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悪の首領(ボス)の世界征服術  作者: 黒牙 透
第4章タノマ地区編【壱】
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第4章第45話未来の平和なき冒険その13~四幹戦(後編)~

 今日一回目の更新となります。

 「行くぞ」


 「はい」


 迫夜の合図で、未来は迫夜と共にエイゴの左右に移動する。ジョンはエイゴが二人を攻撃しないよう、銃を撃って牽制する。


 「キカナイ、キカナイ」


 エイゴは二人には興味を見せず、ジョンの方を見ながらそう言う。その間に二人はエイゴの左右につく。これで準備は整った。


 「『炎手拳』」


 始めに行動したのは未来で、得意の必殺技を叩き込む。エイゴはかわしもせず体で受け止める。


 「ムイミ、ムイミ」


 未来は攻撃はエイゴには通じてはいないが、作戦の想定内である。すぐさまエイゴの体当たりを回避するため、後方へ下がる。案の定、エイゴは未来に体当たりを仕掛けるが外れる。


 「次はこっちだ。『水恋拳』」


 次に迫夜がエイゴに攻撃する。場所はさっき未来が拳を当てた所である。だが、未来同様、エイゴには効いていない。そして迫夜は後方へ下がる。エイゴは迫夜に標的を変え、図体を使った突進をするが、なんなくかわす。


 「油断するなぁ~『獄炎拳(ごくえんけん)』」


 注意が迫夜に向いている中、再び未来が攻撃を仕掛ける。先ほどの『炎手拳』よりも火力がある技を同じ箇所に当てる。攻撃した後は後ろに下がり、エイゴの攻撃を回避する。


 その後も迫夜、未来、迫夜と交互に同じ箇所を攻撃し、直後に後退するという繰り返しに、エイゴもだんだんと(いら)ついてくる。この時、未来は火力が徐々に上げて、迫夜は水量を上げて攻撃していることに、ダメージがないエイゴは気付かないでいた。


 「ウザイ、ウザイ」


 エイゴも攻撃を仕掛けるが、迫夜にも未来にも攻撃が当たることはなく、さらに(いら)ついていき、冷静な思考が出来なくなっていく。


 「そろそろ終わりだ。ジョン頼んだぞ」


 何度か繰り返した後、攻撃をするのを止め、迫夜はジョンに向けて叫ぶ。


 「あいよ。……おい、知ってるか骨野郎(エイゴ)。今、お前の体の一部はものすごく硬くなってる。なぜだか、分かるか?」


 ジョンはすぐには攻撃せず、エイゴに対し語りかける。


 「オマエ、ヨワイ、ウルサイ」


 エイゴは先ほどの攻撃で冷静さを失っていたため、ジョンの話に耳を傾けることは出来なかった。


 「ダイヤってものすごく硬いけど、反面ものすごく(もろ)いんだ。そしてお前の体は……」


 その台詞と同時に撃った銃弾はさっきまで二人が攻撃した箇所に当たる。


 「ガギ!」


 エイゴはこの時、信じられない出来事に遭遇する。それは今まで、傷一つつかなかった体が砕けたのである。それは一部であったが、エイゴを驚愕させるのには充分だった。


 「今、ものすごく脆いんだ」


 金属とくに鋼には焼入れという手法がある。焼入れとは鋼を高温な所に入れ、その後、すぐ冷却するという方法だ。鋼の硬度を上げる手法だが、反面脆弱性を高めるので通常、焼戻しをするのが一般的だ。


 「今だ、未来」


 「分かりました。『焔爆烈拳(フレアブロー)』」


 エイゴが驚愕したまま動かない所を、未来のパンチが捉える。それは今まで攻撃を重ね、ジョンの銃弾で砕けた、空洞化部分だった。


 「ガァァァァァァァァァ」


 この焔爆烈拳(フレアブロー)は触れた瞬間、相手を小爆発させる技だ。エイゴも例外ではなく傷に当たった瞬間、爆発を起こし全身の金属にひびが割れ、そして断末魔を上げて崩れていく。

