第5章第82話束の間の休息
「ではまた三日後、どうもありがとうございました」
ナイトチームの三人は別れの挨拶の後、白夜に連れられて帰っていった。白夜が同伴なのは、ナイトチームが帰るのに徒歩だと時間がかかるため、近くの町まで送るためだ。なお、白夜はそのまま横沢科学室に行く予定だ。
未来、優理、理佐は昨日の戦いの疲れが残っているため、今日はゆっくりする予定でいる。しかし、ナイトレッドの桁外れな強さにまだまだ自分達の弱さを自覚することになる。
数時間後、白夜が頬を赤く腫れされて帰ってきた。事情を聞くと、本当のことを話したら一発殴られたらしい。あと、横沢科学室は出禁になったと。しかし、そう話す白夜は清々しい気持ちであった。やはり、嘘をつき続けたのは辛かったのである。
一日目
「今日の訓練はここまでしましょう」
「はぁ、はぁ、ありがとうございました」
日課になっているトレーニングも今日から違った。いつもより辛いメニューとなっている。理由はナイトレッドの存在が大きい。
「そういえば、もう夏ですね」
「ここは荒野で、日陰なんてありませんから、余計に辛く感じます」
未来は手に持った冷たいお茶をグビグビ飲みながら言う。未来の言う通り、季節は夏。気温を三十度近くまで上がっている。優理が応えるように、この場所は何無荒野と呼ばれているほど何もない。唯一、自分達の家があるものの、その日陰でトレーニングが出来るほどのものではない。ゆえに最近は暑さが体に堪えてくる。
「プールにでも入りたいたいな……」
「学校のですか? 懐かしいですね」
こういう時に入りたくなるのはプール。プールといわれて思い出すのは学校にあるプールだ。というよりプールはサイカイ地区には学校にしかない。それは娯楽に関する公共の施設は、悪の秘密結社によるテロの可能性があるため、ほとんどないのである。
「未来、そろそろ戻りましょう」
「はい」
未来と優理は涼む目的で家の中に入っていく。
二日目
『風力蹴』
「っ……」
白夜は風華の蹴りを紙一重に避ける。その際、カウンターとばかりに蹴りを入れる。
「はっ」
しかし、風華は両手で蹴りを受け止める。白夜は一旦、後方に下がり、隙を伺う。
「どちらも一進一退の勝負か」
「師匠、風華さん、どちらも強い」
白夜と風華の模擬戦を見物していた理佐が呟く。理佐の他にも琴美、未来、翠がいる。
「……降参」
この模擬戦に勝ったのは白夜だ。風華が突っ込んできたのをフェイントを織り交ぜてかわし、隙が出来た所を攻撃した。風華は避けきれず、拳が顔の直前で止まったのを見て、降参した。
「師匠、次は私がいきます」
白夜が風華の次に模擬戦に行うのは未来である。この日、日が沈む直前まで模擬戦を行った。途中で風華と優理が入れ違う形で参加。勝敗は白夜は全勝、それ以外は数回敗北という結果に終わった。
三日目
この日はとうとうナイトチームがやってくる日だ。外はあいにくの雨でトレーニングは休みだ。そのため、みんなそれぞれくつろいでいる。
「じゃあ迎えに行ってくる」
ナイトチームを連れてくるため、白夜は彼らが拠点としているサイカイシティに行く。三日前同様、徒歩でここにくるには時間がかかりすぎるからだ。
数分後、白夜に連れられ、ナイトチームの三人が家にやってきた。もちろん、素の状態である。白夜に先導され、三日前と同じ場所で報告を聞いた。
「結論から言うと、俺が国立科学研究所で見たのは近衛ひかり本人で間違いないな」
「……!」
ナイトレッドが出された結論は近衛ひかり本人の可能性が高いということだった。つまり、十四年前に死んだと思われた二人の義姉こと近衛ひかりは生きていたということだ。
「ちょっと待って、いくつかの謎はどうなったの」
「慌てるな、今から翔から説明する」
風華はたまらず、ナイトレッドに詰めより、問いかける。確かに、このひかりに似た女性にはひかりと違う所がある。ナイトレッドは風華をなだめる。そして、ナイトイエローが順に説明する。
ナイトイエローの説明によると、ひかりは国立科学研究所の前に牢獄に囚われていた。そこで同じ部屋になった男からその女性が近衛ひかりであるという証言を得た。その時の口調は白夜達のいうぶっきらぼうだった。つまり、国立科学研究所に来てから、おかしくなったは明確だ。もう一つの謎であるなぜ、若い姿のままなのかについては分からなかった。同室の男からは気がついたら今だったと本人から聞いたという。
残念なことに他に近衛ひかりが本人だと確証は見つからなかった。男が嘘をついているの可能性はと風華は追及したが、ナイトレッドがその男は知り合いで嘘をつくような人ではないときっぱり言われてしまった。
「ひか姉……」
ナイトイエローの話が終わった後、風華は複雑そうな顔で呟いた。白夜も言葉には出さないが、神妙な顔で上を見上げている。
「……決めた。正人、俺達はひかりを助けに行く。だから……国立科学研究所の場所を教えてくれ」
白夜はそう言って、ナイトレッドに向かって頭を下げる。白夜は一刻も早く、ひかりに会いたかった。風華も同じ思いだ。しかし、白夜達は国立科学研究所を知らない。だからヒーローであるナイトレッドに頼み込んだ。
「正人、さすがにダメだ。こいつらとはあくまで休戦状態なだけだ」
ナイトブルーはナイトレッドに忠告する。ナイトブルーにとっては白夜達は敵である。ナイトレッドを正気に戻してくれたという恩はあるが、それとこれとは違う問題だと思っていた。
「……分かった。教える」
「お、おい」
「但し、条件がある。俺を連れていけ」
「分かった」
ナイトレッドは少し沈黙の後にそう言った。そして、つけた条件は国立科学研究所に自分をついて行かせることだった。白夜はすぐさま了承した。
その後、ナイトレッドはナイトブルーとナイトイエローを説得する。最終的にナイトブルーは渋々認めた。一方の白夜達はここにいないメンバーのことも考えて、ここでは誰が行くかは協議しなかった。ナイトチームが帰った後、全員で行った協議で、白夜、風華、未来、理佐、琴美の五人が行くことになる。
話が終わったナイトチームは昼食を食べた後、白夜に連れられ、帰っていく。ナイトレッドに事情があるため、ひかりの救出は明後日となり、明後日の午前8時にサイカイシティで集合という形になった。
次回予告
ひかりを助けるため、ナイトレッドと共に国立科学研究所に向かう白夜一行。いきなり国立科学研究所に飛ぶつもりでいたが、飛んだ先は森の中であった。そこで国立科学研究所を守る存在が立ちはだかる。 次回、第83話【聖光】救出戦その一 森の番人
*もしかしたら閑話を挟むかもしれません。




