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ダンジョンシステム整備士、津田征也  作者: 氷理
第二部:管理・整備が始まるよ
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その、五十六 隠れ家





『津田君、デパート7階の隠れ家の使い方を教えてほしいのだけど。明日お客様が来るの、大丈夫かしら?』

「はい」

と補佐に言われ、翌日。

 応接室へと呼ばれるとスーツの知らない男性が2人来ていた。

「内藤と言います。こちらは高橋、今回は実際どのようになっているかだけ見せて頂きたい。その上で持ち帰って検討します」

見定めるように眼光鋭い男が自己紹介してくれる。

「補佐、俺が中の案内をすればいいんですか?」

「ええ」

「では、まず手書きのノートで申し訳ないのですが図面です。

 部屋のサイズはワンルーム・1LDK・2LDK・3LDKまであります。

 玄関の隣についているのが受取り口、これはダンジョンの家の受付と繋がっていて通販で届いたものを送って貰ったり、逆にゴミや荷物をこちらから出したりします」

「ダンジョンの家の受付はどこに?」

内藤は通信先の方も気にしている。

「補佐、あっちは何か予約要りました?」

「いいえ、お二人には後で私の方でご案内します」

「お願いします」

視線が征也に戻って

「受取り箱以外は特に普通のマンションと変わったことはありませんが、窓は開きませんので完全に空調管理になっています。変な間取りではないですよね?」

「普通だな、問題なく使えそうだ」

「普通ですね」

「少し回遊型を取り入れたのね。使いやすそうだわ」

間取りに問題はなさそうだ。

「それで、部屋には植物の名前がついていて今の所16のグループに分かれています。万が一仲が悪い人同士が保護されて中で殺し合いとかシャレになりませんから」

「ありそうで嫌よね」

補佐が顔をしかめる。

「他にも所属とか派閥とかの争いもあるかもって辻本君……あ、一緒に原案を考えてくれている大学生の術者さんです」

「管轄ごとにしておくのが賢明でしょうね」

高橋も真面目な顔で頷いた。内藤は眉間にしわを寄せている。あるのか、やっぱりあるのか、と征也は呆れる。

「と、グループごとに特徴と公民館があります」

「それは?」

「例えば、……グループは春夏秋冬と草の花・木の花・草・木の4つを組み合わせて16なのですが、例えば草のグループはワンルームと1LDKが多いとか、木の春夏の所は全て3LDKとかです。

 用途に合わせて使い分けるといいでしょう」

各グループの部屋数と内容を書いたページを見せる。

「もしもっと小さく分けたいと言うなら防火扉で仕切る手もありますけど」

「細かく分けられて良さそうだな」

内藤は勝手にページをめくってフロアの配置図を見ている。

「実際に見せて貰う事は?」

高橋が進める。

「あ、説明が終わったら実際に見て貰います。鍵の件は見ないと分かりにくいでしょうし」

「あと説明は公民館と迎賓館かしら?」

補佐に支援して貰って

「はい、一応体育館もあるにはあるのですけど大人にはあまり関係ないでしょう」

子どもの遊び場で特徴はないし、と思ったら

「すみませんが全て見せて貰えませんか?」

と内藤に言われてしまった。

「はい。

 では次、公民館です。公民館はグループに1つずつあります。玄関右隣に男女トイレと多目的トイレ、一応子どもが来る予定の木と木の花エリアには多目的トイレの所に子ども用トイレも設置してあります。

 玄関正面が図書館、ここはまだ本を入れていないので中身は応相談です。

 で、図工室・音楽室・児童遊戯室・子育て相談室・調理室です。その、隣に待合室・奥が医務室、給湯室があっておくがシャワー室、小会議室になっています。長期で入る場合は病気の可能性もありますし、医務室はダンジョンの家から医者を呼びます。小さい子が入ったら乳幼児健診もありますしね。

 反対側が図書室隣の事務室、和室。和室は踏み込みの先に茶室でこっちは水屋。えー小会議室が2つありますが繋げて40畳の中会議室にしても使えます。

 一番奥が大会議室、70畳あります。大会議場は、というかこのダンジョン内は無線が使えないので盗聴器が不安な会議とかもできます。携帯の電波はスイッチの切替式で可能です。

