起
竜月猫日
異世界に転生した。
しかもTSして女になってた。
その上,孤児。おっす!おら,なんだかわくわくしてきたぞ!
馬月犬日
この世界に生まれてそこそこいい年齢になった。
とりあえず,知識チートを使って孤児院内の子供同士のヒエラルキーの上位に食い込めた。
知識チートの割にしょぼいって?しかたないじゃん,魔法使えないんだし,パワーもないし。
とりあえず,この人権が薄めの孤児院でも餓死したり,無駄死にしかけなさそうなだけ十分チートなんじゃないかな。
猪月鱧日
なんかここの所毎日,水瓶の前でお祈りさせられてる。
どうやら,信仰魔法の才能があれば,祈り続ければこの水を聖水にすることができるそうだ。
聖水っていうのは飲めば,病気が治ったり,けがを治したり,魔物を追い払ったりできる超万能な水薬だと思ってくれればいい。
もしこれが成功すれば,この孤児院内のヒエラルキーのトップに立てるうえ,ここから出た後も絶対にくいっぱぐれないらしい。
おっしゃー!やったるでー!!
猪月猫日
あ・き・た。
というか,水瓶の前で姿や存在すらわからん神様に対して祈り続ける作業がまず苦痛。
そして,せっかく孤児院でもましな方だったのに,水を全く聖水に代えられないせいで,どんどん飯のグレードが下がっていくのがわかる。
このままだと自分死ぬんじゃないか?
むしろ,神に対して,少々の恨みが出てくる。
ちっくしょー!もし神が本当にいるなら,この水瓶の水を全部コーラに代えてみやがれ!
どーせ無理だろうけどNa!
猪月子日
できた。水瓶の中身が全部,コーラに変わった。
久々の炭酸のジュースがマジでうまかった。甘味で頭がおかしくなると思ったのは初めての経験だった。正直泣いた。
……そのせいで捕まりましたけどね!この邪教の信者め!!とかそんな感じ。
まあ,聖水に代えるはずの水を,真っ黒の泡がぱちぱち言ってる謎の液体に代えてそれを嬉しそうに飲んでたら,誰だってそう思うわ。
俺だって疑う。
豚月獅日
魔女狩りみたいに殺されるのかなーと思ったら,普通に独房送りでした。
一生ココに入ってろ!みたいな感じで,鉄格子の中へガッシャーン。
手に変な枷をさせられました。信仰魔法以外の魔法を封じる枷だそーだ。
なお,ご飯は1日1食虫入り屑パンみたいなのと泥水みたいなのだけ。
現在,周りにいる監獄仲間は一人。邪神の声が聞こえるとかわめいてる感じの人だけでそれ以外はみんな死んだらしい。
……一瞬絶望的だーとか思ったけど,泥水の入ったコップに祈りをささげたら,瓶のコーラになった時点で,なんだか大丈夫な気がしてきた。
鴨月鶴日
思ったより,監獄生活が楽だった
いやさ,毎日出てくる飲み物を炭酸飲料に変換できるんだから,別のモノはできるかなーってどんどん変換していった結果,面白いことになった。
まずは,毎日の食事のごみパンはツナ缶やコンビニ弁当に。
あの堅苦しい感じの鉄とぼろ布のベットはふかふかの前世で愛用の収納式便利ベットに。
……ここまでできるんなら,どれだけできるか試してみたくなるなぁ。
なお,隣でわめいている狂信者ちゃんが幼女だと分かったから,特別に飲み物がコーラになるように祈ってあげた。
兎月蛇日
床は冷たい感じの石畳から,床暖付きのフローリングへ。
当然壁はそれに合わせた,コンクリ,木,壁紙の3重構造!
あの物々しい鉄格子は開放感あふれる,防弾ガラスに!
