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悪の首領(ボス)の世界征服術  作者: 黒牙 透
第5章何無荒野編~三地区編【壱】
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第5章第57話ファントム・メンズ

 今回も少ない……。

 side ???


 「へへへ、あいつらから逃げ切ってやったぜ」


 サイカイ地区にあるどこかの森の中で一人の男が木の陰に身を下ろし、独り言を(しゃべ)っている。


 「この死者復活のランプを使えば……マス教がますます栄える。マス教だけにな。ハッハッハ」


 男はマス教の信者らしく、手には某アラビアン小説で出てきそうなランプを持っている。


 「ひひひ、ふふふ、ほっほっほ、笑いが止まらねぇぜ……。拠点に持ち帰る前に一回試してみるか」


 男は手に持ったランプを地面に置く。そして手でランプをこすり始めた。すると、ランプの口から煙が出な……かった。


 「あれ?」


 男は何度もこするが、煙は出ない。


 「なぜだ。なぜなんだ」


 「ここにいたか。見つけたぞ」


 男が頭を抱えて困っていると、後ろから声をかけられる。男にとっては招かねざる人のようで、おそるおそる振り返ると、案の定そこには男が先に言っていた“あいつら”の仲間の一人が立っていた。


 「俺たちから奪ったものを返してもらおうか……と思っていたが、気が変わった。それ(ランプ)もろとも闇に葬ってやろう」


 「ひぃー」


 “あいつら”の仲間の男から死刑宣告ともとれる言葉を聞いた男は無我夢中で逃げ出す。その速さはまるでネズミの(ごと)し。


 「俺から逃げるなど不可能だ」


 男はそう言うと、男の姿が徐々に異形へと変わっていく。体は人と変わらない。だが、顔は変わっていった。顔のパーツがなくなり、黒く丸い形が作られていく。それが終わると、その黒く丸い形のが、前へと伸び出していく。一定の場所まで伸びると、止まった。男の姿は体は人だが、頭・顔は黒い砲台になっていた。まさに異形の者へと化していた。


 「ロックオン・終わりだ」


 男は逃げる男に標準を向け、狙いが定まると、顔の砲台から一発の弾を打ち出した。打ち出された弾は逃げる男に向けて一直線に飛んでいく。


 「何だ?」


 男が振り返るが、時既に遅し。目の前には自分を標的にした弾が迫っていたのであった。






 サイカイ地区のとある森で大きな爆発が起こった。ヒーロー支援団体の者が駆けつけた時、そこにあったのは男の焼死体とランプの残骸だけだった。不思議なことに周りの木々や地面には爆発の後がない。このことからヒーロー支援団体はこの情報を伏せた上で一般に公開したのだった。



 side ???


 「うぅ、ここは? 俺は何を?」


 その男が起きたとき、男のアジトは舗装された地面以外は何もなくなっていた。だが、男はその事実に気づかない。男はまだ朦朧(もうろう)した頭の中で眠る前の記憶を思い出そうとしていた。


 「そうだった。あの風拳使いにやられたんだった。その後は……!」


 男はある事実に気づく。一人の若い男と戦い、負けたこと。そして自分達を殺しにきた、顔に大傷を持つ男に殺されたこと。


 (なぜ、俺は生きている?)


 そう思った瞬間だった。


 「ガアァァ」


 突然、胸がドクン、ドクンという音と共に激痛がおこる。


 「アァァ、アァァァァ」


 痛みの堪える中、男が自分の胸を見ると、あったのはどす黒いオーラを放つ宝石が埋め込まれていた。


 (意識がァ、薄れェルゥ)


 さらに、男の意識がだんだんと薄れていく。


 「ガァァァァ、ゴァァァァ」


 完全に意識がなくなると、人とは思えない奇声を放ち始める。


 「マッテイロ」


 男がそう(つぶや)くと、どこかへ向けて走っていった。


 この男の正体は以前迫夜が戦ったバナードである。バナードは顔に大傷のある男に殺された。消されたといってもいい。しかし、マス教信者の男の死者復活ランプのおかけで生き返ったのである。


 ここまで見れば死者復活ランプはいいものように見えるが、重大な欠点が一つだけ存在する。それはランプの中の魔人が復活者を乗っ取るのである。ランプの魔人は復活者の怨念のようなもので生前恨みや妬みがある人物に襲いかかるのだ。


 つまり、バナードはランプの魔人に取り()かれたということだ。バナードの向かった先は顔に大傷のある男ではなく、迫夜達の所である。しかし、まだ迫夜達は知らない。魔人に取り()かれた者の強さを。そして、魔人に取り()かれた者がやって来るのも。


 バナードの他に迫夜達に縁があるものが二人に復活した。その二人もランプの魔人に取り()かれ、迫夜達の元に向かっている。







 次回は二月六日に投稿します。

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