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ダンジョンシステム整備士、津田征也  作者: 氷理
第二部:管理・整備が始まるよ
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その、四十五 お狐様?

皆さま、お久しぶりです。

更新が滞っていて申し訳ないです。





8月末-

会議室にキエート・征也・辻本・天司が集まっていた。

「明らかに減ったよね、人数」

そう、お盆で術者たちが仕事へ帰った後ダンジョンに戻ってこないのだ。

「いつでも採取できると思っているのでしょうね」

「そしてお盆前に必要な分を取ってしまったと……」

「……ダンジョンで討伐を専門に行ってくれる術者さんとかいないかなぁ」

「入場料も結構することもありますし、他で仕事をしないことには食べていけないのでしょう」

征也のぼやきに辻本が答える。

「不知火さんが今一人で専属やってくれているけど、いつかは姫神様たちのところへ戻るだろうし……」

と悩んでいるところへ噂の不知火がやってきた。後ろには誰か知らない女性がいる。

「こんにちは、どうかしましたか?」

「すまない、今いいだろうか?」

「はい、大丈夫です」

「紹介する。私の従姉の松林由香利という」

おそらく20代後半であろう女性を紹介した。彼女は随分と顔色悪く憔悴している。

「松林と申します。失礼ですが、津田征也さまでいらっしゃいますか?」

「ひゃい!」

決意みなぎる瞳を向けられて思わず変な声が出た。

すると突然土下座姿勢になって足元にうずまった。

「伏してかしこみかしこみもうしあげます。この身を捧げますので、どうか、どうか、娘をお助けくださいませ!」

と頼んできた。困惑の視線を不知火に向けると

「彼女の3歳になる娘が生まれつき病気でな。最近医者にもうそろそろ命が危ないといわれて、治療の茶会に参加したいのだ。もちろん、津田殿が運営に関わっていないことは承知しているのだが……」

と帰ってきた。

「それは霊課のほうへ……担当は誰だっけ?」

「朝倉さんですよ。左の突き当たりの部屋にいます」

天司が担当を答えると、彼女は頭を下げて部屋を出て行った。

「あの人も術者さん?」

「いえ、力が弱いので普段は一般人として過ごしています。たぶん頑張っても3階が限度でしょう。どちらかといえば使役向きの能力なので、攻撃系は苦手のようです」

「使役って?」

「式神など契約して使うことですよ。多分人ならぬものに好かれる体質なのでしょう」

天司の説明にうなづいて不知火も彼女の後を追って部屋を出て行った。

ふと辻本が言い出した。

「津田さん、育成シュミレーションゲームってご存知ですか?」

「は?」

「キャラを使役して戦うことが多いんですよ。キャラは物とか神とか妖怪とかを擬人化したものなんですけどね?

成長させて強くしてゲームをクリアするんです!

津田さんならいろいろ作れそうですし、使役させて浄化させる役割なんかはどうでしょうか!」

キラキラ目を輝かせて期待に満ちた表情で征也を見ている。

「あー」

聴いたことはあるが、実際にやったことはない。

「……辻本君、お勧めのゲームを教えてくれるかな? 一応やってみるよ。あ、初心者用で難しくないやつがいい」

そうか、専属がいないなら作ってみればいいということなのか。



そして、3日後-

やり方や世界観などを教えてもらった。先まで進んでいる辻本のボス戦などは見ていて絶対無理だと思ったが、一応考えはまとまってきた。

「とりあえず、神社にある神祭具の九十九神……の分霊? はどうかと思う。オモイカネ神に相談してから考えようと思おうけど」

「そうですね、オモイカネ神に最初に相談すればスムーズに行くかもしれません」

「使役する人は霊力低めの人を想定して……」

「この間の女性のような方ですか?」

「そう。霊力は低いけど神様に愛されている系の人なら協力して貰いやすいかなって」

と、いうわけでオモイカネ神に相談したところ、ちょうどそこへ来ていたウカノミタマ様が

「なるほど、協力している術者が減っておるか。

その補強に分霊か。なれば、うちのキツネたちを使ってもよいぞ」

と言い出した。

「稲荷の使いといえばキツネですからね。どの程度までお貸しいただけますか?」

「そうじゃの? まあ、最初は気狐か地狐あたりが良いか。慣れぬうちは力がありすぎるのも困るじゃろうし」

「確かに、力に振り回されそうですね」

天司が交渉を進めている。征也は横から口を挟むこともない。

「そうじゃのぅ。ならば、また実験からはじめればよい。分霊ならばウカノミタマの仕事を邪魔することもあるまいて」

とオモイカネ神も実験を進めることを承諾する。

やがて3柱で煮詰まっていく議論に征也は置いてきぼりを食らっていた。

「とうわけで、征さん?

これから地狐さんと気狐さんたちがご挨拶にいらっしゃいますからね。

分霊化は俺が行いますので、使役させる用法を考えてください」

結果だけ聴いた。

「ごめん、地狐さんと気狐さんってどなた?」

「両方ともウカノミタマ様の眷属で修行中の狐さんたちのことです。妖狐、とも呼ばれますね。地狐さんは尻尾が2本以上7本以下で気狐さんは尻尾が8本になった狐さんです。これが9本になると九尾の狐と呼ばれるようになります。

地上では地狐さんでも十分能力がありますから浄化するには問題ないと思います」

「ああ、そうなんだ。修行中の狐さんね」

「最初は2~3匹から行きましょう。人によっては五行の相性もありますし、陰陽によってもまた変わってきますから様子を見ながら進めますか。彼女の方へは予定を聞いておきましょう。お茶会の件もありますし」

そう言って松林に連絡を入れていた。

やっぱり治癒のお茶会で釣るのだろうか?

猪突猛進そうな性格に見えたけど、あまり反発しないでくれると嬉しいな。




翌日、莫大な費用だと聞いたお茶会の費用無料が効いたのか、夜話の茶事で早急な治療の手配が良かったのか、松林は満面の笑みで会議室に来ていた。




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