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ダンジョンシステム整備士、津田征也  作者: 氷理
第三章:ダンジョンは、どうにかこうにか拡大中
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その、じゅうはち 息抜きしながらも先へ進めます

通常モード、回復しました。




午前中にはキエートから許可を得て、普段神社の下請けを貰っている藤野様の所へ来ていた。

「こんにちはー」

「おお、よう来たよう来た」

ここしばらくは空間穴から絵馬だけを貰っていたため、藤野様とは約2週間ぶりに会った。

「大丈夫かの? 大分大がかりにやっておったようじゃが」

「ああ、今とても難しいです。キエートと天司君に力を借りながら何とか形だけは整えていますけど、開業までにやるべきことが多くって……」

「そうか、ここではゆっくりしていきなさい」

暖かいお茶と甘さ控えめなお菓子、雅な和風庭園が落ち着きをもたらしてくれる。

ここは藤野様が維持する異空間。

他の誰にも邪魔されることはない。

ああ、落ち着く……。





藤野様の所でまったり過ごした後、会議室へ行くとみんな真っ暗に落ち込んでいる。

会議室にいたのは天司・キエート・梓・唯である。

どんよりとした空気を見て声をかけ辛かったが掛けて見る。

「ど、どうしたの?」

「津田様!」

征也の姿を認めると全員パッと明るくなった。

「何?」

「どこへ行っていたの?」

「私共が嫌いになってお姿を消されたのではないかと心配していたのです」

梓と唯がほっとしたように言った。

「え? 藤野様の所に行っていただけだよ? 最近行けてなかったし」

その言葉に天司まで安堵したようで

「一言言って行ってください。時間に来ないので何事かと思いましたよ」

とため息をつかれた。

「えっと、キエートから聞かなかったの? 午前中行くから伝えてって頼んだよね?」

キョトリ、とした征也の顔にみんなの視線はキエートに向く。

「津田様大丈夫ですよ! 皆反省してくれたみたいですし、昨日みたいに怖がってビクビクしなくても、ね?」

キエートはキエートなりに昨日の征也の怯えようをみて考えてくれたのか? 失敗を取り繕っているように見えなくもないのだが。

「うん」

「では、今日のお題に行ってみましょう」

あっさり話題を変えやがった。

「今日考えるのはフィルターについて。

今のフィルターは全部遮断しているから邪気は全部ダンジョン内に流れ込んでいるよね?

これを一新して必要な分だけ取り込む型にする。

魔物を討伐したら次が入るようにするんだ」

「なるほど、自由に行き来できる魔物が増えすぎないようにするんですね?」

前回の試運転の時は休息時間の最後に異常に多くの魔物が発生していたため、討伐はかなり大変そうであったのでそれを適正量に抑えることを考えていたのだ。

「そ。それと魔物が強力になりすぎないようにすることも必要かなって思うんだ。だから各吹き出し口にも一定以上出し続けないように調整するんだ。

という訳で、2階・3階の魔物の数の上限と、どの程度までの強さだったら大丈夫かを聞きたいんだ」

「1階はそのままでいいのでしょうか?」

これまでの経緯をあまり知らない唯が聴いてくる。

「1階は初心者用のチュートリアル階だから、既に上限の設定がしてあるんだ。ほとんど動かないし、動いてもいっぱい出てくるわけでもないから大丈夫だよ」

一応の注釈は入れて見る。

「昨日の梓さんと唯さんの戦闘を見る限り、1カラットが一般術者の基準でしょうか?」

天司が昨日の事を思い出しながら口に出す。

「だね。梓ちゃん苦戦してたし、唯さんも霊力前回って感じでどっちも連戦するのは厳しそうだった。2階は1カラット上限でいいかな?」

「そのくらいでしょうね? 津田様、3階は上限を上げるんですか? そうなると簡易宿泊所までたどり着く術者がいなくなると思うんですけど」

キエートに言われて思い出した。

「そうだった。簡易宿泊所は3階の中ほどだったね。なら差し当たって3階までは1カラット上限にしておこうか。開業したら様子を見ながら上限を変更するかもしれないってことで」

いつものダンジョン作成ノートに記入していく。

「征さん、3階まではということは4階以降も作る予定なんですよね?」

「うん、4階以上は魔物の出現場所をもっと広く取るつもり。前回の試運転の時には最高4カラットだったからその位でどうかなぁ? 捜査霊課の人たちはまだ余裕ありそうだったし」

「捜査霊課の術者であれば、あれくらいなら連戦しても余裕で倒せますよ」

天司は苦笑いだ。きっとずっと強い魔物も相手できるのだろう。

「今度どのくらいなら連戦可能か耐久実験に付き合ってもらいたいなぁ。

あと、最下層に広くて何もない闘技場を作ろうかなって思っているんだよね。そこで3連戦か5連戦こなして大丈夫だったら4階の扉が開く、みたいな?」

「いいですね、それ。前回みたいに実力もないのに欲を掻いて無茶をする人も入れないでしょうし」

キエートは時々辛辣だ。

「まだ考え中だけど、ゲームのギルドカードならぬダンジョンカードなんか作ってみてもいいかなって。2階・4階に入るときのカードキーになっているの。

例えば、討伐数が何個以上なら2階への入場が可能になって、何十個以上なら4階への試練が受けられる、とか。

ま、開業してからの話だから未定だけど、どうだろ?」

「本格的にゲームみたいな設定になってきましたね。解り易くていいと思いますよ? パーティーとか組んでみるのも楽しいかもしれませんねー」

キエートは気楽に笑っている。

「じゃあ、2階・3階は1カラットまでで、魔物の数はどうしようか」

「この図ですと1カ所に2体くらいが限度ではないでしょうか?

あまり多くても連戦に次ぐ連戦になりますし、何より戦う広さが必要でしょう?」

「たしかに狭い場所で戦うのも未熟な腕では難しいでしょうしね」

キエートと天司が実戦の観点から予測してくれる。

「わかった。2体までで倒されたら回線が順番に開くようにしておいて……」

見取り図の紙に書き込む。

「5月中にはラインの調整とフィルターの変更を終了できるといいな」

「征さんの力ならそう難しくはないでしょう」

方針は決まっても技術的にどうなるかは不明だ。

できるだけ技術に穴のないように気を付けておこう。





ゲームの基礎システムみたいな設定にしようとしている征也君。

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