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悪の首領(ボス)の世界征服術  作者: 黒牙 透
第5章何無荒野編~三地区編【壱】
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第5章第75話『回想編』冬の激突(5)

 回想編ラスト。次回から現代に戻ります。


 「……ぐっ、足をやられた」


 ナイトレッドは両足に刺さった二本の槍を見て、そう(つぶや)く。


 ナイトレッドは秀元の最期の言葉を聞いて、全速力で逃げ出した。本当は秀元も連れていたかった。しかし、秀元は満身創痍で一緒に逃げる体力はなかった。でも……。ナイトレッドは悔しさと悲しさで着けた仮面の下は涙でぐちょぐちょだった。


 「まさか、ここまで逃げるとは私も思いませんでした」


 後ろから栄蔵博士と秀元を殺ったであろう幹部の男がゆっくりと近付いてくる。


 ナイトレッドは迷路のような栄蔵博士の研究所を迷うことなく突破した。だが、それは来る途中にほぼ全てを散策したからに過ぎない。ようやく、研究所を抜けて、森に入る瞬間だった。足に激痛を襲ったのは。


 「……『地破(ちは)』」


 あと一メートル弱まで近付いたところで、ナイトレッドは謎の男の方へと振り返り、直後に立っていた地面から衝撃を受ける。

衝撃を受けたナイトレッドはなんと空中に跳んだ。ナイトレッドはこの技を使って、幹部の男を(また)ごうとする。


 「そんなんで逃げられると思うなら少し心外だな」


 幹部の男は頭から一対の角を出して、ナイトレッドの両足を挟んだ。そして、そのまま両足を切断した。


 「あぁぁぁ」


 ナイトレッドは激痛で上手く着地が出来ず、地面に落下した。

その衝撃で頭を打ったのか、気絶してしまった。


 「ナイトレッドはもっと手強いと思ったが、勘違いのようだ。やはり二代目同様、凡人か」


 幹部の男は気絶したナイトレッドを見て、がっかりしたようだ。


 「では止めを指そう」


 謎の男が止めを指そうと気絶したナイトレッドに近付いていく。


 「キサマガ、ツギノ、アイテカ」


 「……ッ、ガードが間に……」


 だが、先ほどまで気絶していたナイトレッドが急に動きだした。一瞬で幹部の男に肉薄すると、右手の拳で研究所の壁まで吹き飛ばした。


 「サッキノカリ、カエサセテ、モラウゾ」


 ナイトレッドは幹部の男に向かって突撃した。起き上がった幹部の男の頭を鷲掴(わしづか)みすると、胴体に頭突き。その姿はヒーローとは真逆で、とてもヒーローとは思えない。しかし、先ほど勝てないと言った相手に善戦しているのは事実である。


 「合成虫(キメラ)種の本気を見るがよい」


 幹部の男をとうとう本気を出したのか、いろいろな種の虫を混ぜた異形な姿へと変容した。今のナイトレッドは本気を出すべき相手と認めたことになる。こうして両者の真の戦いは始まった。






 総勢十六人の死者と行方不明者を出した【狂悪】攻略部隊は後日、三十人の強者ヒーローのみで構成された部隊で再び、ここを訪れる。前回は研究所まで辿(たど)り着けなかったが、今回は辿り着くことに成功する。しかし、そこで彼らが見たのは、爆破され瓦礫(がれき)の山となった研究所だった。


 何の成果も上げられなかったとは、報告したくなかった三十人のヒーロー達は、周辺を片っ端から捜索した。そして、ある一人のヒーローが切断されたナイトレッドの両足を発見する。遺体は見つからなかったものの、周りに大量の血痕(けっこん)が付着していたことから、三代目ナイトレッドは死亡したという結論になった。


 三地区政府及びヒーロー支援団体は三代目ナイトレッドが自らの命を犠牲にし、【頂点】という名の悪の秘密結社が壊滅したと発表した。この報告に納得しなかった者も多い。

 その中でも初代ナイトレッドはこの発表の直後、ヒーロー支援団体の教官を辞職した。湯沢郎は、革命派と呼ばれる派閥を結成するきっかけとなり、三代目ナイトレッド賢那晴斗(かたな・はると)の七歳の息子は、復讐という目を宿しながらヒーローになることを決意した。







 ひかりによって、どこかに転移された二人。二人こと白夜と風華は、世間一般からは何無荒野と呼ばれる荒野地帯に居た。目の前には周り一面の荒野風景に一つだけぽつんと一軒の家が建っていた。

 違和感しかないその家はひかりが言っていた家だろう。白夜は寄り添う風華を連れて、玄関の前まで行く。そして、チャイムを鳴らした。しばらくすると玄関の扉が開き、一人の中年の男が現れる。


 「誰だ」


 中年の男は殺気を(あらわ)にして、来訪者を見ると、そこにいたのはまだ十歳前後の男女だった。


 「すまない。用件を言ってくれ。あとここは子どもが立ち入る場所でない。迷子なら私が送るから出身地を言ってくれ」


 中年の男はさすがに子ども相手に殺気を出したのは、反省したのか短い言葉ながらも謝った。しかし、人の居ないはずの何無荒野に子どもが二人。警戒しないわけがない。


 「……あ、あの、これ」


 白夜の隣に居た風華は中年の男の殺気を浴びて、怯えて白夜に抱きついて離れない。風華がこの調子なので白夜は勇気を出して、壊れた変身デバイスを見せながら言った。


 「こ、これは?」


 壊れた変身デバイスを見た中年の男は、目を驚かせ、壊れた変身デバイスを手に取った。よく観察するとある文字が彫られていた。それを見た中年の男は何かを察したように笑う。


 「ははは。君たちに聞きたいことがある。中に入ってくれ」


 そう中年の男は家の中に案内する。他に宛のない二人はこの中年の男に従い、家の中に入った。


 その日の夜、二人から話を聞いた中年の男の慟哭(どうこく)が何無荒野一帯に響き渡ったという。1982年1月29日の夜のことだった。






 この回想編の中にはいろいろと伏線が入っていますが、何個分かりましたか?

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