第5章第56話莉佳の来襲/莉佳の帰還
あれ? 前回より短い?
それから数日、迫夜は頼まれた大鎌を五つ作り理佐に渡した。もちろん、強度は今までと同じなので、すぐに壊れてしまうだろう。理佐の性格から考えて……。
「ハァー」
その日はちょうど報告会であった。何の報告かというと、春や翠の事についてだ。迫夜が皆が集まる予定の居間に着いたとき、既に迫夜以外の全員が集まっていた。しかし、場の空気は悪く、誰も有力な情報を得られなかったのであろうと迫夜は思った。
なお、迫夜以外の全員とは報告会のメンバーであり、この家に居る全員ではない。メンバーは迫夜、風華、優理、莉佳の四人である。莉佳はこの時だけに家に帰ってきていた。莉佳は本来なら毎日帰ってくる所なのだが、自分の好きな研究に我を忘れて、帰ってくる日が少ない。あと、この四人以外は全員街に遊びに行っているので、家に居るのはこの四人だけとなる。
「一応、報告会を開くが、何か有力な手がかりを見つけた人は居るか?」
議長の迫夜が声をかけるが、誰一人手を上げたり、発言をする者は居なかった。その為、報告会はすぐに終いとなった。
その後、軽くお互いの調査の結果を話した。迫夜はここ数日間、家に篭っていたので話すことは何もない。風華はピールガイナシティで聞きまわっていたらしいが収穫は0ということだった。ピールガイナシティとはテレイ地区南東部にある都市のことだ。
優理はキタタノマシティで聞きまわっていたが、こちらも有力な情報は得られなかった。代わりにキタタノマシティでナンパされまくっていた話をうざったく思うほど愚痴っていた。キタタノマシティはキタタノマタウンの南に位置し、タノマ地区二番目の大都市といわれるほどの街である。
莉佳はテレイ地区営第一~第三学校を往き来しながら、探していたが、やはり手がかりとなるものはなかった。その代わり、学校内で生徒からすごく慕われている話や同僚の化学教師がねちねちした嫌がらせをしてくる話を数十分話していた。
「おい、迫夜。ここにくる途中でサイカイ(シティ)に寄ったのたが、そこで新聞を買ってきた。私は既に読んだし、もういらないからテーブルに置いとくぞ」
帰り際に莉佳が居間のテーブルに新聞を置いた。
「ああ、でもな新聞は国営だから隠したい情報は絶対載せないし、偏った情報ばかりだから俺は好きじゃないってもういねぇ」
迫夜はテーブルの上に置かれた新聞を開きながら、莉佳に語りかけるが、もうその姿は消えていた。莉佳の他にも、優理が皆の所に向かったが、迫夜がそれに気付くのはもう少し先のことだ。
「うぅーん。やはり(ヒーロー支援)団体と(三地区共同)政府の称賛ばかり書かれているな。んっ! これは? 何々……」
迫夜が新聞に目を通すと、ほとんどが団体・政府を褒め称えた文章だったが、一つ迫夜の目に止まった記事があった。その記事は悪の秘密結社【ヒャッハー】壊滅か? その背後に謎の少女が! というタイトルが付けられた記事である。
タイトルからゴシップ週刊誌のような匂いがするが、内容を見てみるとそれなりの確証を得た上で書かれた記事だと推測できた。書かれていたのはサイカイシティ周辺で活動していた悪の秘密結社【ヒャッハー】の戦闘員がリーダー含めて全員がアジトで惨殺死体となっていたとの記事で、他にも数十もの悪の秘密結社が同じ状態で発見されていることらしい。
何より一番驚いたのはそれらをやった者が十代半ばの少女だということだった。三地区では悪の組織・秘密結社の壊滅を行う者はヒーロー支援団体に所属している者ではなくてはならないとされている。理由としては血気盛んな民間人が悪の組織・秘密結社に挑んで、返り討ちにあって命を散らすのを防ぐからという名目である。
なお、もし法律を犯した場合、重い罰金刑が言い渡される。その為、民間人が悪の組織・秘密結社のアジトに乗り込むことはまずない。法律がなくてもやろうとする人はほぼ皆無だが……。もちろん、この少女はヒーロー支援団体には所属してないようで記事ではボロクソに批判されていた。
迫夜はこの記事以外には興味がなかったので、手元の新聞をゴミ箱に投げ捨てたのだった。その後、迫夜と風華の二人はみんなが帰ってくるまで家の中で過ごしていた。みんなは数時間後に帰ってきたが、遊び疲れていた。この日は早めに眠っていった。
次回は二月四日に投稿します。




