第4章第43話未来の平和なき冒険その11~重要な時の選択肢は二つだけ~
ほぼ壊滅したクレイバス村に一晩過ごした迫夜達一行。現在、唯一被害のなかった家から離れた所で村の生存者と守人を除く全員が集まっていた。
「奴らのボスが居るアジトを発見した」
昨晩、一人だけ離れの半壊の家で過ごした次郎は集まってそうそうこう言った。
「それは本当か?」
ジョンを始めとしてここに居る全員にざわめきが起こる。
「ああ、場所はここの北にあるコウチシティの中央基地だ」
「まさかそこを拠点にしているのか? そうなると今まで起こった……」
次郎の言った場所に思う所がある様子のジョンは右手を額につけて考えこんでしまう。
「そこで今から俺はそこを襲撃する。襲撃するのを手伝ってくれる人は居るか?」
ジョンはその場に居る全員に尋ねる。少し間が置いて最初にジョンが手を上げる。
「俺は行こう」
次に手を上げたのは迫夜だ。
「俺も付き合う」
その直後に挙手したのは未来だ。
「じゃ、私も」
「いや、未来ちゃんは戦えんだろう」
それに反論したのは次郎であった。次郎もまたテレイ地区の常識に囚われていた。
「おい、見抜けてないのか」
「ここにいるのは死ぬ覚悟が出来ている奴だけだ」
未来にやられたジョンと未来の強さを見抜けなかった隊長が口々に次郎をおちょくる。その様子に迫夜は笑いをこらえるに必死だった。
「嘘だろ」
未来が戦えるという事実に顔を仰天させる次郎。だが、次に喋った隊長によって、場の空気が変わる。
「俺は参加しない」
「俺もだ」
さらに、堅も隊長と同調する。
「どうしてだ」
ジョンは隊長に理由を聞く。
「まず、俺達の第一目標である【村の防衛】は失敗だ。もうこの村は廃村になるだろう。第一目標が失敗したときのことを考えてある。それが生存者を連れて無事にガンバイトに戻ることだ。コウチシティには行かないし、行く気もない。例え、行ったとしても犬死にだろう」
この時、ジョンは隊長の話を黙って聞いていた。隊長は上級強化骨格標本戦で自分の実力不足なのを痛感させられた。あれが上級なら幹部やボスはもっと上。結果的には次郎に完敗していたが、もし居なかったらと思うと、全滅していた可能性もあっただろう。
隊長に続いて堅も語り出す。
「俺はここにくるまで死ってもんを軽く考えてた。だが、この村での戦いでその意識は変わっちまった。これ以上は戦いたくない。」
堅もまた隊長と同じ思いを持っていた。あの時、もし哲治ではなく自分だったら間違いなく死んでいた、と。もしあいつ以上の奴に遭遇したら負ける。
「次郎……、参加人数は四人だ」
二人の話を聞いたジョンは隊長らから目線を外し、次郎に合わせて言った。
「ああ、分かった」
四人は昼前に村を後にした隊長達を見送った。その後ろ姿は精神的な疲労のせいか、だらしなくなっていたが、無事に帰れるだろうという安心感もあった。
「行ってしまったな」
「はい」
隊長達の姿が見えなくなり、ジョンと未来は寂しく感じた。
「あの~、いつまで正座していればいいでしょうか」
なぜか片隅で正座をしている迫夜が、いつもとは違う丁寧な口調で言う。
「日が暮れるまでな」
「いや、三日間はそこで」
「そしたら一人減るだろ」
正座をさせたのは次郎とジョンであった。理由は“未来を危険な目に合わせたこと”と“未来に心配かけたこと”の二つだ。
どちらも未来に頼まれてやったことではなく自分達で勝手にやったことだっだ。
十五分、正座かみ解かれたが、足が痺れてフラフラになり、未来に助けてもらっている迫夜の姿があった。
「まず情報を整理したい」
迫夜主導の元、一ヵ所に集まる一同。メンバーは未来、ジョン、次郎、そして迫夜の四人だ。
「じゃあ最初は俺からだ」
いきなり挙手してきた次郎が【ボーンレイド】についてを語り出す。
「【ボーンレイド】は……」
次回予告
次郎が【ボーンレイド】の真実を語る中、そこに乱入者が現れる。それは【ボーンレイド】の四幹の内の二人であった。迎撃する四人は強化骨格標本達とは圧倒的に違う強さに苦戦してしまう。次回、未来の平和なき冒険その12~VS四幹戦(前編)~
次回の投稿は6月13日になります。




