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ダンジョンシステム整備士、津田征也  作者: 氷理
第一章:どうしよう、神さまになってしまった…
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その、に 俺の従神たち……

まったく気にしていなかった場所から従神が登場。



真夜中、眠っている俺の近くで誰かの声がする。

『主……』

『『征也―』』

『こら! 我が君の事を呼び捨てに等するな! せっかく眠っておいでなのに主が目覚めたらどうするのだ!』

その声にふと目が覚める。起き上がらずに視線だけで辺りを見回しても誰も居ない。俺一人だけの部屋。まさか幽霊でもいるのか?不安になるがゆっくり起き上って周囲を見回す。

『主、我らの声が聞こえますか?』

見回しても特に変わった物はない。

「誰?」

声を辿ると10歳前後の銀髪美少年がベッドの枕横のフローリングの床に正座していた。正直言って怖い……。

『僕は貴方のシャツです。貴方と共にαを浴びて意識を得ました』

ああ、確かに中に沁み込むくらいにαを浴びていたな。あの時着ていたシャツは、高校時代の制服の半袖カッターシャツだった。生地がしっかりしているので長年愛用していて、もう10年以上着ている。

他にも誰かいる。少年の隣に正座していたのは30歳代半ば位の落ち着いた優男風紳士であった。英国紳士風のスーツが正座しているのは違和感がありすぎ……。

『私は主のズボンです。同じく主とαを浴びて自我を得ました』

うん、色が変わる程浴びていたよな。ズボンは大学入学の時に祖父から買ってもらったもので、スーツは高くて自分で買えないので1枚しか持たないため仕事の際にずっと重宝している。

 さらにその隣に目を移すと、20歳位の普通の青年が同じ顔で二人並んで胡坐をかいていた。……うん、この部屋では違和感なく普通に見えるよな。

『『俺たちはあんたの靴だよ。シャツとズボンと一緒に自我を得たんだ』

靴は気付かなかったが、おそらく水滴が滴ったのだろう。あれは確か、スーパーの安売りの時に買って何年目だっけ? 毎日履いているから大分擦り切れていたはずだ。どうやら片足ずつ1人になったらしい。

「あー、そうか、αを浴びたのは一緒だもんな。……ええっと……キエート―、時間外だけど頼めるかー?」

困ったらキエートに頼んでみる。神様初心者の俺では対応に困る。

「はいはーい、キエートちゃんですよー」

「キエート、俺の服と靴がαでしゃべった」

何ともいえず、俺の不親切で解りにくい説明も正確に受け取ってくれたようで、キエートは服と靴をまじまじと見て、

「ああ、αを浴びた時に着ていた服が力を持ったのですね? …………んー、どうやらαの力自体は津田様に吸収されたようですが、『αを浴びた』という事実があるために力を持って自我を得たようですね」

うんうん、と頷いている。

「そうなんだ……」

「はい、力の規模としては平均的な容量で換算すると中級三等神とほぼ同じくらいですね」

「ああ一緒に浴びたから、俺や天司君と同じくらい?」

そうだよな、同じものを浴びたから……。

「違います! あなた方が中級神になったのは状況が状況だっただけで、力だけなら上級一等神をも上回ります! 一応、神さま情報局に報告を上げてきますから、少々お待ちください」

それだけ言ってキエートは瞬時に消えて行った。

『主よ、僕たちに名前を付けてくださいませんか?』

「え?」

『『そうだな、名前をくれ』』

『名を』

何故か名前を要求される。名前を付けることには呪術的には重要な意味があるのだが、俺はその時何も考えずにつけてしまった。………………正直すまん。まじごめん。

「名前、えっと…………俺、ネーミングセンスないんだけど……」

『主に名前を付けてほしいのです』

少年から懇願するような顔を向けられ、他の3人も似たような顔で期待と不安が入り混じったような表情をされたため、妙に罪悪感が沸き上がってくる。

「えっと…………、苗字は服部、でいいか? ……ごめん、服ってつく名前それしか思い浮かばなかったから……」

しどろもどろで苗字を考えて付けてみる。

『『『『はい』』』』

みなさん、良い笑顔になりました。

「えっと、名前のほうは…………、シャツは……銀、でいいかな?」

『ありがとうございます!』

無邪気な満面の笑みをありがとうございます。髪が銀髪だから、なんて理由ですが。

「ズボンは……春仁はるひと、でいいか?」

『はい!』

優しいほほえみをありがとうございます。入学式のイメージが強すぎて春しか浮かばなかった……。

「ええっと、……靴は左右いるし…………右足が右近で左足が左近、でどうかな?」

右左対になる名前がこれしか出てこなかったんだ。

『俺、右近!』

『俺、左近!』

喜んでくれてありがとう。でも、みんなゴメン。多分問題はないとは思うけど、それぞれに似合ったいい名前を付けられたかどうか…………。

「キエートちゃんですよー! みんなまだ起きてますかー?」

名前が決まった所でキエートが戻ってきた。

「神さま情報局、何だって?」

「皆さんは津田様の従神として、下級二等神から始めてもらうことになりましたー。お仕事は津田様を助けて補佐することでーす! みんなー! 津田様が好きか―!!」

『『『『おー!!』』』』

「え? え?」

いきなりの掛け声に俺だけが取り残されている。

「助けるぞー!!」

『『『『おー!!』』』』

「は? え? なにこれ?」

意味が解らない。

物持ちがいいと言うことはそれだけ長く大切に扱って使っていると言うことである。ゆえに使用されている物からも『自分が大事にされている』と愛着と安心感が沸きやすく、慕われやすいということでもあったのだ。…………そんなの知らないし。普通に着やすいから長く着てきただけだし。



知らないうちに慕われていた……。

普段の生活って大事らしい。

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