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ダンジョンシステム整備士、津田征也  作者: 氷理
第四章:ダンジョンを増やそう
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その、二十九 設計報告書を作成しましょう




14時半、山村は部下たちを帰し、交代で岸田と酒井がやってくる。

「では、概要と設計図です。確認をお願いします。

1階は初心者用、3×3㎞、魔物1.5カラット、です。この階のみ休息所がありませんので気を付けてください。

2階は中級者準備階、5×7㎞、魔物はAエリア:1.5~3カラット、Bエリア3~5カラット、Cエリア5~8カラットです。

休息所はエリアの境目に設置予定になっています。普段使わない方々でも休息所を過ぎたら次のエリアと説明すれば解りやすいでしょう」

「休息所が目印だと見逃さずに済みますし、進むか退くかを考える場所としても良いでしょうね」

岸田は納得してくれたが、山村は不満のようだ。

「なんか過保護すぎねぇか?」

「初めての試みなのですから安全性重視です! これくらいでいいのです!」

征也も基本方針は安全性重視に進めている。喧嘩すると長くなりそうなので次に進める。

「では、次。

3階は中級者用、5×7㎞、魔物は8カラット。この階の休息所は丁度真ん中に1カ所のみになっています。

4階は上級者準備階前半です。8×8㎞、魔物はAエリア8~10カラット、Bエリア10~12カラット、Cエリア12~14カラットです。4階の休息所はエリアの境目です。

5階が上級者準備階後半、広さと休息所の場所は4階と同じです。魔物はAエリア14~16カラット、Bエリア16~18カラット、Cエリア18~20カラットです。

岸田さんのご希望により2階に分割しました」

岸田は真面目に聞いているが、山村はふてくされているのか聞いているようではない。

「6階が上級者用でここ以上は10×10kmで設定しています。魔物は20カラットで休息所は真ん中に1カ所です。

7階は強者準備階前半、魔物はAエリア20~22カラット、Bエリア22~25カラット、Cエリア25~28カラットです。

8階が強者準備階後半で魔物はAエリア28~31カラット、Bエリア31~33カラット、Cエリア33~35カラットです。

最後に9階が強者用で魔物は35カラットで休息所は1カ所のみです。

はい、ではここまでで何かありますか?」

設計図を見ながら岸田は何度も頷いている。

「これで行きましょう」

「いいんじゃねぇの? 見た感じ単純な作りで特に危険もなさそうだしな」

子どものような膨れた表情をしながら同意しないで、不満なら不満と言ってくれ。山村は奔放に見えて岸田に微妙な遠慮があるのか?

「では、これで設定しますね。

岸田さん、休息所の中身はどうします?」

すっかり忘れていた。

「中身、ですか? 結界を張って電話を置くだけではないのですか?」

「こちらのダンジョンでは泊まることができるように簡易ベッドと簡単なインスタント食品などを置いて、ごみは転移陣で廃棄する予定になっています。どうします?」

「長期にわたって中に予定はないので休める場所の確保のみで良いでしょう。怪我人等の緊急の場合転移陣は必要になるかもしれませんのでそちらは設置をお願いします」

「わかりました。後は出入り口ですね。どこに繋ぐなどの話は出ていますか?」

中身はこれでいいはずだ。異空間の中は自由に設定できるから材料もいらなければ、建築学など学ばなくても倒壊する可能性もない。

「総合演習場の入り口に使わなくなった更衣室がありますから、そこを取り壊して使っていただくことになります。

……こんなにスムーズに話が進むとは思いませんでしたので、予定では8月までに取り壊して入口になる建物を建てるつもりでしたからまだそのままです」

申し訳なさそうに顔を曇らせている。

「では、気脈はどこから引いてくる予定ですか?」

「それはまだ……」

外側についてはまだ建造も選定も終っていないようだ。

「入口と気脈の使用許可が出れば後は設置するだけなので、日程を調整してお伺いします。多分1週間程度はかかると思いますのでそのつもりでよろしくお願いします」

岸田は何度も頷いて

「はい、こちらこそよろしくお願いします。

では、この設計書はお預かりします。総隊長とイザナミ様に提出してその他もろもろの準備が整いましてからご連絡を差し上げます」

と言って山村と酒井を連れて帰って行った。

…………酒井さん、本日一言もしゃべりませんでしたね? 無言で無表情のままひたすら書記に徹するのは偉いけど怖いです。






――――――――――――――――




捜査霊課から少し離れた場所で携帯電話を使用する青年がいた。

「ダンジョン内でも邪気の採取は可能でした」

集団訓練にひっそりと忍び込んで調査をしていたのだ。

『そうか』

「はい、ダンジョン内では邪気の総量が一定に保たれているようで、邪気を吸収したところからまた噴き出してくるようになっておりました」

『ふん。…………使えるかもしれんな』

「はい」

『よく調べておけ』

それだけで携帯は切れた。

「御意に」

青年は口元だけで微笑んだ。




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