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ダンジョンシステム整備士、津田征也  作者: 氷理
第四章:ダンジョンを増やそう
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その、三十三 午後の時間





午後、王庁の警備部隊がやってきた。

「王庁警備部第二小隊長の古田打。よろしく頼む」

黄泉の山村の豪快野生っぽい雰囲気とは違い、完全に体育会系の気のいい兄貴分といった雰囲気だ。三浦・杉本という部下を連れている。

「津田と申します。こちらこそお願いします」

そう言って最下層へと案内する。

「ここで最初の討伐実験を受けてもらいます。

足元に排気口があります。分りますか?」

近くにある排気口の2つに赤い光がともる。これで一目でわかるはずだ。

「えー、初心者の方は最初0.25カラットから、3回倒したら0.25カラットずつ上昇してきます。

中級者の方は4カラットから始めて3回倒したら0.5カラットずつ上昇していきます。

大丈夫ですか? 島田さんが大体黄泉と同じくらいの力量とおっしゃっていましたので似たような試験を行いますが」

何でも王庁と黄泉は年に1回程度合同演習を行っているらしい。

そのときに互角の戦いをしているというからこれでいいと思うが。島田も異論なさそうに頷いているし。

他の3人も大丈夫そうだ。

「では、右側が初心者用、左側が中級者用です。古田さんはこの後になりますので少しお待ちください」

2人が排気口の前に立ち、刀を構える。

「始めます」

排気口から黒い邪気が噴き出してくる。

邪気はすぐに魔物に形成され、動き出す。

「はっ!」

「とーっ!」

気合の入った声が聞こえる。黄泉の討伐試験の時よりも討伐速度が少々早いようなきがする。

しばらく見ていると、

「ぬぉぉぉぉー!」

「三浦! そこで止めろっ!」

振りかぶって隙を突かれた三浦に襲いかかっている魔物に古田が刀を振るい、一撃で倒した。

「三浦さん、2カラット3戦目で終了です。初心者用は1.5カラットでどうでしょう?」

征也が島田と古谷提案する。

「まあ、そんくらいでしょうか」

「安全を考えればそうだな。そのレベルと常に戦い続けなければならんのだろう?」

「そうですね。最初にある初心者の階はレベルは上がりませんが、同じ強さの魔物が出るので地味に突かれると思います」

島だと古田の同意を得たので初心者の階は1.5カラットと決める。

「では、一番下の階は1.5カラットでお願いします」

「はい」

話しているうちに杉本の方も苦しくなってきたらしい。

「ぬんっ!」

息が上がって玉のような汗をかいている。動きも大分キレを失ってきた。

「たぁっ!」

現在9カラット3戦目、もう少し行けるだろうか?

「はっ!」

10カラット2戦目で魔物は倒したが体制を崩し、形成された次の魔物に間に合わない。征也が開繊を止め、古田が割って入る。

「杉本、終わりだ」

杉本は古田に倒された魔物を見て気が抜けたのか倒れ込んだ。石造りの床に寝転んで荒い息を整えようとしている。

「中級は8カラットでどうでしょうか? 初心者用も中級者用も黄泉と同じになりましたけれど」

一応確認してみる。

「ああ、我々と黄泉はそう変わらぬ実力があるからな。同じになるのも仕方ないだろう」

「そうですね」

2人とも納得しているようだが、若干悔しそうな響きがある。もしかして微妙にライバル心があるのかもしれない。

「次、古田さん、黄泉と同じなら20カラットから始めたいと思います」

「よしっ! いつでもいいぞ!」

「左右の排気口から交互に出ます。最初は左の排気口から。では、始めます」

真っ黒な邪気が排気口から出てくる。最初に形成されたのは幽霊。

古田の戦いは意外に静かだった。

剣舞のように美しい太刀筋で次々に切って行く。

30カラットを過ぎても流れる様な動きに変りもない。

36カラットを過ぎて少々服に切れ目が入る程度、表情もそのまま苦でもないように見える。

「強いなぁ。ちなみに黄泉の山村さんは部下が心配だったらしくてここでリタイアしていました。こうなったら最後まで見たいけど……」

独り言のように征也がつぶやいた声に島田が意外そうな顔をする。

「あの方でも部下の心配をされるのですか?」

「していました。そうですよね、見えませんよね。戦闘狂とか言われていて本人も気遣いとかするように見えませんでしたし」

既に40カラットに突入している。

少し疲れが表情に出始めたかな? と気付いたのが44カラットの時、まだ続けている。

中級者で8カラットなのだから、段々意味がないかもしれないように思えてきた。

「古田さん! ダンジョンってみんなで使うものですよね! そこまで強い人って多いんですか?!」

どこまでもいきそうな古田に一応声をかけて見る。

「止めてください」不本意そうな声で古田が止めるように言った。

46カラット2戦目である。

「お疲れ様でした」

「いえ、部下の実力を考えればここまでする必要はなかったですね。お手数おかけして申し訳ない」

そう言って古田は頭を下げる。

「いえいえ、左記に言っておけばよかったですね。どのくらいが上限にしていい範囲ですか?」

「35カラット辺りが上限になるかと思いますが、できれば40カラットまでつけていただけるとありがたい」

確かにここまで来た実力があれば、部下の訓練ならともかく本人には物足りないだろう。第二小隊長と言っていたし、他の小隊長や実力者も使うかもしれない。

「わかりました。一番下の階は40カラットにしておきます」

全員会議室へと戻る。

「分割は黄泉と同じでいいですか? 休息場所や魔物の強さ上昇などの基本設定はそのままで道筋の構造だけ変えておきますか? それともご希望があれば別の構造にしましょうか?」

「基本的には黄泉と同じ構造でお願いしたいが、できれば順番に強くなる階の他に強弱入り混じった階を作っていただきたいのですが、可能でしょうか?」

と古田が提案してきたので

「できますよ。どの辺りで入れておきますか?」

と答える。

「強さが一定の階の次に入れていただけますか?」

と島田が決める。

一定の強さの階の下にそこまでの強さで強弱入り混じった階を付け加える。中級実践階・上級実践階・強者実践階・最下層実践階と名付けられた。

「では、明日は集団演習をしたいと思います。初心者は2階で1.5カラット、中級者は5階で8カラット、上級者は最歌唱で20カラットを相手にしていただきます。大丈夫ですよね?」

「はい、黄泉からスケジュールを聞いて、演習の人員は集めてあります。明日の8時半集合でよろしかったか」

「はい、よろしくお願いします」

そうして彼らは帰って行った。



順調に集団演習も進み、計画と相違ないことを確認した。






王庁さんは黄泉と仲良し。

考え方も結構似ているらしい。

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