第4章第47話未来の平和なき冒険その15~コウチシティへ~
今日最後の投稿となります。
「強化骨格標本のくせに待ち伏せか……」
次郎は前方に居る強化骨格標本を見てそう言う。そして強化骨格標本の後ろには廃れた街並みが見え、そこが目的地のコウチシティだと分かる。
次郎が自分の過去を話したのは既に一昨日の夜になる。昨日の朝にクレイバスを出発した。距離が長く、道も緩急差がある山道のため、一日で辿り着くのは不可能だ。
道中にある古びた山小屋もクレイバスを襲った骨格標本達に破壊されていた。つまり、野宿するしか方法は無かった。壊された山小屋の近くで一晩を過ごしたが、次郎以外の三人の口数は少なかった。それほど次郎の過去が堪えたのである。
今日になっても口数は変わらず。そしてそのままコウチシティの目の前まで来てしまった。コウチシティに行く道は二つで、北と南がある。北側の道は廃棄された漁村に通じている。一方、南はクレイバス村に通じている道だ。
四人は南からのルートを選んでいるが、あとちょっとでコウチシティに入れるが、目の前には大鎚をもった下級強化骨格標本が立っていた。
「ヒト、ハッケン」
四人の姿は強化骨格標本にもバレて、見つからないように進むという選択肢は取れなくなった。
「……相手は下級だ。油断しなければ勝てる」
次郎は三人に向かってそう言うと、下級強化骨格標本の方へ近づいていく。
「サイショ、オマエ?」
「そうだ」
次郎は後ろに向けて、指を三本立てて合図を送る。この合図は“手出し無用だが、ピンチの時は助けを求む”の合図である。それを受け取った三人はお互いにアイコンタクトでやり取りしながら、周囲のくさむらに隠れる。それは強化骨格標本からの目から身を隠すためである。
なお、ジョンは援護体勢で待機しており、迫夜と未来もまた迎撃出来るようにしていた。
「シネッ」
強化骨格標本は次郎に大鎚を降り落とす。
「やはり、そんなもんか」
しかし、次郎はその大鎚を両手で受け止めたのである。
「ナッ」
あまりの光景に強化骨格標本のないはずの目玉もびっくりであった。
「この大鎚、あんまり重くないな。鉄で出来てるわけじゃないだろ?」
さらに次郎は受け止めた大鎚を押し返していく。強化骨格標本も負けずと大鎚に力を込め応戦する。
「ギギァ」
そして力比べに負けた強化骨格標本が自分の武器である大鎚に押し潰されてしまった。
「圧勝だな」
くさむらから出てきたジョンが言う。
「もう骨格標本の原理が分かったからな」
「そうなのか?」
次郎はコウチシティに入る前に三人に骨格標本の仕組みについて語った。
判明した事1・骨格標本は骨しかないので重装備は持てない。
疑問1・なぜ強化骨格標本は重装備(大剣・大槌など)を持っていたのか?
答え1・強化骨格標本の体は骨格標本と変わらない。だが、持っているものは軽量化された重装備である。言葉を悪く言うと、見かけ倒しだったということ。そのため、さっきの戦いで次郎は大槌を押し返すことが出来たのである。
判明した事2・骨格標本は知能をほとんど持たない(四幹は話せるが片言口調で知能も低い)
疑問2・なぜ知能をほとんど持たない骨格標本が待ち伏せや不意討ちが出来るのか?
答え2・骨格標本の親玉、つまり【ボーンレイド】のボスが指示している。このことからボスは知能があると予測できる。
しかし、これだとなぜガンバイトシティの特殊金属に傷をつけたのか不明のままだが、先に進むため結論は後回しになった。ちなみに特殊金属に傷をつけたのは強化骨格標本ではないと後で判明するが、それはまたその時に……。
「いよいよですね」
「そうだな」
「これで終わりだ……」
未来、迫夜、ジョンは横並びになり、戦う覚悟に満ち溢れていた。
「今日は乗り込まない」
「「「えっ~~~~~」」」
しかし、次郎の一言は三人の逆の事を言っていた。
「なぜてすか?」
「なぜだ?」
「ここまで来て何言ってるんだ?」
「少し黙ってくれ」
三人は一斉に別々の言葉で次郎に尋ねてくる。次郎が一喝すると、三人とも何も言わなくなる。
この日、二日目の野宿になった。あとで次郎に理由を尋ねると、“今日はもう昼過ぎを回っていた。夜の戦いは不利だ”と返ってきたのである。
次回予告
強化骨格標本大鎚をあっけなく倒した四人はいよいよコウチシティに入る。そこで待ち受けていたものとは? 次回未来の平和なき冒険その16~コウチシティ決戦(奇襲)~
次回の投稿は6月15日で……はなく6月28日です。申し訳ございません。都合により投稿が遅れます。