 爆発が収まると、そこにあったのは大量の金属片だけだった。


 「よし、勝ったぞ」


 その光景を見たジョンは、顔を上げ、両手を上げて勝利を喜ぶ。


 「未来、やったな」


 「はい」


 それにつられて迫夜と未来もお互いにハイタッチして喜んだ。






 「キキキ、コレダケ?」


 一方、コンタと戦っている次郎は苦戦を強いられていた。相手の拳の連打になすすべがない。相手の拳はいわば鋼鉄で殴られている感じだ。(実際、そうだが……)


 それに対し次郎の拳はせいぜい錆び鉄で殴っている程度、まともに渡り合えば、勝ち目はない。次郎はコンタの拳を喰らいながら、この状況を打破できる策を考えていた。


 「キキキ、アトスコシ、オレノカチ」


 しかし、この時、次郎はある推察をしていた。


 (……何かがおかしい。……なぜ奴はそんな速さで移動できる? 体が金属出来てるなら重くて速く動けないはず……。骨とはいえ元は人間。筋肉や脂肪がなくては駄目なはず……。)


 そうしてる間にも攻撃は飛んでくる。次郎は必死に交わしたり、喰らいながらも推察を止めない。


 (もしかすると、金属なのは腕だけ。いや違う。それだと腕が重くて動かせない。ーーそうか……。そういうことか……。)


 次郎は何かに気付いてニヤリと笑う。


 「キキキ、モウオシマイ」


 コンタは止めとばかりにさっきよりも重い拳を、次郎に向け放ってきた。次郎はこれを利用することにした。


 「ぐうっ」


 次郎はわざとコンタの拳を喰らう。 そして次郎はそのまま強引にコンタに接近し、顔を握り(つぶ)した。金属の出来ているはずの顔はいとも容易く(つぶ)れていく。頭を失った胴体は前向きに倒れていった。


 「よし、勝った」


 次郎は全身傷だらけの中、勝利を叫んだ。そして頭の中でこう思った。


 (……推測が当たった)


 先ほどの戦い。一体何が起こったのか? 次郎いわくこうだ。コンタは金属の体なのになぜ速く動けたのか? 既にこの地点でコンタの策略に()まっていた。


 なぜならコンタの体は金属ではなく普通の骨格標本(スケルトン)と同じ骨そのもので出来ていたからだ。しかし、コンタの体は(シルバー)色。だれもが普通の骨で出来ているとは思わない。つまり視覚すら騙されていたというわけだ。


 次になぜ、コンタの拳はまるで鋼鉄のようだったのか。ただの骨格標本(スケルトン)の拳にそこまでの威力はない。なにせ骨だから。しかし、コンタの拳は明らかに鋼鉄で殴られた痛みだった。その理由は少しを置いておく。


 メリケンサックという武器を知っているだろうか? 指に()められるように四つの穴が空いた金属で出来た武器である。ここでコンタがメリケンサックを()めていたからと推測した方は早とちりをしていることになる。


 確かにメリケンサックは謎を解くヒントであるが、コンタはメリケンサックを()めていた訳でない。何よりメリケンサックを()めていたら、いくら体が(シルバー)色でも分かるでしょう。


 答えはコンタの指の一部分だけが鋼鉄で出来ていたからである。その部分はメリケンサックを()めた所である。医学的にいえば基節部それも手の甲側の。いくら骨だけの骨格標本(スケルトン)でもごく一部が金属化してスピードが落ちるわけではない。これがコンタの強さの秘密であった。


 「大丈夫か、次郎」


 「大丈夫だ。……お互い無事のようだな」


 「だが、この体じゃ、もう今日は行けないな」


 「ああ」


 戦いが終わり、地面に寝そべっているとジョンが心配して様子を見に来たのである。


 この日、四人はコウチシティへ向かうつもりで居たが、その予定は中止になりクレイバスにもう一泊することになった。






 次回予告


 二体の四幹を倒した四人はコウチシティに向け出発する。その道中で次郎は自分の過去について語る。次回未来の平和なき冒険その14~次郎の過去~



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