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ダンジョンシステム整備士、津田征也  作者: 氷理
第二部:管理・整備が始まるよ
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その、四十七 札師候補と駅とデパートの構想





「んー、今日の所はこれでOKかな? 札は外注にしたいところだけど……、誰かいい人いる?」

松林の所から帰ってきて会議室でいつも通り座る。

「腕のいい札師ですか。心当たりがないこともありませんが……」

「?」

歯切れが悪い。天司にしては珍しいことだ。

「加奈さんの実家である東山家の関連でちょっと……。あちらへ聞いてみましょう。多分本人は当代一の札師なんですよ、本人は」

「うん?」

天司に促されて加奈に電話すると

『ああ、うちの一族から婿に行った方で本人はいい人です。ただ、相手方の家が野心家でして、優秀な子を洗脳するように囲い込むように夫にしようと画策していまして……。目をつけられた彼は既に洗脳状態から抜け出して迷惑しているんですが、娘さんがストーカーのようになっていて困っているんです』

と深いため息をついた。

「んー。その人の娘さんが困った人なの? 警察には言った?」

『正確には義理の娘に当たります。奥方は札師さんのお兄様を酔わせて妊娠したと主張しましたが既に婚約が成立していましたから、外聞が悪いと弟と結婚になったのです。結局はうちの一族との血縁関係は全くなかったのですけれど。

 警察には言っていません。家には入れないように指定された結界が貼ってありますから、会うことは出来ませんし……』

会えないなら実害がないってことで大丈夫なのか?

「その札師さんに依頼するとその妻子がついてきて困るってこと?」

『はい。彼がいるからこそうちの分家である波川家に出入りができるのですから』

「霊課に呼び出して家と関係ないところでも無理?」

すかさず天司が

「それが、霊課でも問題がありまして……」

と口を挟む。

「ほかにも問題が?」

『ああ、何度も押しかけてきているそうですね』

「霊課の所属はある種のステータスです。入職を希望して基準に満たなかったので入れなかったのですが、本人はそれを不服として何度も事務所に押しかけてきています。どうも実力に見合わない自信があるみたいで……、父親が呼ばれたら絶対ついてきます」

『そうですね』

解説する辻本と同意した加奈が同時にため息をつく。

「あー、離婚でもしないとだめなのか。……ほかに人いないの?」

本人がどう思っているのか知らないが妻子に甘いところがあるならこちらでの依頼は無理だろう。他に誰か探した方が無難なんじゃないかな。

『あっ! 離婚すれば万事解決です! そうしましょう! すぐに本家に行って弁護士を呼びます!』

ブチッ

「え、ちょっと!」

電話が切れてしまった。

「本当に本人は腕のいい札師なんで手放したくないんですよ。妻子は迷惑ですけど。……あ、事務所行ってきます。補佐に言ったら協力して貰えると思いますし」

「ちょっと待って! 待って!」

辻本が颯爽と部屋を出ていく。

「征さん、諦めましょう。優秀な札師を得るためです」

天司は実にいい笑顔だ。

(他人の家の事情に関係するつもりはないんだよ、天司君……)

と声にならない言葉は心の中でだけつぶやいた。





しばらくして気分が浮上した頃に戻ってきた辻本に恨めし気な視線を送ったが、全てスルーされた。

「さて、辻本君、第二ダンジョン駅エリア作成、進めようか」

「はーい、ダンジョン空間の空きを見たんですけどね、地下鉄の駅の上にデパートをつけて縦に高くしたらどうかと思うんですよ」

「んー?」

「今、第一ダンジョンの4階隣に洞窟エリアがあるじゃないですか。その上が神使の住居でしょ?」

「うん」

「住居・洞窟エリアの隣にデパートをくっつけて洞窟エリアの下に駅を入れたらどうかと思うんです。第一の5階と6階、最下層の隣に丸々地下鉄を入れたらそれなりに広いでしょう?」

「あー、成程。横の空間余ってるしね。でもダンジョンにデパートって……」

微妙な顔をした征也に

「小さくて強力な魔物を想定したものならあり得るのでは? それに今は浄化をダンジョン内で行っていますが、魔物が市街地域に出てきた時の訓練にもなると思いますよ」

天司がフォローする。

「ああ、そういう場合もあるのか。人が多いと魔物が発生しやすくなるとかあるらしいし」

「周囲への被害を最小限にして確実に仕留める必要がありますからね」

辻本も補足する。

「うんうん」

「いくつかのデパートを参考にして売り場を広くとったり狭くても渡り廊下とかでいくつかつなげたりすれば広くても大丈夫でしょうし、駅の出入り口から上の階をつないでおけば避けられないでしょう」

辻本はデパートの見取り図はこれから取り寄せて広さを変えるか繋ぐかはそれを見てから考えようと提案する。

「第一は1階ごとを高くとってあるから4階っていっても普通の高さの階なら高くとれるか」

「そうですね。8階程度なら床の配線を多くとっても十分だと思いますよ。このあたりで一回休息所を入れますか?」

天司の疑問に征也も疑問を返す。

「狐さんたちの出入り口は各エリア入り口に作るから大丈夫だと思うけどなぁ。かなりきついと思うけど、術者さんでこのエリアに入ろうって人はいるの?」

「第一から始めても段々修行して技術を上げれば参加者も増えてくると思いますよ。今までは大した力のない相手ばかりで経験のなかったが故の実力不足だった術者もいるでしょう」

「ああ、そういえば不知火さんも最初何とかゴールできた感じだったのに何回か入っているうちに大分安定してきたよね」

「ええ」

「洞窟エリアの公開はもう告知してあるんだよね?」

「3日前に5階・6階に入った術者には通知してありますし、掲示板にも貼ってあります」

洞窟エリアの公開は来週になっている。

「だったら、ここら辺で休息所も入れておいて……。……喫茶店あたりでも設定しておく? あーでも宿泊所でもあるから、ホテルっぽく作った方がいいのかなぁ」

「資料を取り寄せてから考えましょうか。偶数の階とか決めて喫茶店をしてもいいかもしれませんし、デパートの上の階がホテルになっている構造でもいいと思いますよ?」

「うん、モデルを決めてからにしようか」

そう言ってネットからモデルになるデパートを探して印刷してみた。




結局、ダンジョンの広さもあって数種類のデパートを組み合わせて繋ぎ作ることになった。








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