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ダンジョンシステム整備士、津田征也  作者: 氷理
第四章:ダンジョンを増やそう
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その、二十六 黄泉からの派遣者




翌日、黄泉から5人組が派遣されてきた。

「初めまして、黄泉守備隊の青部隊、岸田と言います。右は同じく青部隊の酒井、僕らは技術部に当たります。どうぞよろしくお願いします」

「初めまして、俺は黄泉守備隊赤部隊の山村だ。こっちは佐渡と下城、俺たちが主にダンジョンを使う討伐隊になる予定だ。よろしくな」

線の細い青年と筋骨逞しい男が挨拶をしてくれる。

「初めまして、津田と言います。会議室へどうぞ」

いつもの会議室へ案内し、ダンジョンの見取り図をホワイトボードにはる。

「適当に座ってください。簡単に説明します」

といって概要を説明する。

「よし、じゃあ俺は5階で魔物を倒せばいい訳だな!」

山村は既に戦う気満々のようで物騒な笑いをしている。

「いえ、今回は皆さんを最下層にご案内します。

現世の術者と強さが違うかもしれませんので、強ければどんどん強度を上げていきます」

「おう!いいねぇ、強い奴は好きだぜ」

会議室の扉から最下層に入る。

「俺は討伐隊の初心者・平均・強い人を頼みましたが、どちらが初心者さんですか?」

山村の後ろにいた2人に声をかける。

「2か月前に入隊しました下城です! お願いします!」

「乗り気な山村さんには悪いのですが、下城さんと佐渡さんから初めたいと思いますが」

「かまわねえよ」

憮然としているが異論はないらしい。

「では、おふたりとも足元に排気口があるのが判りますか?

下城さんは右の、佐渡さんは左の排気口から出てくる魔物と戦って倒してください。形が出来て移動を始めたら開始してください。3連戦するごとに魔物の強さが上昇します。

下城さんは0.25カラットから、佐渡さんは1カラットから始めます。

用意は良いですか?」

「はいっ!」

「いつでも」

「では開始します」

足元から黒い邪気が立ち上り始める。

じわり、と形成されて動き始めると次の魔物が形成を始める。魔物が倒された時には次の魔物が動きだし、新しい魔物が形成を始める仕組みになっているのだ。

「はっ!」

下城は形成された魔物を剣で真っ二つにする。

佐渡も無言のまま着々と切りふせていく。

「くッ!」

下城が険しい顔になってきた。彼は現在1.5カラット。下城は初心者の様子を見るために1カラットではなく0.25カラットずつ上昇してきているのだ。

「はっ!」

汗を滴らせながら応戦しているが分が悪いようだ。

「初心者用はこの辺りかな? だいぶ押されてきているようだし」

「しかし連戦ですから本来ならもう少し上を狙えるのでは?」

岸田が進言して来るが逆に説得してみる。

「ダンジョンは出るまでずっと魔物と戦い続けないといけませんし、出口まで距離があれば魔物を避けることはできませんから、このあたりの設定で十分ではないでしょうか?」

「中にいるときは際限なく戦わなければならないのですね」

元々鋭かった視線を更に厳しくして魔物を見据えた。

佐渡は順調に倒して言っている。現在6カラットである。

「下城! そこで止めろ! リタイアだ!」

見れば下城は魔物に首をはねられそうになったところを山村に助けられていた。

「下城さんの記録、1.75カラット3戦目。

初心者用の階は1.5カラットに設定しておきますね」

佐渡も段々息が上がってきている。

「たあ!」

9カラットに入って危うい戦いが続いている。

「次でリタイアだな、止めてくれ」

山村の冷静な声で邪気の流入を停止する。

佐渡は最後の一撃で魔物を倒した後、起き上がれなくなって床に寝たまま荒い呼吸をしている。

「佐渡さんの記録、9カラット3戦目。

中級者用は8カラットで設定しましょう」

「まあ、そのあたりだよなぁ」

山村は下城と佐渡を担いで来て壁に休ませる。

「山村さん、次いけます?」

「やっと出番か!」

獰猛な笑みを浮かべる山村はどう見ても手練れであり、佐渡の倍以上は上げて構わないだろう。

「右側の排気口から出てきます。山村さんは多分強いので18カラットから始めてもらっていいですか?」

「ああ」

「では開始します」

今回は量が多い設定なので、邪気の出てくる速さも速い。

だが、山村の切って捨てる早さもそれを勝るとも劣らないスピードである。

「強いなぁ。形成する間もないみたい」

「あの戦闘狂が……」

岸田が毒づく。

山村は25カラットを越えても息の乱れ一つない。

「どこまで行けるんだろ?」

察することが苦手な征也ではあるが、注意深く見ていると何となく動きが悪くなっているのを感じる。微妙に見える程度には堪えているらしい。

30・32カラットの時には少しではあるが傷がつけられていた。

「おう! 終わってくれや!」

35カラット2戦目を倒したところだった。どう見てもまだまだ余裕がある。

「これってどうだろ? 間に20か23辺りで一階入れた方がいいのかな?」

「多分な! 上位の奴らだったら25カラット当たりってところか! なかなか楽しかったぞ!」

心底楽しそうで上機嫌に見える山村だったが、その視線はちらちらと下城と佐渡に向けられている。完全に倒れるまで戦わなかったのは心配だったからだろうか?

「では次回、初心者向けは1.5カラットで2階を使って体験してもらいます。平均は8カラットで5階を使用、上級は20カラットで最下層の耐久実験を行ってもらいます。

手が空いていれば何人か連れて来てもらってもよろしいですか?」

「わかった。明日でいいか?」

「はい、準備しておきます」

会議室に戻ると岸田の方に向いた。

「岸田さんはこれからダンジョンの内部見取り図を作ろうと思いますけど、時間大丈夫ですか? あ、山村さんもお時間あれば入っていただけますか?」

「ええ、最優先でこちらを早く作るようにと指示されておりますので」

「当然だ。うちの訓練所になるんだからな。ちょっと待ってろ、すぐ戻る」

するとあっという間に下城と佐渡を担いで消えて行った。

すぐ戻る、という言葉どおりに1分もしないうちに帰ってきたが。






黄泉さんたちが先に来たようです。

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