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ダンジョンシステム整備士、津田征也  作者: 氷理
第三章:ダンジョンは、どうにかこうにか拡大中
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その二十三 6月

6月1日、捜査霊課のバイトのみになってしまった征也は、新しいフィルターの改良をしていた。

何故バイトかというと、高位の神様が人間の組織に完全に取り込まれてしまうのはよろしくないとオモイカネ神が判断したからだ(天司は神になる前から所属していたことでセーフらしい)。

「今日からは毎日こちらですが、まず何をしますか?」

「じゃあ、キエートにダンジョンの入り口が出来る予定の場所を案内してもらおうかな? 

まだ予定地がどんな場所か見ていなかったからさ。入口付属の何かを付けるにしても実際に見ておいた方がいいでしょ?」

「入口に何かつける予定ですか? 先日の津田様から伺った話では入口を見えなくするための大きな家を作る程度ではありませんでしたか?」

門が見えないように家を建てて周囲をあまり分からないように木で囲って……、確かそんな話になっていたはずだ。

「家がどうなっているのかも見てないし、ほら入口に受付とかあった方がいいかもって思ってね? 

家に付けられそうだったら付けて、付けられないようならダンジョンの中に作ってみようかと思うんだよね。

試運転の時は会議室で受付したし」

「そうでしたね。では、行ってみましょう」

そこへひょっこり顔を出したのは松本である。

「津田さん、今日は葉月がいないから俺が付きます。何をしましょうか?」

「あ、うん。ありがとう。今からダンジョンの入り口を繋ぐ場所を見に行くんだけど、一緒に行く?」

「ええ、ご一緒しますよ」

キエートの空間移動を利用して3人で行くことになった。




案内されてたどり着いた場所は、家の場所と言うより広大な廃墟といって良い程の土地だった。

「え? ……えええ?」

「どうなさいました?」

思わずうめく征也にキエートは何の不都合があるのかわからない。

「広すぎない? 確か家3軒分とか言っていなかったっけ?」

「? そうですね。家3軒分にしては少し小さいかもしれません。まあ、庶民の家が3軒分ってところでしょう」

キエートがあっさりと征也の認識を否定してくれる。

「確かに今の感覚で行くと随分広い土地ですね。津田さんの認識は間違っていないと思いますよ。

…………ただ、家3軒分と言うのは葉月の感覚で行けば、ということですね。あいつは旗本屋敷に住んでいますから、実家が大体700坪くらいですかね?」

苦笑いの松本が宥めてくれて教えてくれる。

「ああ。…………なるほど…………よくこんな広い場所が都内に残っていたね」

「この辺りは4・5年ほど前に瘴気が発生しまして住民がほとんど逃げ出した後で浄化しましたが、その後誰も帰ってこずに放置されていたんです。

仕事料を祓えなかったって言うのもありますけど、得体のしれないものがあった場所を本能的に手放したという意味もあったんでしょうね。

だからほら、向こう側には荒れた家が何軒も立ち並んでいるでしょう?」

征也の立っている付近は更地になってダンジョンの扉を納めるであろう大きな家が建っているが、松本の指さした方には確かに人が住んでいないことが一目でわかる程の荒れた家が数軒立ち並んでいる。

そう言う意味で広い土地が手に入っていたのか。

「ダンジョンの入り口はこちらになっています」

荒れた家の反対側に案内され、そこには新しい二階建ての大きな家が建っていた。

ダンジョンに家を付けることを指示したのが4月の下旬だったから、40日程度でどうしてこんなに立派な家が建っているのだろうか?

「中に入れるの?」

「入れますよ。葉月から説明は受けていますし鍵もありますので案内します」

松本は鍵を取り出して見せる。

カチン

扉を開くと広く明るい吹き抜けのホールと受付と書かれたカウンターが目に入り、ホールの上に取り付けられた天窓からは光が差し込んでいる。

「ホールは5人掛けの長椅子を8つ置いてあります。そちらにコンセントと長机がありますから、申込用紙を書いたり飲み物を作ったりできるようになっています。

トイレは左側、男女それぞれ洋式が5つずつあります。

カウンターは2人座れるようになっていて、隣に個室が設けてあります。個室では霊珠の買取のために銀行口座を聞いたり現金で渡したりすることになると思います」

ホールは長椅子を置いても十分に余裕があり、カウンター席に椅子が2つ並んでおり、その隣にドアが2つある。

「霊珠の数と大きさによってはそれなりの金額になりますからね~。強盗やたかりも想定されますから個室の方が無難でしょうね~」

キエートののんびりした言葉に個室の重要性を把握する。

「カウンターの後ろが事務室と給湯室、その隣が応接室です」

それぞれ扉を開けて見せてくれる。事務室には空ではあるが壁に棚が置かれ、事務机も入っていた。応接室は応接セットだけが『今入れました!』とばかりに不自然な形で置かれている。

「そしてダンジョンの入り口はこちらの部屋に繋いでいただこうと思っています。1階はこれで全てです、いかがでしょう?」

「こんなものですかね~。最低限のものは揃えてあるようですし~」

「思ったより広いね。ホールとかカウンターとか家の方に付いたからダンジョン内にはいらないか」

ダンジョンの扉を隠すだけの外枠だけがあるものと思っていたが、いろいろと機能を付け加えてくれたらしい。ダンジョンの部屋はホールと同じく2階が吹き抜けになっている。

「はい、ダンジョンが今のままでも問題ないように設置してあります。2階へ行きましょう」

ホールの右側を伝うように階段が設置されている。


「こちらが会議室です。隣が仮眠室で二段ベッドを4台設置しておりますので8人まで休めます。あと、奥に小さいですが和室もありますので、布団を敷くと最大12人までは使用できます」

「ここまでは気付かなかった。そうだよね、遠方から来る術者の人たちもいるからこういうのも必要か。……近くてもダンジョンで戦い疲れて家に帰る気力もない人もいそうだし」

数人のチームでダンジョンに入る人たちは話し合う場所が必要だろうし、張り切りすぎて出てくる時は疲労困憊の人や、初めて次の階に入ってどうにかこうにか出てくる人もいるかもしれない。

「絶対いますよ」

「はい、隣の部屋はまだ何も入っていませんが、有料のロッカールームになる予定です。2階は以上です。何かご質問はありますか?」

「うん、いいと思うよ。もうダンジョンに繋いでいいの?」

ここまでできているならもう完成間近だろう。

「一般業者がしばらく出入りするのでもうしばらくお待ちください。7月になってからお願いします」

「好奇心旺盛な人がダンジョンに入らないともかぎりませんよね?」

「わかった」

きっちり閉めておけば大丈夫とは思うが一般の人が何も知らずにダンジョンの中に入ったら危険だろうし、入らなくても変なものがあると困惑するかもしれない。





いつも天司君には予想以上に助けられています。


来週は年末年始のため、更新をお休みします。

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