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悪の首領(ボス)の世界征服術  作者: 黒牙 透
第4章タノマ地区編【壱】
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第4章第46話未来の平和なき冒険その14~次郎の過去~

 今日二度目の投稿です。

 「ふぅ~、もう一週間かぁ……」


 その日の夜、満月の下で体育座りをしながら夜空を見上げる未来の姿があった。


 ちょうどのこの日、未来はタノマ地区に来て一週間になる日であった。そして未来は家に居るだろう風華や優理、他のみんなのことを考えていた。


 「未来が一週間なら俺は二週間以上だな。」


 「し、師匠! なんで、いや、どうしてここに?」


 その時、突然後ろから声をかけられる。慌てて振り返ってみると立っていたのは迫夜だった。


 「隣座るぞ」


 「あ、はい」


 迫夜は未来の隣にあぐらをついて座る。そして迫夜は思いがけない話を始めた。


 「なぁ、未来。未来は次郎のこと。どこまで知ってるんだ?」


 迫夜はいつもとは違い、慎重な面持ちをしながら話す。未来も迫夜がいつもとは違う口調に気付く。


 「私は初めて会ったのはここ(タノマ地区)に来た最初の日でした。私が……」


 未来は次郎に会った時のことを鮮明に伝える。すると迫夜はふむふむ、と相槌をついて未来の話を聞いていた。


 「そうか……。未来は最初の日だけだったか……。そう言う俺も二、三日共にしただけの関係なんだが……」


 迫夜はそう言って、どこか寂しい目をしながら空を見上げていた。


 「今日、未来が起きてくる前にジョンに聞いたんだが、ジョンも“何回かしか会ったことない”って言っていた」


 つまりジョンも次郎と長い付き合いはなかったようだった。


 「おーい、飯の準備が出来たぞ~」


 ここで遠くからジョンが両手を降って、こちらに叫んでいる。未来と迫夜は立って、ジョンの方に歩いていった。





 翌朝、四人の中で一番早く起きた次郎は、二日も止まることになった家の外に出る。そして遠くの山合を見つめながら、自分の過去を回顧していた。


 「おい、じいさん。こっちにこいよ。お前に会わせてぇ奴が居るんだ」


 どこかで居るはずのない親友兼悪友の声がする。それが幻聴であることは明白だった。しかし、この時次郎は幻聴だと振り切ることが出来なかった。聞こえきた幻聴が自分の人生を狂わせるきっかけになる言葉だったからだ。


 「竹もこんなことになるとは思わなかっただろうな……」


 次郎はとある小さな村で生まれた。その村は農業で生活を営んでいて次郎の両親も農家だった。兄弟は上に兄が一人居た。幼少期は近くの山や川で年がら年中遊ぶやんちゃな子供だった。


 名前が次郎で当時、村で何度も聞かされた、昔話の主人公であるおじいさんが次郎だったことから、渾名(あだな)はじいさんと呼ばれていた。それをつけたのが親友であった武郎(たけろう)だ。


 武郎は俺と一緒に遊び、村でよくいたずらをしたので村人からは問題児扱いされていた。武郎はいつしか親友兼悪友という関係になっていった。しかし、しばらくして武郎は近くの町に引っ越して居なくなってしまった。


 それから十年経ち、その町に用事で立ち会った際、偶然にも武郎に会う。そして少し立ち話をしてみればすぐに意気投合できた。その時、言われたのがこの言葉だった。


 「おい、じいさん。こっちにこいよ。お前に会わせてぇ奴が居るんだ」


 断ることは出来なかった。言われるがまま着いていくと、居たのは柄の悪い同世代の男達だった。武郎は不良の仲間入りをしていた。


 そこでだめだ、と言えればよかった。だが、問題児扱いされていたのは武郎だけではない。気がつくと次郎も不良の仲間入りをしていた。あと知ったがその不良の集団は暴走族と呼ばれるらしい。


 暴走族に入って一年、幼少期のいたずらとは比べられないほど過激なことをした。町の廃棄された建物に暮らし、犯罪まがいのことを行っていた。


 ちょうどその頃、次郎が所属している暴走族のボスが近々、誰かと会うという情報を得た。そして会うとされた日を境にボスは姿を見せなくなった。


 その後も、幹部、幹部補佐、と上から順に姿を消していき、武郎も不審に思い、二人で姿を消した場所に行くことにした。そこで見たものは信じられないものだった。


 数体の骨が徘徊していたのである。武郎も次郎もすぐに逃げようとしたが、見つかり捕らえられてしまった。二人は骨格標本(スケルトン)に連行され、敵の秘密基地に運び込まれた。そこで得体もしれない機械に拘束された。


 「あああああああああぁぁ」


 拘束されてまもなく次郎の耳に武郎の悲鳴が届く。そしてよく見ると次郎の体が(シルバー)色に変わっていた。そしてそれが顔に向かおうとしたとき、基地全体にけたたましいほどのサイレンが鳴り響く。


 「緊急事態発生。緊急事態発生。改造素体一人が暴走中……」


 それは紛れもない武郎の事を指していた。その際、次郎の後ろを一体の骨格標本(スケルトン)が横切る時、次郎を拘束していた機械に転倒し、ショートを起こした。


 そのおかげで俺は拘束から解ける。そして一目散に逃げ出した。武郎のことを考えている余裕などなかった。半日間ずっと走り続けた。その間、生きた気持ちがしなかった。周りに骨格標本(スケルトン)が居ないと分かると地面に倒れて眠ってしまっていた。


 「……次郎。おい、次郎」


 気が付くと次郎はジョンに声をかけられていた。


 「ん、何だ?」


 「大丈夫か。まだ昨日のことで思い詰めてないか?」


 「大丈夫だ。それより今日ここを出発する。準備を頼む。」


 「分かってるよ。そんなこと」


 その言葉を最後にジョンは家の中に戻っていく。昨日の晩飯の前に次郎は三人に生い立ちを話した。その影響で晩飯は無言のまま食べていた。一番動揺していたのは未来であり、表情にそのまま出ていた。


 「俺もここで立ち止まるわけに行かないな」


 「おい、じいさん。どこに行くんだよ」


 相変わらず、後ろからは武郎の幻聴がいまだ聞こえてくる。その後、武郎に会ったのは三年前、次郎と武郎が連れていかれた場所で、全身銀(シルバー)色の骨になって。


 「竹はもういない。俺が殺したのは【ボーガン使いのタケロウ】だ。だからもう眠ってくれよ」


 三年前、次郎は【ボーガン使いのタケロウ】を倒した。それは苦渋の選択であったが、戸惑いはなく、ただ冷酷に奴の首をへし折った。だが、今でも心の中には残り続けてる。


 次郎にとって、武郎は自分の人生を狂わせた人物であり、また、命を救ってくれた恩人でもある。恨むことはしなかった。


 「もう一回、俺と遊ぼうぜ」


 「じゃあ、一人で遊んでろ」


 次郎は後ろからの幻聴を振りきって、三人の居る家の中に入っていった。



 


 


 次回予告


 とうとう、コウチシティにやってきた四人。しかし、街に侵入させまいと一体の下級骨格標本(ハイスケルトン)が立ちはだかる。果たして、四人は無事にコウチシティに入れるのか? 次回未来の平和なき冒険その15~コウチシティへ~

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