その、四十四 洞窟エリア、作成
8月に入り、辻本と第二ダンジョンについて話し合った。
第二ダンジョンは、洞窟エリア、洋館エリア、地下鉄駅エリア、城エリアに分かれており、お盆前には最初の洞窟エリアを話し合って実際に作成を終えることを目標にしている。
「魔物はアイテムを守る固定の場所にいるものと周回するものの2種類をつくる。固定は1~4ctの弱いものを2・3体と10~12ctの大物を1体の構成で。周回しているものは5~10ct単体にする……と」
記録ノートに書き込みながら整理する。
「はい、これならアイテムの場所を見間違わないでしょう」
「そうだね。
アイテムは符とナイフ。これはダンジョン内で少しずつ浄化している霊力を使って作成する。紙とナイフが一定数仕込まれていて、完成すると人に見える場所に出てくるってことで」
「はい。ただ、どうやって補充するかが問題でして」
辻本と征也は首をかしげた。
「コンに頼む?」
「コンさんも第一ダンジョンのほうで忙しくないですか?」
「んー、じゃあ、もう一体第二ダンジョン用に作るかー。何がいいと思う?」
ないなら作ってしまえ、が基本になってきている。どうせ自分の霊力か神力なのだ。よそにお金を払うわけで得もない。
「被らない方がいいですよね」
「そだね。……よし、キツネコにしよう」
唐突に造語を作ってしまった征也に
「何でしょうか、それ」
と聴く。
「キツネの尻尾にネコの身体をもった創作動物だけど、それなら見た目被らないし見分けもつくよね。ニャ、とか語尾につけたら話でもわかるし」
そうして作られたキツネコはネコの頭と身体に尻尾だけがキツネの黒い姿で、第二ダンジョンの管理者となった。
「キツネコだニャ。よろしくニャ」
「じゃあ、キツネコ。符は100枚ごとに、ナイフは10本ごとに追加してくれ」
「わかったニャ!」
胸を張って初仕事に答える。
翌日、翌々日は邪気の敗戦を行い、アイテムを配置した。
「試してみるにしても霊課のみんなは8月忙しいっていってたしねぇ。辻本君は4階が限界だし……不知火さん、大丈夫かなぁ?」
「予定をきいてみてはいかがでしょう?」
電話で連絡してみると
『今ダンジョン内にいます。すぐ、あがってきます』
と8月ももう7日なのに帰っていなかったことに驚いた。
「今年はこちらへ集中するようにと姫様方に言い付かっておりますから」
と説明された。そして呼び出した理由を説明すると
「第二ダンジョンですか。より、上を目指すものにとってはよいことだと思いますよ」
と協力を了承してくれた。
「不知火さんは12ctまででしたよね? 最大で12ctで他にも小さいものと混合で出てきますが、行ってみますか?」
「お願いします」
中のつくりを説明してから送り出した。
不知火は苦戦しながらもゴールした。
ナイフ1本と符6枚をとったが、魔物と戦った際に2枚使用して出てきたときは4枚となっていた。
「どうでした?」
「さすがに厳しかったですね。ですが倒せないほどではありませんし、実践に近く訓練には最適ですね」
どうやらこのままで進めてよさそうだ。
「このまま進めようと思いますけど、魔物の数やアイテムはどうでした? 使い勝手とか聞かせてもらえたら」
征也の質問に不知火は少し考えて答える。
「魔物の数も強さもこのままで問題ないようだ。ただ、ダンジョン6階を制覇したばかりの術師にはかなり厳しいかと。あらかじめ強さを教えておけばよいかとは思うが、身の程知らずに注意は必要でしょう。
アイテム……は道具のことか。符はとても性能がよかった。強敵にも一発だった。……できれば攻撃用の符だけでなく結界用の符もあればよかったと思う。3階のような休息所がない以上、途中迷子になる可能性もあるし力尽きることになりかねない」
不知火の言葉にうなづいて、
「結界符で篭って回復を待てばいいのか。じゃあ、攻撃用と結界用と……これは回復用も入れたほうがいいのか?」
と変更か追加かと考える。
「あればいいとは思うが、それは術者の力量だろう」
「ありがと。辻本君から何かある?」
「うーん、そうですね。魔物を倒して符を取った後、すぐにまた魔物が出現していたのでもう少し出現時間を遅らせたらどうかと。少なくとも5分、10分程度は」
「ああ、確かに符を取って振り返ったら魔物がいたときには驚いた。考慮してくれるならありがたい」
不知火と辻本の助言を入れて洞窟エリアの準備は進められてて行った。




