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三回目

駅を後にし、再び住宅団地の中へと戻る。

駅からは直線の道があるのだが、彼はそれを選ばなかった。

「何故団地へ?」

何となくかな。

そう答えると、更に入り組む団地の道を進む。

ほんと、知らない所だらけだな。

「知らない事だらけ」

事じゃなくて所だから。意味合い随分変わる。

彼は素早くを言葉を正す。

まぁ知らない事だらけかもな。ほんとに。

「如何したの?」

いやな。何か変な感覚だなって思ってさ。何だと思う?

「知らない。貴方の考えが読めない」

そうなのか?

「ええ。微妙に複雑。単細胞生物のくせに」

俺の身体の構造そんなに簡単じゃないから。

そんな遣り取りをしていると、小さな公園に到着。

鉄棒とブランコだけの本当に小さい規模の公園。

その先にはまだ道は続いている。

こういう公園、結構多いのな。

「そうね。とりあえずブランコで一回転」

無理です。自分が落ちるところしか想像できない。

「無難に二回転」

増えた!

「さらに三点倒立で」

難易度上がったなおい。しかも三点一直線になるだろ、あの座るところだと。不安定感が恐ろしい。

「アクロバティック骨折が見れるかも」

何それ怖い。

ブランコを通り過ぎその先へと進む。

垣根と建物に挟まれた路地は、建物を囲む様にぐねりと曲がる。

曲がった先は建物と建物の隙間。

白い壁に挟まれた道は陽が届かず暗い。

陽が随分傾いたんだな。

長い直線を抜けると二車線の道路に突き当たる。

道路に沿うように川が流れている。

その先はまた集合住宅。

川の向こう側の住宅団地は低層の建物が並ぶ。

左手先に横断歩道と橋が見える。

彼は迷わずそこへと向かい、橋を渡る。

「何を考えている」

ん?何が?

「全く読めない」

読まなくて結構です。

「雰囲気だけなら解るのに。難しい」

だから読まなくていいから。

橋を渡ると集合住宅を迂回するように緑地帯が整備されている。

彼は緑地帯を進む。

「少し、楽しそう」

そうか?

彼は軽く答えた。

歩く彼の影は長く伸び、東の空では闇が自己主張を始めている。


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