第5章第68話『回想編』命名、白夜
久々の更新となります。遅れて本当にすみませんでした。
「まてぇ~」
「へっ、待てと言われて待つやつがいるか。あばよっと……」
目の前でαから急激に離れていくひかりを見て、αは一旦追いかけのを止め、地面に倒れる。体力切れだった。
「くっそぉ~、なぜ俺ばっか鬼に……」
悔しそうに歯をくいしばるαだが、ちゃんとした理由があった。αは生まれてから今まで、外で走り回るなんてことは一度もなかった。それに比べて、現役ヒロインのひかりはともかく、小さい頃から外で遊んでいた風華はそれなりの体力がある。
鬼ごっこというゲームの中で一番遅いというのはすなわちずっと鬼のままなのである。αは体を起こすと、ひかりと風華が捕まえてごらんと言わんばかりに近くに寄ってくる。
「絶対捕まえてやるからな~」
その言葉と共にひかり達に向かって走り出していく。ひかり達も捕まらないようにαから逃げていく。そうした追いかけっこが日が沈む間近まで続いたのだった。
「これくらいでへばるなよ」
「うるさい」
体を限界まで行使したαは一人でまともに動けず、ひかりにおぶってもらっていた。αにとても屈辱的だった。そんなαに気に止めずにひかりは沈みゆく太陽を見ていう。
「太陽を見て思い出したが、お前のことはこれから白夜って呼ぶから」
「はあぁぁ? 勝手に決めるな。俺にはアル……」
突然そう言われたαは咄嗟に自分の名前を言おうとするものの途中で口ごもる。αにとってαという名前は内心嫌いであったからだ。
「αなんて名前、嫌いなんだろ。今日から白夜って名乗ればいい」
様子を見ていたひかりはここぞというばかりに口をまくしたてる。
「そうだな……。でも白夜か……」
αは白夜の言葉の意味を考える。白夜というのは真夜中でも太陽が沈まない現象である。しかし、この大陸には白夜の見れる地域はない。違う大陸のごく一部の地域でしか見れないときく。白夜と自分の共通点は思い当たらないが、αよりは良いだろうと思っていた。
「αよりはましだろう」
そんなαを見透かされているのかひかりはそう呟く。
「ああ」
この日αはαという名前を捨て、白夜と名前になった。それから三ヶ月、白夜はひかりと風華とほぼ毎日遊ぶようになる。その中で白夜はひかりが現役ヒロインだと知る。そして白夜はヒーローに憧れを持ち始めるようになる。しかし、白夜達が遊んでいる裏で、大きなことが進んでいることは、まだ幼い白夜は知るよしもなかった。




