表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の首領(ボス)の世界征服術  作者: 黒牙 透
第4章タノマ地区編【壱】
65/103

第4章第54話冒険の終わり

第4章本編ラスト

 「ゴホッ、ゴホッ」


 壁際で横になっていた次郎は突然咳()き込んだ。慌てて、手を口に当てる。咳が止み、手を離すと、手のひらには大量の赤い血が付着していた。


 「おい、大丈夫か。次郎」


 すぐそばで目撃していたジョンが声がかける。


 「ハアァ、ハアァ」


 次郎は呼び掛けに答えようとするものの、既に声を出す力は残っていなかった。







 プレイバーを倒した迫夜と未来。二人は未来を(かば)って負傷した次郎の元に向かって駆け寄る。しかし、途中で未来のネックレスが突然粉々に割れてしまった。ネックレスによって変身していた未来は元の姿に戻ってしまう。


 未来はせっかく借りたネックレスが粉々に割れたことに申し訳なく思ったが、次郎の容態の方を優先したため、立ち止まったり、迫夜と会話するといった行為はしなかった。


 (やはり、悪と名乗っている俺たちには聖との相性が悪いのか……)


 ネックレスが壊れた瞬間を隣で見た迫夜はそう思った。


 「次郎さん」


 二人が次郎の元に着いたとき、既に次郎はジョンの呼び掛けにも応答せず、ハァ、ハァ、と荒い呼吸の音しか三人の耳には聞こえなかった。


 次郎が負った傷は刃物で心臓を貫かれるというものだった。誰がどう見ても致命傷といえるものだ。一般人なら即死もあり得る傷だが、ここまで生きていられたのは、やはり半分改造されていたからであろう。






 「次郎さん」


 「次郎~」


 「おい、次郎」


 次郎は薄れゆく意識の中、必死に自分に向かい、呼び掛けている三人を姿を見ていた。


 もう既に自分が助からないことは分かっている。一つ心残りがあるなら自分を想ってくれている三人に最期の別れを言えないことだ。

 手足はもう動かないし、声も出せなくなった。三人にはまだまだ話したいことがあるが……もう諦めよう。


 人は死ぬときに走馬灯を見ると聞くが、どうやら嘘のようだ。なぜなら今、自分は全く何も感じないからだ。いや、ちょっとまて……。そう言えば、この基地に乗り込む前の日に人生を振り返っていたからか……。たしかこういうのを死亡フラグっていうんだっけ……。


 どうやらお迎えが来たらしい。別れの挨拶も言えなくてすまんな。最期に言わせてもらう。“俺は人のまま死ねて嬉しい” もちろん声には出せないけどな……。


 次郎、享年36。【ボーンレイド】によって狂われた波乱万丈な人生は奇しくも【ボーンレイド】と共に幕を降ろす結末を迎えることになる。






 ここはかつて悪の秘密結社に対抗したヒーロー側の秘密基地があった場所だ。それも昔の話。今は逆に悪の秘密結社の基地にされていた。過去形なのはもう既にその悪の秘密結社は滅んだためだ。その基地の最奥部、司令室には今なお、戦いの爪痕が残っている。しかし、もうそこに誰もおらず、ただ“静寂”という痕跡(こんせき)だけがその場を支配しているのである。




 「じゃあ、俺はここでな」


 ところ変わってここはガンバイトシティの町外れ。あの後、次郎の亡骸(なきがら)を供養したあと、三人は瞬間移動マシンでガンバイトシティに戻ってきたのであった。


 なお、瞬間移動マシンが使えなかった原因は司令室の後ろにあった電源室の邪電波発生装置によって引き起こされており、それに気づいた迫夜が装置の電源を切ったことで解決した。


 なぜ電源が付いていたかは定かではないが、【ボーンレイド】が襲撃した際、防衛のために電源を入れたのではという説が有力視されることになる。


 ここでジョンと別れることになった。ジョンは初め、瞬間移動マシンの性能に驚いた。最初にこれを使えば次郎を助けられたのではないかと考えたが、あの時はまだ邪電波発生装置が作動していたことと、たとえ邪電波発生装置が無かったとしても次郎の怪我を治せる医者は居ないということに辿(たど)り着き、どうやっても次郎は助けられなかったと結論付けた。


 「どうもありがとうございました」


 頭を下げてお辞儀する未来。


 「また会えるといいな」


それに対してフレンドリーな迫夜。未来とは違い、ジョンとは少ししか会ったないのとお世話にならなかった?点からあまり上下関係が無かったのが原因と思われる。


 「そうだな。じゃ、あばよ」


 ジョンを見送った二人は風華達のいる自宅に帰ることになる。二人が玄関の扉を開けると、心配していた風華達が駆け寄ってきた。その光景を見て、二人はやっと帰ってきたことを実感したのである。

 

 ちなみに迫夜よりも未来が帰ってきたことにみんなが喜んでいる姿を見た迫夜が愚痴を(こぼ)したり、知らなかったとはいえ(みどり)を敵扱いして風華に家を放り出されたりしていた。







 次回予告


 次回予告は第5章の中盤まではありません。閑話を挟んでから第5章に入ります。第5章は2016年2月から公開予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