 一気に行きましたけど大丈夫ですかね?」

お茶を飲みながら落ち着く。

「盗聴器対策が万全ならここが一番使うかもしれんな」

「そうですね」

内藤と高橋が頷きあいグループの部屋と見比べている。

「ええっと、後は……」

「迎賓館」

「あ、そうでした。迎賓館はありますが、何も入れていないので使うときは好きにレイアウトしてください。

 公民館は各グループにありますけど、迎賓館は2つだけです。そしてグループに入っていません」

「分かりました」

「入口、エントランスは広くとって正面がリビング・ダイニングはくっつければ90畳くらいになります。キッチンまでがパブリックスペースかな?」

「先ほどより広いですが、ここの盗聴対策は?」

「公民館と同じ仕様になっています。で、廊下を挟んで会議室、60畳ですが区切って20畳ずつにすることができます」

「なんだか迎賓館より会議場としての需要が高そうね?」

「そうですか?」

「大きな事件の会議室として最適ですね」

内藤までそんなことを言う。

「会議室の隣は大浴場です。内湯1つだけですが広々として……いえ、人数によりますが」

会議場として使われた場合の人数を思ったのだろう。

「一応ロッカールームは20ありますが足りなかったら発注してください。こっちが男湯でこっちが女湯、形は同じで違うのは脱衣所にあるトイレだけです。

 あとは客室、リビング側に大きな客室とお付きの控室、キッチン側に普通の客室です。普通の客室はシングルですが、机を抜いてベッドを入れればツインに出来ます。お好きなようにどうぞ」

「組み立て式の二段ベッドでも入れればいいか」

完全にお客様用の思考ではない。

「一応普通サイズのキッチンとダイニング、あと洗濯機も普通サイズ2・大きなサイズ2と乾燥機2が付けてあります。何が必要か分からなかったので」

「全くもって迎賓館より作業場に最適になってない?」

補佐は頭痛がすると頭を押さえる。

「残りは体育館ですか。体育館は普通にホールとステージ、ステージ下と横に倉庫、入り口横にトイレ、あと全体が見えるように2階が周囲についていますね。それだけです。広さが20×20mで迎賓館のリビング・ダイニングより狭いし色々付いていないので使い勝手はイマイチかも」

「これなら迎賓館の方が良さそうですね。1つは迎賓館に、2つは作業場として使えそうです」

高橋は作業場に変換する気だ。

「あとは、実際見に行きますけどいいですか?」

「行きましょう。補佐から特殊なカギと訊いています」

ノートを閉じてポケットから鍵を取り出した。

「これです。見た目普通の鍵なのでなくさないでください。

 柄の所に表が部屋の名前、裏が植物の絵になっていますが、この絵の方に血を一滴垂らしてもらってください。霊力を認証しますので以降その人だけが使えて他の人は使えなくなります。

 何もない壁に突き立てるか扉の鍵の所に充ててください、実際に使ってみますので見てください」

征也は2人に見えるように応接室の扉の持ち手の下、鍵の上辺りに鍵を当てる。すると扉が木製から鉄製の色に変わった。

「色はこんなですけど重くはないので子どもでも大丈夫です。開けている間は誰でも通ることができますから一緒に入られないように注意してください」

「鍵を持っている人がいれば数人一緒に入ることができるわけですね?」

「はい。入り口はどこからでも入れますが、出口は今2か所でダンジョンの家とこちらの会議室にだけ繋がっています。他に要望があれば2・3は新しい出口を付けられます」

2人は頷き先を進める。

「ここはすべて揃っている木の花の冬の所です。3LDKのハクモクレンの部屋です。

 玄関は行って隣が受取り口です。小さいでしょうか?」

パカリとクローゼットのように開いて中を見て貰う。

「使ってみないと分かりませんが十分ではありませんか?」

「使ってみたら感想をください。あと改善点も」

「分かりました」

高橋と話している間に内藤はあちこち見て回っている。

「自由に見てもらって、あと他の部屋も大体見てください」

「ええ、失礼しますね」

高橋もあちこち回り始めた。

「次をお願いします」

全ての部屋を見て回ったようで内藤がそういった。

「基本、玄関のダイヤルで行き先を決めるので廊下は使いません。ただ、外に出ての移動が危険なグループ内でのご近所さんへの移動や公民館や迎賓館へ行くときは廊下を使います」

廊下へ出て順番に2LDK・1LDK・ワンルームと見ていく。

「家の方には問題ないようだな」

「はい」

「では公民館に行きましょう」

公民館を案内し、その次には迎賓館、そして体育館を案内する。

「以上になりますが、どうでしたか?」

「鍵がどこからでも使えると言うのは魅力的だな」

「迎賓館も作業場として使えそうです」



 その後、細かい変更点を依頼され、所々修正して貸し出した。

 迎賓館への入りは鍵でなく暗証番号制にされて警察庁の作業場として活躍する事となる。





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