第4章第48話未来の平和なき冒険その16~コウチシティ決戦(奇襲)~
明朝、まだ暗闇に包まれている森を四人の男女が忍び足で移動する。そして森の終着点である境に着く。ここからは木という障害物が無くなるので敵に見つかりやすくなる。
先頭の男が後ろに合図を送る。そして次の合図と共に四人は一斉に飛び出していった。数分後、廃墟と化したビルの一角の中に身を隠したのである。幸い骨格標本には見つかることなく侵入できた。
もう言わなくても分かると思うが、この四人組とは次郎、ジョン、迫夜、未来である。
「ふぅ~」
無事に辿り着き、ほっとしたのか息を漏らす次郎。ジョンは辺りを警戒しながら、灯りをつける。この灯りは、電池で光る電灯でもなく、はたまた部屋の灯りでもなく、昔の蝋燭に火をつけるタイプの灯りである。
「……薄暗いな」
迫夜は小声で不満を漏らしながら、辺りを探る。探索の結果、一階部分には骨格標本は居ないと分かり、二階への繋がる階段を簡易なバリケードで塞ぐ。これで上から奇襲は防げる。
四人はビルの一室に集まり、最終確認をする。わずか数分で話を終える。話とは昨日の夜に話し合った作戦の確認であった。【コウチシティ侵入作戦】という何の捻りもない作戦名だが、内容はこうだ。
第一に早朝、まだ日が出ていない内にコウチシティに入り、最も近くの建物に行く。次にその建物内の骨格標本を倒し占拠する。ここまでは予定通りだ。
第二に出来るだけ戦闘を避けるため、ビルを移動しながら中心部の中央基地に向かう。一応、中央基地には直線で行ける道が東西南北に一つずつあるが、身を隠すことも出来ないので、すぐに見つかって四方から攻撃を受けることになるだろう。
第三に中央基地に到着後はボスを見つけだし、倒す。
これが、作戦の全貌である。
「行くぞ」
次郎の先導の下、残りの三人は無言に移動していく。一棟、一棟慎重かつ迅速に。途中、何体かの骨格標本に遭遇するが、気づかれないまま倒したため、まだ侵入したことに気づかれていなかった。一時間後、中央基地まであと少しのところまで来た。
「あと、二・三棟で中央部だ。中央基地はビル街から少し離れている。そこで見つかる可能性が高いだろう」
次郎は休憩中の三人にこう伝える。
「もう日が昇ったか……」
「いよいよ最終決戦か」
「緊張します」
ジョン、迫夜、未来も次々に思ったことを喋り出す。そして、休憩が終わり、ビルとビルの間を移動する時だった。
「……次郎、横に避けろ」
何かの殺気に気づいた迫夜は先頭の次郎に向かって、大声で叫ぶ。次郎が咄嗟に横に回避した直後、次郎が先程まで居た場所に二本の小刀とそれを操る骨格標本が居たのである。
「キシュウ、シッパイ」
骨格標本は奇襲が失敗したのをすぐに体勢を整え、次の攻撃を仕掛けてくる。次郎はその攻撃を紙一重でかわしていく。
「上から矢が来る。ビルの中に逃げこむぞ」
「でも、次郎さんが……」
「俺達がやられたら意味ないだろうが」
突然の奇襲にどたばたしている四人に、上から弓矢を構えている数体の骨格標本の姿があった。迫夜はそれに気付き、三人に呼び掛ける。次郎以外の三人は、すぐに元居たビルではない方に逃げ込んだ。
「……野郎がっ……」
次郎は隙を見て地面を蹴り、骨格標本に砂をかける。骨格標本は砂に注意を向けている中、ビルに入る。その僅か後、数本の矢が降ってきたのである。
そのうちの一本が小刀の骨格標本に向かって、降ってくるが、小刀の骨格標本は持っていた小刀で矢を斬り、当たることはなかった。
「奴はどうなった? 」
一方、ビルの中に逃げこんだ四人。次郎は小刀の骨格標本の安否を考えていた。
「ニガサナイ」
一瞬、自滅が頭の中によぎったが、小刀の骨格標本が四人が入ってきた所から現れたのを見て、その考えは捨てた。
「くっ、敵の基地はすぐそこだというのに」
ジョンは唇を噛みしめながら言う。
「テキ、ヨニン」
小刀の骨格標本が四人を姿を確認したあと、両手に小刀を持って、一番近くに居た次郎に襲いかかった。
次回予告
小刀二刀流の上級強化骨格標本に苦戦を強いられる次郎。その次郎に代わって戦うのはあの人物だった。次回未来の平和なき冒険その17~コウチシティ決戦(迎撃)~




