第5章第62話封印されし過去の写真
「全く迷惑な連中ですよ。私の部屋めちゃくちゃにして」
「まぁまぁ、落ち着いてください。私も手伝いますので……」
昨日、バナードが起こした爆発の衝撃波が家にも届いた影響で家の中は物が散乱した状態になっていた。一階部分は昨日片付けを終えたが、二階や三階は手付かずのままだ。
未来は自分の部屋で愚痴をこぼす。それを聞いていた優理は未来をなだめた。
三時間後、未来の部屋は綺麗になった。机の上は整理され、床にはちり一つ落ちていない。
「やっと終わった」
「未来、日頃から整理整頓していませんでしたね。後で説教です」
「えっー、優理先輩勘弁してくださいー」
床の上で寝転んでいる未来に優理はきつく喋った。わけは未来の部屋が爆発の衝撃波以前も汚かったことが優理にバレたからだ。
優理は自分の部屋を片付けに未来の部屋から出ていく。残った未来は一人、未来で起こるだろう優理の説教を思い、体をビクビクさせていた。
一方、理佐や琴美は未来の部屋を片付けている間に既に片付けを終えていた。そして、風華に頼まれ、春と翠の面倒を見ていた。
優理は三十分ほどで片付けを終え、部屋を出たとき、ちょうど風華とばったり会う。
「あっ、優理さん。もしよければ手伝ってもらえますか?」
「はい。別に私でよければ」
風華にそう頼まれ、優理は風華と共に風華の部屋に向かった。そのあと、優理が来たこともあり、わずか二十分で部屋は片付いた。
「おーい、誰か来てくれ」
迫夜は自室で片付けしていたが、日頃、雑に荷物を置いていたこともあり、未来の部屋同様にひどいありさまだった。既に迫夜以外は片付けを終えている。迫夜は自分一人では終わるのに時間がかかると判断し、大きな声でみんなに叫んだ。
「どうしたんですか?」
「どうしましたか?」
迫夜の声でやって来たのは、未来、優理、理佐、琴美の四人である。
「一人じゃ、終わらないんだ。頼む。手伝ってくれ」
迫夜は両手を合わせ、四人に懇願した。
「もちろん。喜んで」
「構いませんよ」
「しかたないなー」
「琴美が手伝うなら私も」
四人の協力を得たことによって片付けは捗る。あとちょっとの所で迫夜がトイレのために部屋を出ていく。残った四人は、部屋の中を物色し始める。
「いろんなものがありますね」
「私は興味ないな」
優理は迫夜の発明品に興味津々ようだ。一方、理佐は迫夜の発明品には目をくれずに視線は琴美のスカートに。
「見ないでください」
視線に気付いた琴美が慌てて、スカートに手を置いて、中を見られなくした。
「恥ずかしがってる琴美も可愛い」
「……」
その様子を見て、理佐はさらに喜んでいた。痛い目で見ていた優理の視線には気付かなかったようだ。
「あっ、小さい頃の師匠と風華さんの写真を見つけました」
「こらっ、勝手に開けない。どれですか」
未来は机の引き出しを開く。すると、書類の上に置かれた一枚の写真があることに気付く。
手にとって見てみると、そこに写っていたのは春と同じくらいの年の迫夜と風華が写っていた。
迫夜に無断で引き出しを開けたことを優理が怒った。が、それよりも小さい頃の迫夜と風華の姿につられ、説教は長くは続かなかった。
「えっ、これは? 迫夜さんと風華さんと一緒に写ってる人は」
優理が写真を見て、驚愕した。写真はどこかの研究所の中庭のような場所で後ろには研究所と思われる建物の外壁が写っていた。その外壁の前で小さいときの迫夜と風華はある女性を挟んで、カメラの方へピースをしていた。
このある女性とは有名人であり、優理はこの女性を見て、驚愕したのだった。
「迫夜、知り合いだったのか?」
なんとなく、写真を見に来た理佐もこの女性が共に写っていることに驚いた。
「へっ? 誰なんですか」
一方、未来はこの女性の正体に気付かないでいた。
「えー、未来知らないの? 【聖光姫】だよ。」
未来に正体を教えたのは琴美だった。
「えっ!」
未来はその正体にハッとした表情をとる。
「元ヒーローの私からだと【聖光】といった方が馴染み深いですね」
優理の言葉通り、サイカイ地区では【聖光】という名の方が知られている。
【聖光】又は【聖光姫】とは伝説のヒーロー又は魔法少女である。正体は近衛ひかりという女性である。出身はテレイ地区で十代のときは魔法少女をやっていた。【聖光姫】とは彼女の魔法少女時代の通り名である。
十代終わりからはサイカイ地区に引っ越して【聖光】という名でヒーローをやることになる。どちらの時代も優秀な成果を挙げ、次世代を担うヒーロー候補だと言われていた人物でもあった。
しかし、十五年前、突如失踪。ヒーロー支援団体、当時の政府が総力を上げて、捜索したものの見つからず、どこかの悪の秘密結社にやられ、死亡したと発表され、当時の世間に衝撃を走らせた経緯がある。
「おい、こいつまさか!」
いきなり、理佐は写真に写りこんでいた人物に驚いた。
「これは……」
「なぜ、師匠達の方を」
優理や未来も確認すると迫夜達から離れた研究所の隅から一つの男性が迫夜達の方を覗いていた。
その人物は栄蔵博士と呼ばれ、悪の秘密結社第一号こと【ノーヒューマン】で科学部門主任をしており、壊滅後は【狂悪】のボスになった男である。【ノーヒューマン】時代から非道な人体実験を繰り返し、【ノーヒューマン】の総帥よりも危険視されていた男でもある。
しかし、栄蔵博士は【狂悪】が壊滅した際に死んだはずであった。【狂悪】が壊滅したのは四、五十年前であり、十数年前に撮られたこの写真に写りこんでいるはずがなかった。
「そ、その写真……」
そこへトイレから帰ってきた迫夜が戻ってきた。それから迫夜は未来達が写真を持っていることに気付いた。
そして知られてしまったことを悟り、その場で佇んでいた。
次回は2月19日に投稿します。




