入らずダンジョンの家の方で受付職員が持ってきたものを食べるようになった。

 更に更に後日、志津さんのお弟子さんが2人2階のシフトに入り志津さんが抜けたとのこと。外国語に堪能な女性たちだそうだ。






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