……いやさ,何やってんだと思うだろうけど,できちゃったものは仕方ない。
まあ,さすがにこの監獄の建物全体をラブホに代えようとするのは,無理だったから限度はあるっぽいけど。
なお,現在お隣さんの邪神の声が聞こえる娘さん,自分のことを邪神の巫女様とか言ってきます。
まあ,幼女だから許す。
猿月牛日
なんかもう,最近ココが刑務所だということを忘れてきた。
最近ガンバレば,何もない場所を祈っても物を出すことができるようになってきた。
そのおかげで,部屋にエアコンと扇風機,それにドラム缶風呂までできた。
なお動力はわからん,たぶん祈りパワー。
あと,狂信者な幼女ちゃんはこっちの部屋に引っ越してきてもらった。
え?看守からの文句?もし余計なことを言ったら,豚に代えるぞーいいながら,そいつの革靴を健康サンダルに代えてあげたら,ものすごい勢いで首を振ってくれました。
……実際変えられるかどうかは知らんけど。
蟹月蠍日
そういえば,そろそろ祈れば水を聖水に代えられるのじゃなかろうかと思ったけど無理だった。
幼女ちゃんになんでだろーねーって言ったら,邪神様は面白いものを好むから普通のものじゃ無理ですよーって言われた。
……なんかちょっと心当たりがあるのが怖い。
蛙月虎日
幼女ちゃんの仮設が正しそうなことが分かった。
なんか普通に祈っても普通のパンは作れないのに,パフェとかは作れたりする。
看守さんの靴を戻すことはできなくても,その服をアロハシャツにすることはできた。
ようするに,この祈りパワーで変換できるものは前世の世界の特有のものだけっぽい。
最近の暇つぶしは,祈りパワーがどこまでできるかの検証と食事のようなものを涙目で運んでくる看守の服装を変えてあげることです。
辰月劉日
看守の人に,もうやめてくれって泣きつかれた。
どうやら,分の部屋の外観を変えられるかなーって思って,和風になぁれと祈った結果がこれらしい。
監獄の外壁の一部だけが,別の素材になってしまったって泣かれた。
けど,なおれーって感じで祈ったけどもどらなかった。
幼女ちゃんは,今邪神様NINJYAブームだから無理って教えてくれた。
そうなんだ,忍者なら仕方ないね。
看守が号泣した。仕方ないから,ちょんまげカツラをプレゼントしてあげた。
魚月魚日
最近,昼夜問わず外がうるさくなってきた。
昼間は死ね魔女―!とか,貴様のせいでー!とか,呪いをとけー!とかそんな感じ。
前者はともかく,後者は全然心当たりがなさ過ぎて笑える。
で,夜になると、きゃー!魔女さまー!とか,あなたのおかげでとか,呪いをといてーとか。
似てるけど,なんか好意的な感じ。
どっちも騒ぎすぎて,憲兵さんが来てお開きになるのが一連の流れだ
鮫月鷲日
だいたい,この監獄は暇すぎてすることがない。
祈りでほしいものは一通りそろえたし,なんか最近自分の祈りパワーが上がってるっぽくて,どんなに祈っても眠くならない。
やることは幼女ちゃんとのオセロやチェス,あと大人の遊びぐらいだ。
だから,最近はサービスすることにした。
てけとーに昼間あたりにしねーとかうるさい場合は,外にピンポン玉たくさん落ちろーと祈る。
夜あたりには,飴の雨を降らしたりとかもやってみた。
どっちもなかなか好評で,最近だとあんまり魔女とかにも関係ない人も来てるっぽい。
そういって,間違った忍者のコスプレ姿になってる看守さんに愚痴られた。
ごめーんね!
狒月馬日
看守の人が,なんかえらそうなおっさんの団体を連れてきた。
偉そうなおっさんが,「ふん,貴様が監獄の魔女か……」とか言ってきた。
というか,魔法がある世界なのに,魔女が悪口ってなんなんだろうね。
あ,普通は魔道士っていうんですか,へーありがと。
で,何?魔女なら老いを止める方法がわかるだろうって?
いやいやわからんよ,そんなの……。
けど,もしここで断ったら,看守さんがひどい目に合うらしいので,適当にアンチエイジングや肌にいいサプリを祈って,それを渡して帰ってもらった。
看守さんが此方を意外な目で見ていたのが印象的だった。
羊月酉日
看守さんから,差し入れとやらをもらった。
よくわからん魔法の道具だったけど,幼女ちゃんが邪神様の祭具だーとかなんか喜んでたからよし。
後,これからも継続的にあのサプリを作ってくれーとのこと。
えー……あれ,作るとすっごく眠くなるから面倒なんだよなぁ。
まあ,けど,言うてすることもないので,OKしておく。
看守さんのほっとした顔が印象的だった。
とりあえず,ストレス溜めそうだから胃薬を渡した。
乾いた笑いを返してきた。
がんば♪
蝉月鳩日
最近差し入れの量がすごい増えてきている。
どうやら,外にいるファン(というなの野次馬)からの差し入れも持ってきてくれているようだ。
その中に手紙やら新聞やらがあるんだけど……自分文字が読めない。
けど幼女ちゃんは読めた。
悲しみにくれた。
木月葉日
幼女ちゃんと文字の練習中。
最近文字を覚えたおかげで,新聞や手紙も読めるようになってきた。
ファンレターと呪いの手紙はだいたい同じ内容だから割愛するとして,新聞の方はなかなか面白いことが書いてある。
へー,魔王復活,各国の聖女が一堂に集結して近々勇者たちを召喚するだって。
そういえば,巫女や魔女と聖女って何が違うんだろうなー。
とりあえず,魔王が復活してココに攻められたら困るので,強い勇者が召喚されますようにと自分も祈っておいた。
椛月鴉日
「……初めまして,闇の聖女。私が光の聖女です」
なんかやべぇのが来たぞ,おい。
看守の顔の色がすげぇことになって,幼女ちゃんがキッ!って感じの目でにらんでいるのがかわいかった。